相続登記後に引っ越したら住所変更登記は必要?期限とスマート変更登記
相続登記を済ませた後に引っ越しました。住民票を移せば、実家の登記簿の住所も変わりますか?
父から相続した実家は、数年前に私名義への相続登記を済ませました。その後2025年に転勤で引っ越し、転出・転入届は提出しましたが、法務局では何も手続きをしていません。
住所変更登記が義務になったと聞きました。相続登記が終わっていても手続きが必要でしょうか。無料で利用できるスマート変更登記との違いや、何から確認すればよいかを知りたいです。
相続登記後の転居も住所変更登記の対象です。検索用情報の申出状況と、住所が変わった時期を確認しましょう。
相続した不動産を自分名義にした後で住所が変わった場合は、住所変更登記への対応が必要です。役所に転入届を提出しただけで、登記簿もすぐに更新されるわけではありません。
2026年4月1日から住所等変更登記が義務化されました。ご相談のように2025年の転居後も未登記の場合、原則として2028年3月31日までの対応が必要です。ただし、国内に住む個人は「検索用情報の申出」によりスマート変更登記を利用できます。
まず相続登記の書類を確認し、検索用情報の申出が済んでいるか、登記簿がどの住所になっているかを整理してください。司法書士法人NEW.Sの無料相談でも、現在の状況に応じた登記手続きについてご相談いただけます。
この記事でわかること
相続登記後の引っ越しと住所変更登記の関係
相続登記と住所変更登記では、確認する内容が異なります。相続登記は、亡くなった人から不動産を取得したことを登記に反映する手続きです。住所変更登記は、すでに登記されている所有者本人の住所が変わったことを反映します。
例えば、父名義の実家を相続し、自分の氏名と当時の住所で登記した後、転勤で別の市へ引っ越した場合、所有者は自分のままでも住所変更への対応が必要です。実家が空き家か、家族が住んでいるかという利用状況だけで要否が決まるわけではありません。
住民票・納税通知書・登記簿を区別する
引っ越しの際には、役所や銀行などに住所を届け出ます。しかし、別の窓口で住所を変更したことだけを理由に、不動産の登記も変更済みと判断することはできません。
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 住民票 | 現在の住所や転居の経緯 |
| 固定資産税の納税通知書 | 課税対象の不動産や通知先を確認する手掛かり |
| 登記事項証明書など | 不動産登記に記録された所有者の氏名・住所 |
| 相続登記の申請書控え | 申請対象物件や検索用情報の申出を確認する手掛かり |
「税金の通知が新住所へ届くので大丈夫」と考える前に、登記の記録を確認しましょう。実家の土地と建物が別々に登記されている場合は、それぞれの記録を見る必要があります。古い証明書しかない場合は、それ以降の変更の有無にも注意してください。
亡くなった親の古い住所の問題とは別
まだ父名義のままで、父の登記上の住所と死亡時の住所が違うケースは、今回とは確認事項が異なります。被相続人と登記名義人の同一性を証明する資料の問題は、親の古い住所の履歴がつながらない場合の相続登記で説明しています。
本記事では、自分名義への相続登記を終えた後に、自分が国内で転居したケースを中心に説明します。相続登記自体が未了なら、相続登記の基本と必要書類から全体像を確認してください。
いつまでに対応するかを確認する方法
住所等変更登記の義務化は2026年4月1日に始まりました。所有権の登記名義人の住所等が変わった場合、原則として変更日から2年以内に変更登記を申請する必要があります。過去の住所変更がすべて対象外になるわけではありません。
| 住所が変わった時期 | 原則となる期限 |
|---|---|
| 2026年4月1日より前 | 変更登記が未了なら2028年3月31日まで |
| 2026年4月1日以降 | 住所が変わった日から2年以内 |
ご相談のように2025年に転居した人は、相続登記をした日から数え直すのではなく、施行前の住所変更に関する経過措置を確認します。反対に、施行後の転居について、すべて一律に2028年3月31日が期限になると考えるのも誤りです。
検索用情報を申し出ている場合の扱い
