破産管財人(はさんかんざいにん)について詳しく解説

破産管財人とは、破産手続において裁判所から選任される専門家で、破産者の財産を管理・換価し、債権者に公平に配当する役割を担う人物のことです。主に弁護士が選任され、破産法上の重要な地位を占めています。

破産手続は債務者の全財産を換価して債権者に公平に分配する制度であり、その中心的な役割を果たすのが破産管財人です。破産手続における「管財人」という名称は、財産を「管理」し「財産」を処分する役割に由来しています。

破産管財人の役割と権限

破産管財人は、破産手続において中立的な立場から破産財団(破産者の財産)を管理・処分する権限を持ちます。破産法上、破産管財人には破産財団に属する財産の管理処分権が専属的に与えられています。

破産手続開始決定により、破産者は自身の財産に対する管理処分権を失い、それが破産管財人に移ります。破産管財人は独立した機関として、債権者と破産者の双方から中立的な立場で職務を遂行します。

破産管財人の主な役割
  • 破産財団に属する財産の管理・換価
  • 債権調査・確定
  • 否認権・取戻権等の権利行使の判断
  • 破産債権者への配当
  • 免責調査・意見提出
破産管財人の主な権限
  • 破産財団に属する財産の管理処分権
  • 破産者の代理人としての訴訟追行権
  • 破産者の財産状況・取引履歴等の調査権
  • 否認権の行使
  • 双方未履行の契約の解除・履行選択権

この表は破産管財人の主な役割と権限を示しています。破産管財人は破産法に基づき、広範な権限を持ち、破産手続を円滑に進める中心的な役割を担っています。

破産管財人の選任と資格

破産管財人は、破産手続開始決定と同時またはその後に裁判所によって選任されます。選任される人物は、破産手続の性質上、法律的な専門知識が必要とされるため、ほとんどの場合は弁護士が選任されます。

破産法第74条では、破産管財人の資格について「破産手続を適正に行うのに必要な知識、経験又は能力を有する者」と規定しています。また、破産者と利害関係を有する者は原則として選任されません。

破産管財人の資格と適格性

  • 弁護士(最も一般的)
  • 公認会計士・税理士(財産調査・会計処理が複雑な場合に選任されることもある)
  • 弁護士法人(法人として選任されることもある)
  • 破産者と利害関係のない者(中立性の確保)
  • 破産手続を適正に行う知識・経験・能力を有する者

上記のリストは破産管財人の資格と適格性に関する主な要件を示しています。実務上は弁護士が選任されるケースが大半ですが、事案の複雑さによっては公認会計士等が共同管財人として選任されることもあります。

破産管財人の選任手続き

  1. 裁判所による候補者の選定:各地方裁判所が保有する名簿から選定
  2. 破産開始決定時の選任:破産手続開始決定と同時に選任されることが一般的
  3. 就任承諾:選任された者が就任を承諾
  4. 選任の公告:破産手続開始の公告と共に破産管財人選任も公告される
  5. 裁判所への報告義務の発生:選任された管財人は定期的に裁判所へ報告する義務を負う

このリストは破産管財人の選任手続きの流れを示しています。破産管財人は裁判所によって選任され、裁判所の監督下で職務を行います。

破産管財人と破産者の関係

破産管財人と破産者の関係は、しばしば誤解されることがありますが、破産管財人は破産者の代理人ではありません。破産管財人は裁判所から独立した機関として、中立的な立場で職務を遂行します。

破産者は破産管財人に対して財産の開示、引渡し、説明等の協力義務を負います。一方、破産管財人は破産者の代理人ではなく、むしろ破産債権者全体の利益のために行動する立場にあります。

破産者の義務
  • 破産管財人に対する財産の開示・説明義務
  • 破産管財人の求めに応じて出頭する義務
  • 郵便物等の受領を破産管財人に委ねる義務
  • 居住地を離れる場合の届出義務
  • 破産財団に属する財産の引渡し義務
破産管財人の権限
  • 破産者の財産状況調査
  • 破産者への情報提供要請
  • 破産者の居住地確認
  • 免責についての意見提出
  • 破産者の郵便物等の管理
破産者と管財人の接点
  • 第1回債権者集会前の財産状況等の聴取(管財人面談)
  • 破産財団に関する情報提供や質問への回答
  • 自由財産の範囲に関する協議
  • 免責調査における事実確認

