借金滞納や債務整理で証券口座は凍結される?株やNISAが没収される条件と資産を守る手順
投資信託や株が入っている証券口座は、借金の滞納や債務整理で凍結されてしまうのでしょうか?
クレジットカードの支払いやカードローンの返済が厳しくなり、債務整理を検討し始めました。しかし、将来のために少しずつ積み立ててきたNISA(つみたてNISA)や、わずかですが個別株を保有している証券口座があります。
銀行口座は借金を滞納すると凍結されると聞きますが、証券口座も同じようにログインできなくなったり、勝手に売却されて返済に充てられたりするのでしょうか?生活防衛資金として残しておきたい気持ちもあり、手続きに踏み切れません。
証券口座自体は原則凍結されませんが、連携する銀行や手続きの種類によって資産処分の扱いが異なります。
借金の返済が遅れたり、債務整理を弁護士に依頼したりしただけで、直ちにすべての証券口座が凍結されるわけではありません。証券会社と借入先の金融機関が全く無関係であれば、基本的にはそのまま保有を続けることが可能です。
ただし、証券口座と銀行口座を連携させる「スイープサービス」を利用している場合や、同じ金融グループ内で借入がある場合は、契約約款に基づき資金が相殺(ロック)されるリスクがあります。また、自己破産を選択する場合は、株式や投資信託も「資産」とみなされ、原則として処分の対象となります。
この記事では、証券口座が影響を受ける具体的なケースと、あなたの大切な資産が意図せず相殺や差押えに遭わないための事前確認手順を詳しく解説します。
この記事でわかること
証券口座が凍結される条件と仕組み
まず、「口座凍結」という言葉の意味を整理する必要があります。借金問題において一般的に言われる「凍結」とは、銀行カードローンなどの返済が滞った際、その銀行の預金口座からお金が引き出せなくなり、残高が借金の返済に強制的に充当される(相殺される)状態を指します。では、証券口座の場合はどうなるのでしょうか。
単なる滞納で証券口座は凍結されない
結論から言えば、クレジットカード会社や消費者金融への支払いを滞納しただけで、無関係の証券口座が突然凍結されることはありません。証券会社はあくまで「投資商品を預かっている機関」であり、あなたが他の場所で借金をしているという情報は、信用情報機関(CICやJICC)を通じて共有されるものの、それを理由に取引を停止する権限や動機がないからです。
例えば、A社のクレジットカードを滞納してブラックリスト(信用情報に事故情報が登録される状態)になったとしても、B証券での株取引や投資信託の積立は通常通り継続できます。信用情報は「新たな借入れ」の審査には影響しますが、「既存の資産運用」を止める効力は持っていません。
証券口座が止まる3つの例外ケース
「原則凍結されない」とはいえ、以下の3つのケースに該当する場合は、証券口座内の現金(預り金)や有価証券が動かせなくなる、あるいは没収される可能性があります。ご自身の状況がこれらに当てはまっていないか、まずは確認が必要です。
| 1. グループ内相殺 | 証券会社と借入先の銀行が同じグループで、口座連携(スイープ)などを設定している場合。銀行側の借金返済のために、証券口座の資金が拘束される可能性があります。 |
|---|---|
| 2. 裁判所の差押え | 債権者が裁判を起こし、「判決」や「仮執行宣言付支払督促」を取得した場合。裁判所の命令により、証券口座内の資産が差し押さえられます。 |
| 3. 破産管財人の管理 | 自己破産を申し立て、破産手続開始決定が出た場合。一定額以上の資産は「破産財団」に組み入れられ、管財人の管理下で換価(現金化)され債権者に配当されます。 |
特に注意が必要なのは「1. グループ内相殺」です。これは裁判所を通さず、銀行との契約約款に基づいて自動的に行われるため、予期せぬタイミングで発生します。次の章で詳しく見ていきましょう。
銀行連携サービスによるロックのリスク
近年、ネット証券とネット銀行をセットで利用すると金利が上がったり手数料が下がったりする「連携サービス」が普及しています。非常に便利ですが、借金返済が苦しい状況では、この連携が「資産を守れない抜け穴」になる危険性があります。
自動入出金(スイープ)サービスの罠
「スイープサービス」とは、証券口座で株を買う際に不足金を銀行口座から自動で振り替えたり、逆に証券口座の余った現金を銀行口座へ自動で戻したりする機能です。もしあなたが、この連携先の銀行からカードローンでお金を借りており、その返済が滞った場合、どうなるでしょうか。
銀行は貸したお金を回収するために、あなたの銀行口座を凍結し、預金残高を借金と相殺します。このとき、契約内容によっては「連携している証券口座の預り金(現金)」も、銀行口座へ吸い上げられて相殺の対象となる場合があります。株式や投資信託そのものを勝手に売却されるケースは稀ですが、配当金や売却代金として証券口座に入った現金(MRF含む)が、即座に銀行の借金返済に回されるリスクは否定できません。
注意すべき具体的な組み合わせ例
以下のような組み合わせで「銀行カードローンの滞納」や「銀行を対象とした債務整理」を行う場合は、証券口座への影響を警戒する必要があります。
