相続の期間・期限について

相続の期限・期間

相続が発生したら、相続した人は相続税を納付しなければなりません。相続税の納付期限は、相続する権利があることを知った時から10ヶ月以内と定められています。

期限を過ぎてしまうと、得られるはずの財産を取得できなくなったり、相続税について延滞税を支払わなければならなくなったりする場合もあるため、注意が必要です。

また、期限が定められていない手続きについても、放置しておくと後々トラブルになったりすることもありますので、できるだけ早めにすませておいた方が安心です。

相続が発生すると、配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。なお、配偶者の取得財産の価額が、1億6000万円、または配偶者の法定相続分の2つのうち、どちらか高いほうまでは非課税となる配偶者控除という制度がありますので、亡くなった人のすべての遺産を把握する作業を速やかに行うことが重要です。

財産の棚卸をして、プラスの財産・マイナスの財産(借金)を一覧にした財産目録を作成します。財産目録には、亡くなった方が所有していた土地や建物などの不動産の内容、預貯金や株式等の金融資産の種類や金額、自動車や骨とう品といった動産の内容について記載します。

この時、マイナスの財産が多かった場合、借金を相続したくないという相続人は、相続開始を知ったときから3カ月以内に、手続きを行う必要があります。手続きには家庭裁判所に出向かなければなりません。手続きが遅れると、相続人が借金を引き継いで返済していくことになります。

相続放棄の手続きには以下の書類が必要です。

  • 相続放棄の申述書
  • 相続放棄する人全員の戸籍謄本
  • 亡くなった人の死亡の記載のある戸籍謄本(または出生から死亡までの戸籍謄本)
  • 亡くなった人の住民票除票または戸籍附票

また、亡くなった人の遺産が少額の場合は、特定の相続人に全額相続させるために、ほかの相続人が相続放棄することもあります。この場合は、手続きが遅れても大きなデメリットはありませんが、遺産分割協議が必要になるなど、手間が増えることになります。

遺産分割自体に期限はありませんが、相続税の申告期限である10カ月以内に遺産分割内容が決まらなければ、一旦、法定相続分に基づいた申告をしなければなりません。その場合は、遺産分割後に修正申告が必要となるなどの手間がかかります。

また、遺産分割をせずに放置したまま、相続人が亡くなった場合、さらに相続が開始して相続人が増えるなど、状況が複雑になります。そのため、相続開始後は速やかに遺産分割を行うことが重要です。

また、相続人のために最低限の相続分が法律で保障されており、それを「遺留分」といいます。遺言書がある場合でも、遺産を独り占めすることはできないようになっているのです。相続人の間で遺留分侵害額請求が行われると、相続人の間で協議をすることになります。

相続の期限・期間を過ぎてしまった場合

相続税は原則として現金で一括納付することになっています。相続税を期限までに申告せず、未払いにしていた場合は、次のペナルティがかけられます。

延滞税

税金を未払いにしていたことへのペナルティとして延滞税がかかります。相続税の延滞税の税率は2段階になっており、利率は「銀行の新規の短期貸出約定平均金利」という指標に連動して毎年変わります。

加算税

相続税の申告をしなかった場合に、無申告加算税がかかります。財産を隠したり、証拠書類を偽装したりした場合には、より重い重加算税が課せられることになります。

相続税の一括払いが難しい場合は、インターネットを通じてクレジットカードで納付することも可能です。ただし、納税額が1,000万円未満の場合に限られ、約0.82%の手数料がかかります。

相続に関する期限を延長する方法

相続税の納期を延長することはできません。ただし、納税の期限までに相続税を納めることができない場合は、相続税の延納や物納が可能です。

延納

相続税を分割して納めることを延納といいます。ただし、延納できるケースには条件があります。その条件は以下の4つです。また、未払いの部分に利子税がかかります。

  • 相続税の金額が10万円を超えている
  • 金銭で納付することが困難な金額である
  • 延納申請書を申告期限までに提出する
  • 延納税額に相当する担保を提供する

物納

延納をしても納税が困難な場合に、相続した財産をそのまま納める物納が認められます。金銭の代わりに、有価証券や不動産などの物で納める方法ですが、相続税の全額を当然に物納に代えられるわけではありません。

また、物納できる財産は国が管理処分するのに適したものでなければなりません。物納の対象になる財産には以下のような順序があります。

  • 第1順位:国債、地方債、不動産、船舶
  • 第2順位:社債・株式などの有価証券
  • 第3順位:動産

物納する場合には、物納申請書を相続開始から10カ月以内に税務署に提出しなければなりません。また、物納の手続後、一定期間内に限り物納を撤回して、金銭による納付に戻すこともできます。

日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

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