可処分所得(かしょぶんしょとく)について詳しく解説

可処分所得とは、給与や事業収入などの総収入から、税金や社会保険料など強制的に徴収される費用を差し引いた、実際に自由に使える収入のことを指します。個人再生や債務整理において、返済計画を立てる際の重要な基準となり、生活再建のための指標として用いられます。

可処分所得とは

可処分所得とは、個人や世帯が自由に使えるお金の総額を指します。収入から税金や社会保険料など、法的に支払いが義務付けられている費用を差し引いた金額です。簡単に言えば、「手取り収入」に近い概念と言えます。

この可処分所得は、生活費や借金の返済、貯蓄など、各自が自分の意思で使い道を決められるお金の総額を表しています。債務整理の場面では、この可処分所得が返済能力を判断する重要な基準となります。

可処分所得の基本式 可処分所得 = 総収入 – (税金 + 社会保険料)
総収入に含まれるもの
  • 給与収入
  • 事業収入
  • 年金収入
  • 不動産収入
  • その他の収入(副業、配当など)
控除される主な項目
  • 所得税・住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 介護保険料(該当者)

上記の表は可処分所得の基本的な概念と計算要素をまとめたものです。可処分所得の額が大きいほど、生活費や債務の返済に回せる余裕があると考えられます。

可処分所得の計算方法

可処分所得の基本的な計算方法は、総収入から税金や社会保険料を差し引くというシンプルなものですが、より具体的な計算方法を見てみましょう。給与所得者の場合の計算例を示します。

  1. 月々の総収入(給与総額)を把握する
  2. 源泉徴収される所得税を差し引く
  3. 住民税を差し引く
  4. 健康保険料を差し引く
  5. 厚生年金保険料を差し引く
  6. 雇用保険料を差し引く
  7. 介護保険料(40歳以上の場合)を差し引く
  8. その他の法定控除があれば差し引く

上記のリストは可処分所得を計算する一般的な手順を示しています。給与明細を見れば、これらの項目が記載されていることが多いです。

実際の計算例を見てみましょう。月給30万円のケースで考えてみます。(以下は一般的な例であり、個人の状況によって異なります)

総収入(月給) 300,000円
所得税(約5%と仮定) -15,000円
住民税(約10%と仮定) -30,000円
健康保険料(約5%と仮定) -15,000円
厚生年金保険料(約9%と仮定) -27,000円
雇用保険料(約0.5%と仮定) -1,500円
可処分所得 211,500円

上記の表は月給30万円の場合の可処分所得の計算例です。この例では、総収入の約7割が可処分所得となっています。実際の税率や保険料率は個人の状況や年度によって異なりますので、正確な金額は給与明細や確定申告書で確認する必要があります。

債務整理における可処分所得の重要性

債務整理において、可処分所得は非常に重要な要素です。可処分所得は、債務者がどれだけの返済能力を持っているかを示す指標となり、どの債務整理方法が適しているかの判断基準にもなります。

任意整理
  • 可処分所得から生活費を差し引いた額が返済原資となる
  • 十分な可処分所得があれば、債権者との交渉で無理のない返済計画を立てやすい
  • 低金利での分割返済や元金のみの返済などを交渉する際の根拠となる
個人再生
  • 可処分所得が再生計画案の作成に直結する
  • 最低弁済額は「可処分所得×計画期間(原則3年)」または「清算価値」のいずれか大きい方
  • 可処分所得が多いほど、再生計画で支払う総額も多くなる
自己破産
  • 可処分所得が一定基準を上回ると、自己破産ではなく個人再生が勧められることがある
  • 可処分所得の額が生活の余裕度を示し、免責の判断に影響する場合もある
  • 収入が多くても可処分所得が少ない場合、その理由について説明が求められることがある

上記の表は債務整理における可処分所得の重要性をまとめたものです。債務整理の方法を選ぶ際には、自分の可処分所得がどれくらいあるかを正確に把握することが大切です。

また、債務整理の相談時には、可処分所得を証明するために給与明細や確定申告書などの書類が必要になることが一般的です。これらの書類を整理しておくと、相談がスムーズに進みます。