- 楽天証券 × 楽天銀行(マネーブリッジ)
- SBI証券 × 住信SBIネット銀行(SBIハイブリッド預金)
- auカブコム証券 × auじぶん銀行(auマネーコネクト)
- GMOクリック証券 × GMOあおぞらネット銀行(証券コネクト口座)
- 大手証券会社 × グループ系列のメガバンク
特に「ハイブリッド預金」のような仕組みは、法的には「銀行預金」として扱われることが多く、銀行側の債務整理対象に含めた時点で完全に凍結されます。証券会社の画面からは残高が見えていても、出金指示が出せなくなります。
債務整理の手続き別に見る資産への影響
「借金を整理したいけれど、株や投資信託は手放したくない」という場合、どの債務整理手続きを選ぶかによって結果が大きく異なります。手続きごとに、証券口座の資産がどう扱われるかを比較します。
任意整理:証券口座を守れる可能性が高い
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と個別に交渉する手続きです。最大のメリットは「整理する借金を選べる」点です。
もしあなたがA銀行のカードローンとB社のクレジットカードを利用していて、証券口座はC証券(A銀行とは無関係)にあるとします。この場合、A銀行とB社だけを任意整理の対象とし、C証券には一切触れずに手続きを進めることが可能です。資産を維持したまま、借金の利息カットや分割払いの交渉ができます。
ただし、前述の通り「借入先の銀行」と「証券会社」が連携している場合は注意が必要です。その銀行を任意整理の対象から外す(そのまま払い続ける)か、事前に連携を解除して資金を移動させておくなどの対策が必須となります。
個人再生:資産価値の分だけ返済額が増える
個人再生は、借金を大幅に減額(原則5分の1など)して分割返済する、裁判所を通す手続きです。この手続きには「清算価値保障の原則」というルールがあります。「持っている資産以上の金額は、最低限返済しなければならない」という決まりです。
例えば、借金が500万円あり、個人再生で100万円まで減額したいとします。しかし、証券口座に200万円分の株式を持っていた場合、「あなたは200万円の資産を持っているのだから、最低でも200万円は返済してください」と判断されます。つまり、株を売却して手放す必要はありませんが、保有している株の評価額分だけ、個人再生後の返済総額が増えてしまうのです。結果的に、返済計画が厳しくなり、株を売って現金化せざるを得なくなるケースもあります。
自己破産:原則としてすべて処分される
自己破産は、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。その代わり、生活に必要最低限の財産(99万円以下の現金など)を除き、すべての資産を手放して債権者への配当に充てる必要があります。
証券口座にある株式、投資信託、国債などは、原則としてすべて処分の対象です。手続き開始決定後に、裁判所が選任した破産管財人が証券会社に対して解約・売却の手続きを行い、お金に変えてしまいます。「NISAだから」「子供の学資代わりだから」という理由は通用しません。完全に手元からなくなると考えてください。
※例外として、評価額の合計が20万円以下など極めて少額である場合は、処分のコストが上回ると判断され、手元に残せるケース(同時廃止事件など)もありますが、これは裁判所の運用によります。
強制執行による差押えまでのタイムライン
「債務整理はまだしていないが、借金を長く滞納している」という場合、もっとも警戒すべきは債権者による「強制執行(差押え)」です。銀行口座の差押えが有名ですが、証券口座も立派な差押えのターゲットになり得ます。
証券口座がバレる理由
「証券口座を持っていることなんて、借入先には分からないはず」と思っていませんか? 確かに、信用情報機関に証券口座の情報は載っていません。しかし、債権者は以下のような方法で特定を試みます。
- 口座振替の履歴:過去に一度でも、銀行口座から証券会社への入金や、証券会社からの出金記録があれば、通帳の差押えや調査で発覚します。
- 財産開示手続:裁判所を通じて、債務者を呼び出し「どこにどんな資産があるか」を陳述させる手続きです。ここで嘘をついたり隠したりすると刑事罰の対象となるため、証券口座の存在を白状せざるを得なくなります。
- 第三者からの情報取得手続:法改正により、裁判所を通じて金融機関へ照会をかけることが容易になりました。
差押え命令が届くとどうなるか
裁判所から証券会社に「債権差押命令」が届くと、その時点で口座内の資産は凍結(ロック)されます。以下の流れで処理が進みます。
- 証券会社へ差押命令が送達される(この時点で売買・出金が不可になる)。
- あなた(債務者)へ差押命令が届く(通常、証券会社より数日遅れます)。
- 預り金(現金)がある場合は、その金額が債権者へ支払われる。
- 現金が不足している場合、株式や投資信託が強制的に市場で売却される。
- 売却代金から手数料などを引いた残りが債権者へ支払われる。
特に信用取引などを行っている場合、強制決済によって思わぬ損失が確定することもあります。この段階まで来てしまうと、資産を守る手立てはほぼありません。手遅れになる前に手を打つ必要があります。