国内に住む個人が検索用情報の申出を済ませていれば、スマート変更登記を利用できます。申出済みでも職権登記がまだ実行されていない場合は、一般に、変更登記をしないことについて正当な理由があると認められる扱いです。法務省は、申出により、自分でその都度申請しなくても義務違反に問われなくなると案内しています。
ただし、法務局からの意思確認通知に対して登記を拒否したり、期限までに回答しなかったりすると、催告の対象になることがあります。申出だけして、その後の通知を確認しなくてよいという意味ではありません。
期限を過ぎると必ず5万円を払うのか
正当な理由なく申請義務に違反すると、5万円以下の過料が科される可能性があります。金額が常に5万円に固定されているわけではなく、裁判所が判断します。過料と刑事罰の罰金は区別して理解する必要があります。
期限を過ぎたことに気付いた場合も、通知を待って放置するのではなく、申出状況や事情を整理し、法務局や司法書士に対応を確認してください。
スマート変更登記の対象と実施時期
スマート変更登記は、法務局が住民基本台帳ネットワークシステムの情報から住所等の変更を確認し、本人の了解を得て職権で変更登記をする仕組みです。国内に住む個人は、あらかじめ検索用情報を申し出ることで利用できます。
- 所有者が検索用情報を申し出る
- 法務局が住基ネットで住所等の変更を確認する
- 本人が意思確認通知を確認し、登記を希望する旨を回答する
- 法務局が職権で住所等変更登記を行う
検索用情報の申出と職権による変更登記には、登録免許税等の費用はかかりません。証明書の取得や専門家への依頼などに別途費用が生じる場合はあるため、依頼する場合は費用の範囲を確認してください。
制度開始と実際の書き換え時期は異なる
法務省の2026年9月30日現在のQ&Aでは、個人のスマート変更登記による実際の変更登記は、2026年12月中旬以降とされています。2026年10月時点で、すべての個人の登記が自動更新済みということではありません。
2026年度の対象は、2026年3月31日までに法務局で検索用情報の登録が完了した人です。2026年4月1日以降に登録が完了した人は2027年度以降の対象となり、意思確認通知も2027年度以降に送られる予定です。
この記事は2026年10月28日時点の情報です。申出直後に登記簿が変わる制度ではありません。売却などの予定がある場合は、必要な時期から逆算して手続きを確認しましょう。
海外居住中は別途確認する
海外に住む人は、住基ネットで変更後の住所等を確認できないため、個人のスマート変更登記の対象になりません。国内にいたときに申出をしていても、現在の居住状況を確認する必要があります。海外への転居がある場合は、国内転居の流れをそのまま当てはめず、必要な住所変更登記を個別に確認してください。
検索用情報の申出状況を確認する方法
相続登記が終わっていることと、検索用情報の申出が済んでいることは同じ意味ではありません。相続登記をした時期や申請時の書類を確認しましょう。
2025年4月21日から、所有権の保存・移転等の登記を申請する際には、検索用情報も併せて申し出る取扱いが始まっています。それ以前に相続登記をした人は、別途申出をしたかも確認する必要があります。申請時期だけで、手元の全不動産が登録済みと決め付けないことが大切です。
最初に確認する資料
- 相続登記の申請書控えと対象物件の一覧
- 検索用情報の申出に関する控えや受付情報
- 当時依頼した司法書士から受け取った説明書類
- 現在の登記記録で確認できる所有者の住所
司法書士に依頼した場合は、「相続した実家の土地と建物について、検索用情報の申出は済んでいますか」と対象を具体的に伝えると確認しやすくなります。申出に関する疑問は、申出をした法務局にも相談できます。
未申出なら、所有権移転等の登記とは別に、検索用情報だけを申し出る方法もあります。オンラインのほか書面による手続きも案内されています。申出事項や添付情報は最新の公式様式に沿って準備してください。マイナンバーカードの住所変更だけで申出も完了すると考えないよう注意しましょう。
すでに転居していても対象になる
検索用情報を申し出る前に転居し、登記簿が古い住所のままでも、スマート変更登記の対象になると法務省は案内しています。ただし、申出の受付と、希望する日までの変更登記完了を混同しないでください。