個人再生と可処分所得

個人再生では、可処分所得が再生計画の内容を決める重要な要素となります。可処分所得を基に、「最低弁済額」が計算され、これが債務の減額後に支払う金額の基準となります。

個人再生における最低弁済額は、原則として以下のいずれか大きい方になります。

  • 「可処分所得×36ヶ月(3年)」の金額
  • 「清算価値」(破産した場合に債権者に配当される財産の価値)

上記のリストは個人再生における最低弁済額の基準を示しています。多くの場合、「可処分所得×36ヶ月」が基準となります。

ここで重要なのは、個人再生における「可処分所得」の考え方です。一般的な可処分所得の定義(手取り収入)とは異なり、個人再生では「家計の収支を考慮した上で、債務の返済に充てられる余剰金」という意味合いで使われることが多いです。

個人再生における
可処分所得の考え方
可処分所得 = 手取り収入 – 最低限の生活費
最低限の生活費に
含まれる主な項目
  • 食費・光熱費・通信費などの基本生活費
  • 住居費(家賃、住宅ローン等)
  • 教育費(子どもの学費など)
  • 医療費
  • 交通費
  • その他必要な経費

上記の表は個人再生における可処分所得の考え方をまとめたものです。個人再生では、裁判所が定める「標準的な生活費」を基準に、債務者の家族構成や特殊事情を考慮して最低限の生活費が算定されます。

例えば、月の手取り収入が25万円で、最低限の生活費が20万円と認められた場合、個人再生における可処分所得は5万円となります。この場合、最低弁済額は「5万円×36ヶ月=180万円」となり、これを3〜5年かけて返済することになります。

自己破産と可処分所得

自己破産においても、可処分所得は重要な判断材料となります。特に、可処分所得が多いケースでは、自己破産ではなく個人再生などの他の債務整理方法が適していると判断されることがあります。

自己破産の申立てでは、収入と支出の状況を詳細に報告する必要があり、可処分所得がどれくらいあるかが審査されます。可処分所得が一定以上ある場合、「支払不能」の状態ではないと判断される可能性もあります。

自己破産と可処分所得の関係
  • 可処分所得が少なく、債務の返済が困難な場合→自己破産が適している可能性が高い
  • 可処分所得がある程度あり、計画的な返済が可能な場合→個人再生など他の方法が適している可能性
  • 可処分所得が多いのに破産を申し立てる場合→その理由について説明が求められることがある
免責不許可事由との関連
  • 可処分所得が多いにもかかわらず、浪費や賭博などで債務を増やした場合:免責不許可事由に該当する可能性
  • 収入に見合わない生活水準や不必要な支出があると判断された場合:審査が厳しくなることがある

上記の表は自己破産における可処分所得の位置づけをまとめたものです。自己破産は、あらゆる債務整理方法の中で最も債務者の負担が軽減される方法ですが、それだけに審査も厳格です。

自己破産を検討する際には、収入と支出の状況を正確に把握し、自己破産しか選択肢がないことを説明できるようにしておくことが重要です。また、破産管財人による財産調査では、収入と支出のバランスについても詳しく調査されることがあります。

可処分所得を増やす方法

債務整理を行う際には、可処分所得を増やすことで返済能力を高め、より良い条件での債務整理が可能になる場合があります。以下に、可処分所得を増やすための主な方法をまとめました。

収入を増やす方法

    • 本業での昇給・昇進を目指す
    • 副業やアルバイトを始める
    • スキルアップのための資格取得
    • 転職による収入アップ
    • 家族の就労による世帯収入の増加

支出を減らす方法

    • 固定費(家賃、光熱費、通信費など)の見直し
    • 不要なサブスクリプションの解約
    • 食費の節約(自炊の増加、外食の減少)
    • 交通費の削減(公共交通機関の利用など)
    • 保険や税金の見直し(控除の活用など)

上記のリストは可処分所得を増やすための主な方法をまとめたものです。収入を増やす方法と支出を減らす方法の両面からアプローチすることが効果的です。

ただし、債務整理中は新たな借入れができなくなることが多いため、収入増加や支出削減の計画は現実的なものである必要があります。無理な計画は返済計画の破綻につながる可能性があるため、専門家(弁護士・司法書士)と相談しながら、持続可能な生活設計を行うことが重要です。

よくある質問

可処分所得が少ない場合、債務整理はできますか?