この表は破産者と破産管財人の関係における義務、権限、主な接点を示しています。破産手続において両者の適切な協力関係が手続を円滑に進める上で重要です。

破産管財人の業務内容

破産管財人の業務は多岐にわたり、破産手続の全過程において重要な役割を果たします。主な業務内容は以下の通りです。

財産の調査・確保

  • 破産者の財産状況の調査(預貯金、不動産、有価証券、自動車等)
  • 破産者からの事情聴取
  • 金融機関等への調査
  • 不動産登記簿等の公的記録の調査
  • 破産財団に属する財産の確保・管理
  • 自由財産の範囲確定

このリストは破産管財人が行う財産調査・確保に関する主な業務を示しています。破産手続の初期段階で特に重要な業務です。

債権調査・確定

業務内容 具体的な作業
債権届出の受付
  • 債権届出書の確認
  • 添付資料の精査
  • 債権者リストの作成・管理
債権調査
  • 届出債権の内容確認
  • 債権額・優先劣後関係の精査
  • 抵当権などの担保権の調査
債権認否
債権確定手続
  • 債権確定のための訴訟対応
  • 異議訴訟の追行

この表は破産管財人が行う債権調査・確定に関する主な業務を示しています。債権者間の公平な配当を実現するために重要な業務です。

財産の換価・配当

  1. 換価方法の検討:各財産に適した換価方法(競売任意売却など)の選択
  2. 換価手続の実施:不動産の売却、動産の処分、債権の回収等
  3. 配当原資の確保:換価代金の管理、配当準備
  4. 配当表の作成:配当対象債権者と配当額の確定
  5. 配当の実施:債権者への配当金交付
  6. 最後配当・追加配当:最終的な配当手続の実施

このリストは破産管財人が行う財産の換価・配当に関する主な業務の流れを示しています。破産手続の中核をなす重要な業務です。

否認権等の行使

破産管財人は、破産法上の否認権(特定の財産処分等を無効とする権利)等を行使する権限を持ちます。具体的には以下のような場合に否認権の行使を検討します。

否認権行使の対象
  • 偏頗弁済(特定債権者だけを優遇した弁済)
  • 詐害行為(債権者を害する目的での財産処分)
  • 無償行為(贈与等の対価のない財産処分)
  • 不当な有償行為(著しく不利な条件での財産処分)
否認権行使の手続き
  • 否認対象行為の調査・特定
  • 否認の訴え提起または抗弁提出
  • 否認権行使による財産の取戻し
その他の権利行使
  • 双方未履行契約の解除・履行選択
  • 係属中の訴訟手続の受継
  • 相殺禁止の主張

この表は破産管財人が行使する否認権等の主な内容と手続きを示しています。否認権の適切な行使は債権者間の公平を確保するために重要です。

裁判所への報告・免責調査

  • 管財業務報告書の作成・提出
  • 財産状況報告書の作成・提出
  • 債権者集会における報告
  • 破産法第252条に基づく免責不許可事由の調査
  • 免責についての意見書提出
  • 破産手続終結の申立て

このリストは破産管財人が行う裁判所への報告や免責調査に関する主な業務を示しています。破産管財人は裁判所の監督下で職務を遂行するため、適切な報告が求められます。

少額管財と管財人

個人の破産手続においては、財産や負債の状況によって「少額管財」という簡易な手続が適用されることがあります。少額管財は、一般の管財事件よりも手続きが簡略化され、費用も抑えられる特徴があります。

少額管財においても破産管財人は選任されますが、業務内容や手続きの進行が一部簡略化されています。各地方裁判所によって運用は異なりますが、主な特徴は以下の通りです。

項目 一般管財 少額管財
適用条件
  • 特に条件なし
  • 財産価値が少額
  • 債権者数が少ない
  • 事案が複雑でない
債権者集会
  • 原則として開催
  • 省略されることが多い
手続期間
  • 通常6か月〜1年程度
  • 比較的短期(3〜6か月程度)
予納金
  • 高額(50万円前後が一般的)
  • 比較的少額(20〜40万円程度)
管財人の業務
  • 包括的な調査・換価・配当
  • 簡略化された調査・換価・配当

