資産目録(しさんもくろく)について詳しく解説

資産目録とは、債務整理や自己破産の手続きを行う際に、債務者が所有するすべての資産(財産)を記載した書類のことを指します。自己破産の申立てをする際には、裁判所に提出する必要がある重要な書類の一つです。

資産目録には、不動産、預貯金、有価証券、自動車、保険、貴金属など、債務者が所有するあらゆる財産を漏れなく記載しなければなりません。これは裁判所が債務者の資産状況を正確に把握し、適切な債務整理手続きを進めるために欠かせない資料となります。

資産目録とは

資産目録は、債務整理、特に自己破産の申立てにおいて裁判所に提出する基本書類の一つです。債務者が所有するすべての財産(資産)を一覧にした書類で、裁判所はこの資料を基に債務者の財産状況を把握します。

自己破産では、債務者の財産は原則として破産財団を構成し、債権者への配当に充てられます。そのため、資産目録は破産手続きの中核をなす重要書類といえます。適切な債務整理手続きを進めるためにも、正確かつ詳細な資産目録の作成が求められます。

資産目録の役割

上記の表は資産目録の主な役割を示しています。資産目録は単なる形式的な書類ではなく、債務整理手続き全体の方向性を決める重要な資料です。

資産目録に記載すべき項目

資産目録には、債務者が所有するすべての財産を記載する必要があります。具体的には以下のような項目が含まれます。

分類 記載すべき具体的項目
不動産
  • 土地(所在地、面積、評価額)
  • 建物(所在地、構造、床面積、評価額)
  • 借地権、借家権
動産
  • 現金(手元にある金額)
  • 預貯金(金融機関名、口座番号、残高)
  • 自動車(メーカー、車種、年式、評価額)
  • 家財道具(特に高価なもの)
  • 貴金属、美術品、ブランド品
  • 電化製品(特に高価なもの)
有価証券
  • 株式(会社名、株数、評価額)
  • 国債、社債、投資信託
  • クレジットカードのポイント
保険・年金
  • 生命保険(保険会社名、証券番号、解約返戻金額)
  • 個人年金保険
  • 医療保険、がん保険など
債権
  • 貸付金(相手方、金額)
  • 売掛金、未収金
  • 敷金、保証金の返還請求権
  • 相続権、遺留分
その他
  • 知的財産権(特許、著作権など)
  • 会員権(ゴルフ会員権など)
  • 仮想通貨
  • ふるさと納税の返礼品

上記の表は資産目録に記載すべき主な項目を示しています。裁判所の書式に従って、それぞれの財産について詳細かつ正確に記載する必要があります。

なお、資産目録の作成に際しては、金融機関の通帳や不動産の登記簿謄本、車検証など、財産の詳細を証明できる資料を準備しておくと良いでしょう。これらの資料は資産目録の内容を裏付ける証拠として重要です。

資産目録作成の注意点

資産目録を作成する際は、以下の点に特に注意する必要があります。正確で詳細な資産目録の作成は、円滑な債務整理手続きの基盤となります。

  1. すべての財産を漏れなく記載する:小さな財産でも隠さず正直に記載しましょう
  2. 評価額は適切に:市場価値に基づいた適正な評価額を記載します
  3. 最新の情報を反映:申立て直前の最新の財産状況を記載します
  4. 過去の処分も記載:直近(おおむね2年以内)に処分した財産も記載が必要です
  5. 共有財産の明記:家族と共有している財産は、その旨と持分比率を明記します
  6. 専門家のサポートを受ける:弁護士や司法書士の助言を得ながら作成することをおすすめします

上記のリストは資産目録作成時の主な注意点です。特に「財産の隠匿」は免責不許可事由となり得るため、些細なものでも正直に記載することが重要です。

資産目録と自由財産

自己破産手続きにおいては、債務者のすべての財産が債権者への配当に充てられるわけではありません。法律によって「自由財産」として手元に残すことができる財産が定められています。これらの財産も資産目録には記載する必要がありますが、破産手続き後も債務者が保持できることになります。

自由財産の種類 内容
法定の自由財産
  • 99万円以下の現金
  • 差押禁止財産(生活に必要な家財道具、衣服、寝具など)
  • 債務者自身の労働により得た報酬(給料)
  • 公的年金、健康保険の給付金
裁量による自由財産
(99条の財産)
  • 裁判所の裁量により自由財産として認められる財産
  • 例:一定額までの自動車、生計維持に必要な工具、少額の保険解約返戻金など
  • 裁判所に申立てを行い、許可を得る必要がある

上記の表は自由財産の主な種類と内容を示しています。資産目録を作成する際は、これらの自由財産についても漏れなく記載し、自由財産であることを明記すると良いでしょう。

なお、自由財産の範囲や裁量による自由財産の認定基準は裁判所によって異なる場合があるため、専門家に相談することをおすすめします。

資産目録が不正確だった場合のリスク

資産目録に記載漏れや虚偽の記載があった場合、様々なリスクが生じる可能性があります。特に意図的な財産隠しは、破産法上の重大な問題となり得ます。

リスク 詳細
免責不許可 意図的な財産隠しは「免責不許可事由」に該当し、借金の免除が認められない可能性があります
破産手続きの長期化 後から財産が発見された場合、追加調査などで手続きが大幅に長引く可能性があります
刑事罰のリスク 悪質な財産隠しは「詐欺破産罪」として刑事罰の対象となる可能性があります
社会的信用の低下 不誠実な行為が明るみに出ることで、社会的信用を大きく損なう恐れがあります

上記の表は資産目録が不正確だった場合の主なリスクです。些細な財産であっても隠さず正直に申告することが、円滑な債務整理手続きの鍵となります。

財産の申告に不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、資産目録の作成ミスを防ぎ、安心して債務整理手続きを進めることができます。

よくある質問

家族名義の財産も記載する必要がありますか?

基本的に、債務者本人の名義になっている財産のみを記載すれば良いですが、実質的に債務者が使用・管理している財産については、名義が家族であっても記載を求められる場合があります。特に、債務者が実質的に所有しているにもかかわらず、意図的に家族名義にしているような場合は注意が必要です。

判断に迷う場合は、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

うっかり記載し忘れた場合も問題になりますか?

故意ではなく単純なミスで記載し忘れた場合でも、後から発覚すると手続きに支障が生じる可能性があります。ただし、故意ではないことが明らかで、発覚後すぐに申告する場合は、免責不許可などの厳しい制裁を受ける可能性は低くなります。

記載漏れに気づいた場合は、速やかに担当の弁護士や司法書士に相談し、裁判所への報告を行うことが重要です。

まとめ

資産目録は、債務整理、特に自己破産の申立てにおいて裁判所に提出する重要書類です。債務者が所有するすべての財産を詳細に記載することで、裁判所が債務者の財産状況を正確に把握し、適切な債務整理手続きを進めるための基盤となります。

資産目録には、不動産、預貯金、有価証券、自動車、保険、貴金属など、あらゆる財産を漏れなく記載する必要があります。また、法律で定められた「自由財産」や裁判所の裁量によって手元に残せる可能性のある財産についても、適切に記載することが重要です。

資産目録の作成に際しては、すべての財産を正直に申告し、適切な評価額を記載することが求められます。記載漏れや虚偽の記載があった場合、免責不許可や手続きの長期化などのリスクが生じる可能性があるため注意が必要です。

不安や疑問がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切なサポートを受けながら資産目録を作成することをおすすめします。正確な資産目録の作成は、円滑な債務整理手続きの第一歩となります。

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