NISA口座の特有リスクと事前の対処法
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用している方も多いでしょう。これらは特殊な口座ですが、借金問題においては扱いが異なります。
iDeCo(イデコ)は差押え禁止財産
まずiDeCoについてですが、これは法律で「差押え禁止財産」として守られています。借金を滞納しても、自己破産をしても、iDeCoの積み立て資産が没収されることはありません。これは老後の生活保障という性格が強いためです。ただし、掛金の支払いを継続できるかどうかは家計収支の問題となります。
NISAは通常の資産と同じ扱い
一方、NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠)に入っている資産は、法的には通常の預かり資産と何ら変わりません。差押えも可能ですし、自己破産では処分の対象となります。「国が推奨している制度だから守られる」という特例はないのです。
NISA口座の金融機関変更は時間がかかる
「借入先と同じ銀行グループの証券会社だから、別の証券会社にNISA口座を移したい」と考えるかもしれません。しかし、NISA口座の金融機関変更は年単位の手続きであり、数週間〜数ヶ月を要します。また、すでに保有している商品をそのまま別の証券会社に移管(移し替え)することは、NISAの仕組み上できません(一度売却して、新しい会社で買い直す必要がありますが、非課税枠は消費されます)。
つまり、NISA口座内の資産を守るために「口座を引っ越す」という手段は、緊急時の対策としては不向きです。連携解除か、売却して現金化し、安全な場所へ移すかが現実的な選択肢となります。
口座への影響を回避して借金を整理する手順
証券口座の資産を守りつつ、借金問題を解決するためには、正しい順序で動くことが不可欠です。専門家に相談する前に、ご自身でやっておくべき準備作業をまとめました。
手順1:銀行との連携(スイープ)を解除する
借入がある銀行と証券会社が連携している場合は、今すぐ証券会社のマイページやアプリから「自動入出金サービス」「スイープサービス」「マネーブリッジ」等の設定を解除してください。
これにより、銀行口座が凍結された際、証券口座まで道連れにされる「自動的な資金移動」を防ぐことができます。これは債務整理をする・しないに関わらず、滞納リスクがある時点ですぐに行うべき処置です。
手順2:証券口座の預り金を別銀行へ出金する
証券口座内に現金(買付余力)がある場合、それを借入先とは全く無関係の銀行口座へ出金しておきます。
もし全ての銀行口座に借金がある場合は、ネット銀行などで新たな口座を開設するか、家族名義の口座へ生活費として渡す(贈与にならない範囲で家計に入れる)などの対策を検討しますが、資産隠しと疑われないよう注意が必要です。現金を手元(タンス預金)で管理するのが最も確実な場合もあります。
手順3:正確な資産評価額を把握する
「今の時点で、株や投資信託がいくらあるか」を正確に把握します。証券会社の管理画面で「評価額合計」を確認し、スクリーンショットやCSVデータで保存してください。
専門家に相談する際、「借金は300万円、証券口座に50万円の資産がある」と具体的に伝えることで、任意整理で守れるか、個人再生でどれくらい返済額が増えるか、的確なアドバイスがもらえます。
手順4:売却の要否を判断する前に相談へ
「バレる前に売ってしまおう」と焦る人がいますが、少し待ってください。
自己破産を検討している場合、直前に株を売却して現金化し、それを特定の債権者への返済や遊興費に使ってしまうと「免責不許可事由(借金をゼロにできない理由)」や「偏頗弁済(へんぱべんさい)」とみなされ、手続きが不利になるリスクがあります。
売却すべきか、そのまま保有して任意整理すべきかは、資産額と借金額のバランスによります。連携解除と現状把握だけ済ませたら、まずは無料相談で「この資産を守りながら整理する方法はあるか」を確認するのが安全です。
まとめ
証券口座は、単なる借金滞納では凍結されませんが、銀行との連携サービスや法的手続き(自己破産・強制執行)によっては資産を失うリスクがあります。特にNISAなどの長期投資は、一度失うと再構築に時間がかかるため、手遅れになる前の判断が重要です。
「任意整理」であれば、証券口座を対象から外し、資産を守りながらカードローンなどの借金だけを整理できる可能性が十分にあります。自己破産しかないと思い込む前に、選択肢を比較検討することが資産防衛の第一歩です。
債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、証券口座やNISA資産への影響についての相談もできるので、あなたの状況に合った次の一歩を検討してみてください。
借金問題に強い杉山事務所の無料相談
| おすすめの理由 |
|---|
| 毎月1万件以上の豊富な実績 |
| 初期費用や相談料が無料 |
| 過払い金の回収額が毎月1億円以上 |
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。