この表は一般管財と少額管財の主な違いを示しています。少額管財は手続きが簡略化されているため、破産者の負担が軽減される利点があります。

破産管財人に関する注意点

破産手続において破産管財人と適切に対応することは、円滑な破産手続の進行にとって重要です。破産者が破産管財人との関係で注意すべき点は以下の通りです。

  • 破産管財人に対して虚偽の説明をしない(免責不許可事由となる可能性)
  • 破産管財人の調査に積極的に協力する
  • 財産の隠匿・無断処分をしない
  • 破産管財人からの連絡や質問には速やかに対応する
  • 住所変更等があれば速やかに届け出る
  • 自由財産の範囲について事前に確認しておく
  • 破産管財人費用(予納金)を事前に準備する

このリストは破産者が破産管財人との関係で注意すべき主なポイントを示しています。破産管財人への協力は、円滑な破産手続と免責許可のために重要です。

破産管財人費用(予納金)

破産手続において、破産管財人の報酬や諸経費は「予納金」として破産者が事前に納付する必要があります。予納金の金額は裁判所によって決定され、事案の複雑さや財産状況によって異なります。

予納金の概要
  • 一般管財:約40〜70万円程度
  • 少額管財:約20〜40万円程度
  • 同時廃止(管財人がつかない場合):約15〜20万円程度
予納金の内訳
  • 管財人報酬
  • 債権者への通知費用
  • 官報公告費用
  • 財産調査費用
  • その他諸経費
納付時期
  • 破産申立て時に納付するのが原則
  • 分割納付が認められる場合もある
予納金の減額・免除
  • 生活保護受給者等は減額・免除の可能性あり
  • 法律扶助制度の利用可能性

この表は破産管財人費用(予納金)に関する概要を示しています。破産申立てを検討する際には、予納金の準備が必要です。

破産管財人との面談

破産手続が開始し、破産管財人が選任されると、破産者は破産管財人との面談を行います。この面談は通常、破産手続開始決定後すぐに行われ、破産者の財産状況や債務の発生原因などを詳しく聴取します。

  1. 面談の準備:身分証明書、財産関係書類、債務関係書類等を準備
  2. 財産状況の説明:預貯金、不動産、自動車、有価証券等の財産について詳細に説明
  3. 債務発生原因の説明:債務がどのように発生したかを時系列で説明
  4. 家計状況の説明:収入・支出の状況、家族構成などを説明
  5. 質問への回答:破産管財人からの質問に対して正確に回答
  6. 自由財産の協議:自由財産の範囲について協議(生活必需品等)
  7. 今後の手続きの説明:破産管財人から今後の手続きについての説明を受ける

このリストは破産管財人との面談における主な流れを示しています。面談では正確かつ誠実に回答することが重要です。

まとめ

破産管財人は、破産手続において裁判所から選任される専門家で、破産者の財産を管理・換価し、債権者に公平に配当する役割を担っています。主に弁護士が選任され、破産法上の重要な地位を占めています。

破産管財人の主な業務は、破産財団に属する財産の調査・確保、債権調査・確定、財産の換価・配当、否認権等の行使、裁判所への報告・免責調査など多岐にわたります。破産者は破産管財人に対して財産の開示、引渡し、説明等の協力義務を負います。

個人の破産手続においては、財産や負債の状況によって「少額管財」という簡易な手続が適用されることがあります。少額管財では手続きが簡略化され、予納金も比較的少額になる利点があります。

破産手続を円滑に進めるためには、破産管財人への協力が不可欠です。虚偽の説明や財産の隠匿は免責不許可事由となる可能性があるため、誠実な対応が求められます。また、破産申立てを検討する際には、破産管財人費用(予納金)の準備も必要です。

債務整理用語集一覧に戻る

借金問題に強い杉山事務所の無料相談

杉山事務所で無料相談

  • 毎月1万件以上の相談実績

  • 初期費用や相談料が無料

  • 過払い金の回収額が毎月1億円以上

過払い金請求

運営者情報

債務整理の用語集