免責(めんせき)について詳しく解説
免責とは、自己破産手続きにおいて、裁判所が債務者の債務(借金)の支払い義務を免除する決定のことです。自己破産をすると、債務者は原則としてすべての財産を処分して債権者に分配する義務を負いますが、それだけでは借金を完済できないことがほとんどです。
そこで、裁判所が「免責許可決定」を下すことにより、残りの借金の支払い義務がなくなり、債務者は経済的に再出発(フレッシュスタート)することができます。免責は自己破産の最大のメリットであり、債務者救済の中心となる制度です。
免責の基本概念
免責は、破産手続きの最終段階で行われる裁判所の決定で、債務者を債務から解放するという重要な役割を持っています。免責の基本的な特徴を見ていきましょう。
免責の意義 |
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上記の表は免責の基本的な意義をまとめたものです。免責は単に債務を免除するだけでなく、債務者に新たな出発の機会を与えるという重要な社会的役割を持っています。
免責の法的根拠
免責の制度は破産法に規定されています。破産法第252条から第256条において、免責許可の要件、免責不許可事由、免責手続き、免責の効力などが定められています。
- 破産法第252条:免責不許可事由
- 破産法第253条:免責審尋
- 破産法第254条:免責許可の決定
- 破産法第255条:免責不許可の決定に対する即時抗告
- 破産法第256条:免責の効力
このリストは免責に関する主な法律条文を示しています。破産法では、債務者の経済的再生を図るため、一定の要件を満たす場合に免責を認めています。ただし、債務者が不誠実な行為を行った場合には免責が認められないこともあります。
免責の流れと手続き
免責を受けるためには、一定の手続きを経る必要があります。自己破産の申立てから免責までの基本的な流れを見ていきましょう。
- 破産・免責の申立て:裁判所に破産および免責の申立てを行います
- 破産手続開始決定:裁判所が破産手続きの開始を決定します
- 破産管財人の選任(管財事件の場合):管財事件では、破産財団を管理する破産管財人が選任されます
- 債権者集会(管財事件の場合):債権者が集まり、債権の確認や破産財団の状況確認などを行います
- 免責審尋:裁判官が債務者に対して面接調査を行います
- 免責許可決定:裁判所が免責を認める決定を下します
- 免責確定:免責許可決定から一定期間(通常2週間)が経過し、異議申立てがなければ免責が確定します
このリストは免責までの基本的な流れを示しています。自己破産には「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があり、手続きの内容や期間が異なります。同時廃止事件では、財産がほとんどないため破産手続きがシンプルで、免責までの期間も比較的短くなります。
同時廃止事件と管財事件の違い
自己破産は、債務者の財産状況によって「同時廃止事件」と「管財事件」に分けられます。それぞれの特徴と免責までの期間を見ていきましょう。
同時廃止事件 |
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管財事件 |
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この表は同時廃止事件と管財事件の主な違いを示しています。個人の自己破産では、処分価値のある資産をほとんど持っていない場合が多いため、同時廃止事件として処理されることが多いです。
免責の効果と範囲
免責が確定すると、どのような効果があるのでしょうか。また、すべての債務が免責されるわけではありません。免責の効果と範囲を見ていきましょう。
免責の基本的効果 |
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この表は免責の基本的な効果を示しています。免責により、債務者は法的な支払い義務から解放され、新たな出発が可能になります。ただし、すべての債務が免責されるわけではありません。
免責の対象となる債務と対象とならない債務
免責の対象となる債務と対象とならない債務について見ていきましょう。破産法では、一部の債務については免責の効力が及ばないと規定しています。
免責の対象となる債務 | |
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免責の対象とならない債務 |
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この表は免責の対象となる債務と対象とならない債務の主な例を示しています。免責の対象とならない債務は免責後も支払い義務が残るため、自己破産を検討する際はこの点を十分に理解しておく必要があります。