可処分所得が少ない場合でも債務整理は可能です。むしろ、可処分所得が少なく返済が困難な状況は、債務整理が必要なケースと言えます。可処分所得が少ない場合、任意整理では分割返済期間の延長や利息のカットなどの交渉が行われます。

また、可処分所得が極めて少ない場合は、個人再生よりも自己破産が適していると判断されることがあります。自己破産では、原則としてすべての債務が免除されるため、可処分所得が少なくても手続きを進めることができます。どの債務整理方法が適しているかは、専門家(弁護士・司法書士)に相談して判断することをおすすめします。

個人再生における可処分所得の計算方法は?

個人再生における可処分所得は、一般的な可処分所得(手取り収入)から最低限の生活費を差し引いた金額として計算されます。具体的には、給与や事業収入などの総収入から税金・社会保険料を差し引いた手取り収入を算出し、そこから最低限必要な生活費を差し引きます。

最低限の生活費は、裁判所が定める「標準的な生活費」を基準に、債務者の家族構成や特殊事情(病気や障害など)を考慮して算定されます。例えば、単身者の場合は月12〜15万円程度、4人家族の場合は月25〜30万円程度が一般的な目安ですが、地域や個別事情によって異なります。正確な金額は、専門家との相談や裁判所の判断によって決まります。

可処分所得が増えると債務整理にどのような影響がありますか?

可処分所得が増えると、債務整理の方法や条件に影響が出ることがあります。任意整理では、可処分所得が増えると月々の返済額を増やしたり、返済期間を短縮したりすることが可能になります。これにより、債権者との交渉もスムーズに進みやすくなります。

個人再生では、可処分所得が増えると最低弁済額(可処分所得×36ヶ月)も増加します。これは債権者への返済総額が増えることを意味しますが、その分、認可される可能性も高まります。一方、自己破産では、可処分所得が大幅に増えると「支払不能」の状態ではないと判断され、自己破産が認められにくくなる可能性があります。債務整理中に収入が増えた場合は、専門家に相談して対応を検討することが重要です。

まとめ

可処分所得とは、給与や事業収入などの総収入から、税金や社会保険料など強制的に徴収される費用を差し引いた、実際に自由に使える収入のことを指します。債務整理において、この可処分所得は返済能力を判断する重要な指標となります。

可処分所得の基本的な計算方法は、総収入から税金や社会保険料を差し引くというものです。給与明細を確認すれば、手取り収入として可処分所得がわかります。一般的に、総収入の約7割が可処分所得となることが多いですが、個人の状況によって異なります。

債務整理では、任意整理、個人再生、自己破産のいずれにおいても可処分所得が重要な判断材料となります。特に個人再生では、可処分所得×36ヶ月(3年)が最低弁済額の基準になることが一般的です。ただし、個人再生における可処分所得は、手取り収入から最低限の生活費を差し引いた金額として計算されます。

可処分所得を増やす方法としては、収入を増やす方法(昇給・副業・転職など)と支出を減らす方法(固定費の見直し・不要な支出の削減など)があります。可処分所得が増えれば返済能力も高まり、より良い条件での債務整理が可能になる場合があります。

債務整理を検討する際には、自分の可処分所得を正確に把握し、専門家(弁護士・司法書士)に相談して最適な解決策を見つけることが重要です。特に個人再生や自己破産では、可処分所得の額が手続きの可否や条件に大きく影響するため、事前に収支状況を整理しておくことをおすすめします。

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