今回のように数年前の相続登記後に転居したケースでも、「今からでは利用できない」と諦める必要はありません。売却予定の有無、対応期限、申出済みの物件の範囲を整理すると、手続きの選択がしやすくなります。
売却を急ぐ場合の住所変更登記
実家を近く売却する予定があり、登記簿が旧住所のままなら、スマート変更登記の順番を待つだけでは間に合わない可能性があります。法務省は、住所変更を急ぐ場合には、本人側で住所等変更登記を申請する必要があると案内しています。
スマート変更登記は法務省の決めたスケジュールに沿って実施されます。売買日程に合わせて、個別に職権登記を早めてもらえる仕組みではありません。
通常の住所変更登記で整理すること
- 登記記録の旧住所と現在の住所を照合する
- 住民票の写しや戸籍の附票など、変更の経緯を証明する資料を確認する
- 対象不動産と変更内容を記載した申請書を準備する
- 不動産を管轄する登記所へ必要な添付情報とともに申請する
- 完了後、住所の変更を確認する
一度の転居なら住民票の写しで経緯を確認できることがありますが、複数回の転居では、それだけで登記上の住所から現在までのつながりを示せない場合があります。必要な履歴を確認してから証明書を請求すると、取得し直す負担を減らせます。
通常の申請では、登録免許税、証明書取得費、郵送費、依頼する場合の司法書士報酬などを分けて確認してください。物件数や必要資料によって総額が変わるため、無料のスマート変更登記と同じ費用条件だと判断しないようにしましょう。
すでに職権登記が進んでいる場合
意思確認通知へ回答しても、直ちに変更登記が完了するわけではありません。手続き中は登記事項証明書などを取得できない期間が生じることがあります。希望する旨を回答した後は、完了まで手続きを中断・中止できないと案内されています。
売買の決済や融資の日程がある場合は、通知へいつ回答したかを依頼先に伝え、管轄法務局に進行状況や完了予定を確認してください。申出や回答の控えを保存しておくと、状況を説明しやすくなります。
複数物件や共有名義の確認事項
実家は見た目には一つでも、登記上は土地が複数筆に分かれ、建物や私道の共有持分が別に存在することがあります。「実家一式」とだけ把握していると、一部の物件について確認が抜ける原因になります。
| 確認欄 | 記録する内容 |
|---|---|
| 不動産の特定 | 土地の所在・地番、建物の所在・家屋番号 |
| 登記名義 | 自分名義になっているか、共有持分があるか |
| 登記上の住所 | 旧住所か現在の住所か |
| 検索用情報 | 対象として申し出たか、控えや依頼先で確認できるか |
| 今後の予定 | 売却や担保設定などの時期 |
兄弟との共有名義なら、自分の申出をしたことだけで、兄弟についても手続きが済んだとはいえません。共有者ごとに住所変更の有無や申出状況を整理してください。
別物件が親名義なら相続登記も確認する
自宅は相続登記済みでも、私道持分や遠方の土地が親名義のまま残っていることがあります。この場合、本人の住所変更への対応だけでは、その別物件の相続登記は完了しません。
所在が分からない物件がある場合は、親名義の不動産の調べ方と所有不動産記録証明制度も参考になります。相続登記と住所変更登記では期限の基準も違うため、対象物件と手続きを分けて管理しましょう。
まとめ
相続登記後でも、所有者本人が転居して登記上の住所と異なる状態になった場合には、住所変更への対応が必要です。まずは登記簿の住所、転居時期、検索用情報の申出状況を確認してください。
国内に住む個人はスマート変更登記を利用できますが、申出直後に登記簿が更新される制度ではありません。意思確認通知に対応し、売却などを急ぐ場合は通常の住所変更登記も検討する必要があります。
司法書士法人NEW.Sの無料相談では、相続した不動産の名義変更や必要書類についてご相談いただけます。相続登記時の書類、転居時期、売却などの予定をお知らせいただくと、状況を整理しやすくなります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の事情により適切な対応は異なるため、不安がある場合は早めにご相談ください。




