連帯債務者(れんたいさいむしゃ)について詳しく解説

連帯債務者とは、同一の債務(借金)について、複数の人が一緒に責任を負う人のことです。連帯債務の場合、債務者それぞれが債務の全額について返済義務を負い、債権者はどの債務者に対しても全額を請求できます。

代表的な例は夫婦で住宅ローンを組む場合や、親子で教育ローンを組む場合などです。連帯債務者になると、自分が借りたわけではない借金でも、返済責任を負うことになります。債務整理を考える際には、連帯債務者の存在が重要なポイントとなります。

連帯債務の基本概念

連帯債務とは、複数の債務者が同一の債務について全額の返済義務を負う債務のことです。連帯債務の基本的な特徴を見ていきましょう。

連帯債務の特徴
  • 複数の債務者が同一の債務について全額の返済義務を負う
  • 債権者はどの債務者に対しても全額を請求できる
  • 一人の債務者が全額を返済すれば、債務は消滅する
  • 各債務者の間には「求償権」が生じる
  • 民法上の制度であり、当事者間の合意や法律の規定によって成立する

上記の表は連帯債務の基本的な特徴をまとめたものです。連帯債務では、債権者はどの債務者に対しても債務の全額を請求できるため、債権者にとっては回収の確実性が高まるというメリットがあります。一方、債務者にとっては、自分の負担すべき割合以上の返済を求められるリスクがあります。

連帯債務の法的根拠

連帯債務は民法に規定されており、その法的効果も明確に定められています。主な法的根拠を見ていきましょう。

  • 民法第432条:連帯債務の定義と基本的効果
  • 民法第433条:連帯債務者に対する履行の請求
  • 民法第434条~第440条:連帯債務者の一人に生じた事由の効力
  • 民法第442条:連帯債務者間の求償権
  • 民法第443条:連帯債務者間の償還割合

このリストは連帯債務に関する主な法的根拠を示しています。民法では、連帯債務者の一人に対する請求は他の連帯債務者にも効力が及ぶことや、債務を弁済した連帯債務者が他の連帯債務者に対して求償できることなどが定められています。

連帯債務と保証債務の違い

連帯債務と混同されやすいものに「保証債務」があります。両者は似ているようで異なる制度です。その違いを見ていきましょう。

連帯債務
  • 複数の債務者が同一の債務について全額の返済義務を負う
  • 全ての債務者が主たる債務者として位置づけられる
  • 債権者はどの債務者に対しても最初から全額を請求できる
  • 自分の負担部分を超えて支払った場合、他の債務者に求償できる
  • 住宅ローンの夫婦連帯債務などが典型例
保証債務
  • 主たる債務者の債務について、保証人が返済責任を負う
  • 保証人は主たる債務者の返済補助者として位置づけられる
  • 通常の保証では「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」が認められる
  • 主たる債務者に対して全額の求償権を持つ
  • 住宅ローンの親子保証などが典型例
連帯保証債務
  • 保証債務の特殊形態で、抗弁権が制限される
  • 保証人であるが、連帯債務者と同様に最初から請求される可能性がある
  • 「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」が認められない
  • 連帯保証人は主たる債務者に対して全額の求償権を持つ
  • 消費者金融の借入れでの保証人などが典型例

この表は連帯債務、保証債務、連帯保証債務の違いを示しています。連帯債務者は全員が主たる債務者ですが、保証人は主たる債務者とは別の立場で返済責任を負います。連帯保証人は保証人ですが、連帯債務者と同様に最初から請求される可能性があるため、責任が重くなります。

抗弁権の違い

連帯債務者、保証人、連帯保証人の責任の重さを比較する上で重要なのが「抗弁権」の違いです。それぞれが持つ抗弁権を見ていきましょう。

  • 通常の保証人の抗弁権
    • 催告の抗弁権:まず主たる債務者に請求するよう主張できる権利
    • 検索の抗弁権:主たる債務者に財産があればそこから回収するよう主張できる権利
    • 分別の利益:複数の保証人がいる場合、自分の負担部分のみの支払いを主張できる権利
  • 連帯保証人の抗弁権
    • 催告の抗弁権、検索の抗弁権はない
    • 分別の利益はない
    • 主たる債務者と同様の義務を負う
  • 連帯債務者の抗弁権
    • 固有の抗弁:自分自身の事由(無能力など)による抗弁
    • 共通の抗弁:債務自体の有効性に関する抗弁
    • 分別の利益はない

