相続での銀行預金口座の調べ方について

相続では、銀行や信金での預金の手続きが必ずといっていいほどあります。被相続人が使用していた銀行を把握している場合は良いのですが、相続人が銀行預金の口座や使用店舗を把握していない場合はどのようにするかを解説します。

被相続人の銀行預金口座の調査のやり方

各金融機関へ問い合わせてみる

預金口座の有無や残高は、各金融機関に直接問い合わせて確認するのが基本となります。全国にはたくさんの金融機関がある為、故人が生前利用していたであろう金融機関にしぼって問い合わせてみましょう。

金融機関の絞り方として、遺品の中にある通帳などがあればそれらを確認していきます。また、生活圏内にある金融機関で確認していくのが一般的です。

金融機関での口座照会における注意点

金融機関を調べる際に以下のことを参考にしてください

地域密着型の金融機関(地銀・信金等)では必ず照会する

金融機関には、都市銀行以外にも大手と同じぐらいの顧客数を有する金融機関もあります。地域密着型の銀行など(千葉銀行・北海道銀行など)は必ず調べておいた方が良いです。

法定相続情報証明制度に対応している金融機関の場合

口座の紹介をするには被相続人の死亡の事実が分かる戸籍謄本と照会している人が相続人かどうかわかる戸籍謄本が必要になり、戸籍謄本自体が結構な量になってしまいます。

しかし、法定相続情報証明制度に対応している金融機関である場合、法定相続情報一覧図の写しがあれば、戸籍一式の代用として照会することができます。

預金の相続手続きは早めにする

被相続人の預金は、相続人の共有財産となります。遺言書に預金の受取人の指定をされている場合は、相続人が金融機関で預金を引き出すことが可能です。遺言書がない場合、遺産分割協議といって相続人全員で誰が預金を相続するか決める手続きをおこないます。

手続き自体に期限はありませんが、手続きを放置してしまい、もし、相続人が亡くなってしまった場合、手続きが複雑になってしまう可能性が高まります。

預金を相続する手続き

被相続人が亡くなったら、まず金融機関に口座名義人が亡くなったことを知らせます。そのあと、金融機関がその口座を凍結させます。

必要書類は金融機関によって変わってくるので、あらかじめ金融機関に問い合わせることをおすすめします。

分割協議前に仮払い制度を利用する

相続の手続きで、1番気にするべきことが相続税といわれています。相続税に不備があったり、申告をせずにいると税務調査が入り、ペナルティをうけてしまいます。

相続税の正しい知識をもつことによって、相続での不安が解消することができます。

払い戻せる金額の上限について

払い戻せる金額は金融機関一つに対して最高150万円までです。また、預金額の3分の1×仮払いを受ける相続人の法定相続割合が上限となります。

放置してしまうと休眠預金となってしまう

手続きをせずに一定期間放置してしまうと、預金は休眠預金となります。

休眠預金とは、2009年1月1日の取引から10年以上入出金の情報がないものをいいます。休眠預金に関しては、金融機関からの通知が送られますが、引っ越してしまい住所に届かなず、預金者の住所が確認できない場合が多いです。そうした場合、休眠預金として預金保険機構へ移管され、民間公益活動で使われることとなります。

休眠預金は引き出すことが可能で、被相続人の預金が休眠預金になってしまった場合、相続人が金融機関で手続きをすることで引き出すことができます。手続きの仕方は金融機関によって違うので各金融機関に問い合わせてください。

遺産分割前の預金引き出しはトラブルに発展してしまう可能性がある

預金口座をもっている人が、亡くなったからといって預金口座がすぐに凍結されるわけではなく、キャッシュカードなどでATMから引き出すことが可能です。凍結されるのは金融機関が亡くなった事実を知ったときです。

しかし、預金者がなくなったことを申告せずに預金口座からお金を引き出してしまうと、様々なトラブルが起きてしまう事もあるので注意が必要です。

被相続人の預金を引き出すと他の手続き(相続放棄や限定承認)ができなくなる

相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があり、金融資産や不動産などのプラスの財産よりマイナスの財産のほうが多い場合、預金を引き出してしまうと単純承認したとみなされ他の手続きができなくなり、もしマイナスの財産の方が多かった場合、預金残高以上の返済をしなければいけなくなってしまいます。

トラブル防止

単純承認の手続きをすることを考えていても、遺産分割協議をするまえに相続人の1人が勝手に預金をおろしてしまうと、共有財産を勝手に引き出された相続人が怒りトラブルになってしまうケースもあります。

被相続人の預金で葬儀などの費用に充てる場合も、かかった費用の領収書などを保管しておくとトラブルを回避することができます。

預金相続の手続に必要な書類

遺言書や遺産分割協議書、家庭裁判所による調停調書・審判書の有無によって必要な書類が変わってきます。各手続きに必要となる書類は以下になります。

遺言書がある場合

遺言書がある場合、相続の手続きで必要になる書類は次のとおりです。

  • 預貯金の流れ
  • 不動産の保有状況
  • 株式や国債などの保有状況や履歴
  • 生命保険

また、相続の内容や金融機関によっては必要な書類が異なる場合がありますので、くわしくは金融機関にお問い合わせください

遺言書がない場合

遺産分割協議書がある場合

遺産分割協議書がある場合の相続の手続きに必要な書類は次のとおりです。

  • 遺産分割協議書
  • 被相続人(亡くられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

遺産分割協議書がない場合

遺言書と遺産分割協議書がない場合の相続の手続きで必要な書類は次のとおりです。

  • 遺産分割協議書
  • 被相続人(亡くられた方)の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書

家庭裁判所による調停調書・審判書がある場合

家庭裁判所による調停証書・審判書がある場合の相続の手続きには次の書類が必要になります。

  • 預金を相続される方の印鑑証明書
  • 家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本

司法書士に相談

相続の際に預金などお金に関することで、相続人同士のトラブルまで発展してしまうケースも少なくありません。しかし、専門家に依頼することによってそういったトラブルを避けることができます。

当社には相続登記の知識が豊富な司法書士が在任していますので、まずはお気軽にご相談ください。

日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

代表司法書士/計良 宏之

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