免責を受けられないケース
免責は必ず認められるわけではありません。破産法では「免責不許可事由」として、免責が認められない場合を定めています。主な免責不許可事由を見ていきましょう。
絶対的免責不許可事由 |
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相対的免責不許可事由 |
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この表は主な免責不許可事由を示しています。絶対的免責不許可事由に該当する場合は原則として免責が認められません。相対的免責不許可事由は、裁判所の裁量により免責が認められる場合があります。
免責不許可となった場合の対応
万が一、免責不許可事由に該当し、免責が認められなかった場合、どのような対応ができるのでしょうか。主な選択肢を見ていきましょう。
- 即時抗告:免責不許可決定に不服がある場合、2週間以内に高等裁判所に即時抗告できます
- 免責不許可事由を解消して再申立て:不許可の理由を解消した上で、再度申立てを行うことができます
- 時間経過による再申立て:7年経過後に再度申立てを行うことができます
- 個人再生への切替え:要件を満たせば個人再生手続きに移行できる場合があります
- 任意整理への切替え:債権者と個別に交渉して債務整理を行う方法です
このリストは免責不許可となった場合の主な対応策を示しています。どの方法が適しているかは個々の状況によって異なりますので、専門家に相談した上で判断することをおすすめします。
免責後の生活再建
免責を受けた後、どのように生活を再建していけばよいのでしょうか。免責後の生活への影響と再建のポイントを見ていきましょう。
免責後の制限と影響 |
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この表は免責後の主な制限と影響を示しています。これらの制限は一時的なものであり、時間の経過とともに解消されていきます。重要なのは、免責をきっかけとして健全な経済生活を送ることです。
生活再建のポイント
免責後の生活再建のポイントについて見ていきましょう。経済的に再出発するための具体的な方法を理解することが大切です。
- 収入に見合った生活設計:無理のない範囲で生活水準を設定しましょう
- 貯蓄習慣の確立:少額でも定期的に貯蓄する習慣をつけましょう
- 現金中心の生活:当面はクレジットカードなどを使わず、現金での生活を基本としましょう
- 家計簿の記録:収支を細かく記録し、家計を見える化しましょう
- 債務を作らない意識:「借りる」ことへの依存から脱却し、収入の範囲内で生活する意識を持ちましょう
- 将来の目標設定:経済的な目標を立て、それに向かって計画的に行動しましょう
- 金融リテラシーの向上:お金の知識を身につけ、賢い選択ができるようになりましょう
このリストは免責後の生活再建のためのポイントを示しています。自己破産と免責は経済的な再出発の機会です。過去の失敗を教訓にして、健全な経済生活を築いていくことが大切です。
新たな信用の構築
免責後、徐々に新たな信用を構築していくことも重要です。具体的な方法を見ていきましょう。
- 公共料金や家賃の支払いを滞りなく行う
- デビットカードを活用する
- 携帯電話の料金プランを一括払いにして利用実績を作る
- 時間の経過とともに、少額のローンやクレジットカードから始める
- 安定した収入源を確保し、長期的な就労実績を作る
- 預金口座を維持し、安定した入出金の履歴を作る
このリストは免責後に新たな信用を構築するための方法を示しています。信用の回復には時間がかかりますが、一歩ずつ着実に進めていくことで、徐々に経済活動の幅を広げていくことができます。
まとめ
免責とは、自己破産手続きにおいて、裁判所が債務者の債務(借金)の支払い義務を免除する決定のことです。この決定により、債務者は経済的に再出発することができます。
免責を受けるためには、破産申立てから免責審尋などの手続きを経る必要があります。免責不許可事由に該当する場合は免責が認められない可能性がありますので、財産隠しや虚偽の申告などは厳に慎む必要があります。
免責が確定すると、原則としてすべての債務の支払い義務が免除されますが、税金や養育費などの一部の債務は免責の対象外となります。また、免責後も一定期間は信用情報機関への記録や資格制限などの影響があることを理解しておくことが大切です。
免責後は、収入に見合った生活設計や貯蓄習慣の確立など、健全な経済生活を送るための意識改革が重要です。過去の失敗を教訓にして、将来に向けて着実に新たな信用を構築していくことで、真の経済的再生を果たすことができるでしょう。
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