このリストは各債務者が持つ抗弁権の違いを示しています。通常の保証人は比較的強い抗弁権を持ちますが、連帯保証人や連帯債務者は抗弁権が制限されるため、責任が重くなります。

連帯債務の主な例

連帯債務は私たちの生活の中で様々な場面で見られます。主な例と特徴を見ていきましょう。

住宅ローンの夫婦連帯債務
  • 夫婦が共同で住宅ローンを組む形態
  • 両者の収入を合算して審査が行われる
  • 一方が返済不能になっても、もう一方が全額の返済責任を負う
  • 離婚しても連帯債務者である限り返済責任は残る
事業資金の共同借入れ
  • 複数の事業主が共同で事業資金を借り入れる形態
  • 各事業主が連帯債務者となる
  • 一人の事業主が事業に失敗しても、他の事業主が全額の返済責任を負う
親子の教育ローン
  • 親子で教育ローンを組む形態
  • 多くの場合、親は連帯保証人となるが、場合によっては連帯債務者となることもある
  • 子供が返済不能になると、親が全額の返済責任を負う
賃貸契約の連帯保証
  • 賃貸契約で連帯保証人や連帯債務者となるケース
  • 家賃滞納や原状回復費用について責任を負う
  • 家賃保証会社の利用により個人の連帯保証が不要となるケースも増えている

この表は連帯債務の主な例と特徴を示しています。特に住宅ローンの夫婦連帯債務は一般的であり、両者の収入を合算して審査が行われるため、単独で借りるよりも借入可能額が増えるというメリットがあります。ただし、離婚などで関係が変わっても連帯債務者である限り返済責任は残るため注意が必要です。

法律上当然に発生する連帯債務

連帯債務は当事者の合意によって成立するだけでなく、法律の規定によって当然に発生する場合もあります。

  1. 商法上の連帯債務:商行為によって生じた債務は、当事者が複数いる場合、別段の意思表示がなければ連帯債務となる(商法第511条)
  2. 不法行為の共同不法行為者:複数の者が共同で不法行為を行った場合、被害者に対して連帯して損害賠償責任を負う(民法第719条)
  3. 会社の取締役の第三者に対する責任:取締役が第三者に損害を与えた場合、複数の取締役が連帯して損害賠償責任を負う(会社法第429条)
  4. 建物の区分所有者の共有部分の債務:区分所有建物の共有部分に関する債務は、区分所有者が連帯して責任を負う(区分所有法第19条)

このリストは法律上当然に発生する連帯債務の例を示しています。これらの場合は、特別な合意がなくても法律の規定により連帯債務が発生します。

債務整理と連帯債務者の関係

債務整理を行う場合、連帯債務者の存在が重要なポイントとなります。債務整理の種類別に、連帯債務者への影響を見ていきましょう。

任意整理
  • 一方の債務者の任意整理は他方の連帯債務者には原則として影響しない
  • 一方が任意整理で和解しても、他方には全額の請求が来る可能性がある
  • 両方の連帯債務者が同時に任意整理を行うのが理想的
  • 債権者によっては連帯債務者も含めた一括和解に応じることもある
個人再生
  • 一方の債務者の個人再生は他方の連帯債務者には原則として影響しない
  • 再生計画で認められた減額は連帯債務者には及ばない
  • 減額された分も含めて連帯債務者に請求が来る可能性がある
  • 住宅ローン特則を利用する場合は特に注意が必要
自己破産
  • 一方の債務者の自己破産・免責は他方の連帯債務者には原則として影響しない
  • 免責された債務者に対する請求権は消滅するが、連帯債務者に対する請求権は存続する
  • 全額が連帯債務者に請求される可能性が高い
  • 求償権(自己破産した連帯債務者に対する請求権)も免責の対象となる

この表は債務整理の種類別に連帯債務者への影響を示しています。いずれの債務整理方法でも、一方の債務者の債務整理は他方の連帯債務者には原則として影響せず、連帯債務者は引き続き全額の返済責任を負います。そのため、連帯債務がある場合は、両方の債務者が同時に債務整理を検討することが望ましいでしょう。

求償権と債務整理

連帯債務者の一人が自分の負担部分以上を支払った場合、他の連帯債務者に対して「求償権」が発生します。債務整理における求償権の扱いを見ていきましょう。

  • 求償権の基本:自分の負担部分を超えて支払った連帯債務者は、他の連帯債務者に対してその超過分を請求できる
  • 自己破産と求償権:連帯債務者が自己破産した場合、他の連帯債務者の求償権も免責の対象となる
  • 個人再生と求償権:連帯債務者が個人再生した場合、他の連帯債務者の求償権も再生計画の対象となる
  • 任意整理と求償権:連帯債務者が任意整理した場合、求償権についても交渉の対象となる

このリストは債務整理における求償権の扱いを示しています。一方の連帯債務者が債務整理をしても、他方の連帯債務者は債権者に対する返済義務を免れませんが、求償権については債務整理の効果が及ぶことがあります。

連帯債務者の責任と対策

連帯債務者になることのリスクと、その対策について見ていきましょう。連帯債務者になる前に、十分なリスク理解と対策が必要です。

連帯債務者のリスク
  • 他の連帯債務者が返済不能になると、全額の返済責任を負うことになる
  • 他の連帯債務者の信用状況によって自分の信用情報にも影響が及ぶ
  • 他の連帯債務者との関係が変化しても(離婚など)、返済責任は残る
  • 他の連帯債務者が債務整理をしても、自分の返済責任は免れない
  • 求償権を行使しても実際に回収できないことが多い

この表は連帯債務者のリスクを示しています。連帯債務者になることで借入可能額が増えるなどのメリットがありますが、上記のようなリスクがあることも理解しておく必要があります。

連帯債務者になる前の対策

連帯債務者になる前に、以下のような対策を検討することが重要です。

  1. 他の債務者の信用状況を確認する:収入、資産、他の借入れなどを確認し、返済能力を評価する
  2. 返済計画を明確にする:誰がいくら負担するのか、返済方法などを事前に合意しておく
  3. 公正証書を作成する:内部的な負担割合や相互の権利義務を明確にする公正証書を作成する
  4. 生命保険に加入する:債務者が死亡した場合に備えて、団体信用生命保険などに加入する
  5. 債務の総額を自分一人でも返済できるかを検討する:最悪の場合、全額を自分で返済することになるため

このリストは連帯債務者になる前の対策を示しています。特に住宅ローンなど高額な借入れの場合は、これらの対策を十分に検討することが重要です。

連帯債務者になった後のトラブル対策

すでに連帯債務者になっている場合に、トラブルが発生したときの対策を見ていきましょう。

  • 返済が滞った場合:早急に債権者に連絡し、返済計画の見直しを相談する
  • 離婚する場合:可能であれば連帯債務を解消する(ローンの借り換えなど)
  • 他の連帯債務者が行方不明になった場合:速やかに債権者に状況を説明し、対応を相談する
  • 他の連帯債務者が債務整理をする場合:自分も同時に債務整理を検討する
  • 債権者から一方的に全額を請求された場合:内部的な負担割合を説明し、交渉する
  • 法的手続きが避けられない場合:弁護士や司法書士に相談する

このリストは連帯債務者になった後のトラブル対策を示しています。連帯債務にトラブルが発生した場合は、早めに専門家に相談することが重要です。特に離婚などで関係が変わる場合は、連帯債務の解消も含めて検討することをおすすめします。

まとめ

連帯債務者とは、同一の債務(借金)について、複数の人が一緒に責任を負う人のことです。連帯債務では、債務者それぞれが債務の全額について返済義務を負い、債権者はどの債務者に対しても全額を請求できます。

連帯債務と保証債務は似ているようで異なる制度です。連帯債務者は全員が主たる債務者ですが、保証人は主たる債務者とは別の立場で返済責任を負います。連帯保証人は保証人ですが、連帯債務者と同様に最初から請求される可能性があるため、責任が重くなります。

連帯債務の主な例としては、住宅ローンの夫婦連帯債務、事業資金の共同借入れ、親子の教育ローンなどがあります。また、商行為や共同不法行為などでは、法律の規定により当然に連帯債務が発生することもあります。

債務整理を行う場合、一方の債務者の債務整理は他方の連帯債務者には原則として影響せず、連帯債務者は引き続き全額の返済責任を負います。そのため、連帯債務がある場合は、両方の債務者が同時に債務整理を検討することが望ましいでしょう。

連帯債務者になることには、他の連帯債務者が返済不能になると全額の返済責任を負うというリスクがあります。連帯債務者になる前に、他の債務者の信用状況確認や返済計画の明確化などの対策を講じることが重要です。すでに連帯債務者になっている場合でも、トラブルが発生したときには早めに専門家に相談することをおすすめします。

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