社内貸付がある状態で債務整理すると会社にバレる?手続き別の通知リスクと給与天引きへの対処手順
社内貸付を利用中ですが債務整理をすると会社にバレますか?
会社の福利厚生である社内貸付制度(従業員貸付)で50万円ほど借りており、毎月の給料から天引きで返済しています。それ以外にカードローンやリボ払いの借金が300万円あり、返済が厳しくなってきたため債務整理を検討しています。
しかし、職場に借金のことがバレて居づらくなるのだけは避けたいです。司法書士や弁護士に依頼すると、会社に連絡が行ったり、給料の天引きが止まったりして怪しまれるのでしょうか。社内貸付がある場合の注意点と、会社に知られずに借金を整理する方法があれば教えてください。
任意整理で社内貸付を除外すればバレませんが、個人再生や自己破産は通知が届き確実にバレます。
社内貸付を利用している場合、会社も「債権者(お金を貸している相手)」という扱いになります。そのため、すべての借金を対象とする「個人再生」や「自己破産」を選ぶと、裁判所の規定により会社へ通知を送る必要があり、借金の事実と手続きの開始が確実に知られてしまいます。
一方で、整理する借金を選べる「任意整理」であれば、社内貸付を手続きの対象から外し、これまで通り給与天引きで支払い続けることで、会社に通知を行かず秘密裏に進めることが可能です。ただし、借金額が大きく任意整理では解決できない場合や、すでに支払いが遅れている場合は選択肢が限られます。
この記事では、社内貸付がある状態での手続きごとのバレるリスク、給与天引きの扱い、退職金見込額証明書の取得など、職場バレを防ぐために確認すべきポイントと具体的な手順を解説します。
この記事でわかること
社内貸付があるときに会社にバレる分岐点
社内貸付(従業員貸付制度)を利用している場合、会社はあなたの雇用主であると同時に「お金を貸している債権者」でもあります。債務整理を行う際、この「債権者としての会社」をどう扱うかによって、バレるかどうかが決まります。
まずは、検討している手続きの種類によって、会社への連絡や通知がどうなるのか、リスクの全体像を把握しましょう。
手続き別の会社バレリスク判定表
債務整理には主に3つの方法がありますが、社内貸付がある場合のリスクは以下のように明確に分かれます。
| 手続きの種類 | 会社バレのリスクと理由 |
|---|---|
| 任意整理 |
バレない可能性が高い 社内貸付を整理対象から「除外」できるため。会社には何も通知せず、今まで通り給与天引きで返済を続ければ、表面上の変化はない。 |
| 個人再生 |
ほぼ確実にバレる すべての債権者を平等に扱う義務があるため、社内貸付だけ除外できない。裁判所や弁護士から会社へ通知が届く。また、退職金見込額証明書が必要になる。 |
| 自己破産 |
確実にバレる 個人再生と同様、会社も債権者として扱われるため通知が必須。さらに、社内貸付の残高は相殺され、退職金見込額の算出も求められるため、隠すことは不可能。 |
このように、「任意整理」だけが唯一、社内貸付がある状態で会社にバレずに進められる手続きとなります。借金総額が年収の3分の1程度までで、分割払いで完済できる見込みがあるなら、まずは任意整理での解決を最優先に検討すべきです。
給与天引き(控除)が継続されるかどうかが鍵
会社にバレないための最大のポイントは、「給与明細の変化」です。社内貸付の返済は給与天引きで行われていることがほとんどですが、この天引きが突然止まったり、金額が変わったりすると、経理担当者は「何かあったのか?」と違和感を持ちます。
任意整理で社内貸付を除外する場合、会社との契約はそのまま継続されるため、給与天引きも今まで通り続きます。経理上の処理に変更が生じないため、手続きをしていることを察知されるきっかけを与えずに済みます。
任意整理で社内貸付を隠し通すための条件
任意整理を選択すれば自動的にバレないわけではありません。社内貸付を除外して進めるためには、いくつかの条件をクリアし、慎重に手順を踏む必要があります。依頼する司法書士や弁護士との連携も不可欠です。
1. 受任通知の送付先から会社を外す
債務整理を依頼すると、専門家から各債権者へ「受任通知(介入通知)」が送られます。これを受け取った債権者は、本人への直接連絡や取り立てができなくなります。
この受任通知を送るリスト(債権者一覧)から、意図的に「勤務先の会社」を外すように依頼してください。これが「社内貸付を除外する(任意整理の対象外にする)」という手続きの核心です。これにより、会社には通知が届かず、今まで通りの契約が継続されます。
2. 社内貸付の返済を遅れずに続ける支払い能力
社内貸付を除外するということは、その返済については一切の減額や猶予がないことを意味します。つまり、以下の「二重の支払い」を続けられる家計状況でなければなりません。
- 給与天引き:社内貸付の返済(今まで通り)
- 銀行振込:任意整理したカードローン等の返済(減額された月々の支払額)
もし、給与天引き後の手取り額だけでは任意整理後の支払いができない場合、結局は破綻してしまいます。無料相談の段階で、「天引き後の手取り月収」と「生活費」を正確に伝え、無理のない返済計画が立つかをシミュレーションしてもらうことが重要です。
3. 銀行口座の凍結リスクと給与振込口座の管理
社内貸付とは直接関係ありませんが、給与振込口座に指定している銀行のカードローンを任意整理の対象にする場合は注意が必要です。受任通知が届いた時点でその口座は凍結され、給与が引き出せなくなる恐れがあります。
口座が凍結されて給与が戻ってしまうと、経理担当者から「振り込みができませんでした」と連絡が来ます。これを避けるため、依頼する前に給与振込口座を、借金のない別の銀行口座へ変更しておく必要があります。口座変更自体は「メインバンクを変えたい」等の理由で通りますが、タイミングを誤るとバレる原因になります。
個人再生と自己破産で会社にバレる決定的な理由
借金の額が年収を超えているなど、任意整理では解決が難しい場合は、個人再生や自己破産を検討することになります。しかし、これらの手続きでは「債権者平等の原則」という法的ルールが厳格に適用されるため、会社に内緒にするのは不可能です。
すべての債権者を届け出る義務がある
個人再生や自己破産は、裁判所を通じて借金を大幅に減免する強力な手続きです。その代わり、すべての借金(債務)を隠さずに申告しなければなりません。特定の借金だけを除外することは法律で禁止されています。
社内貸付も立派な「借金」です。これを隠して申告しなかった場合、「虚偽の申告」とみなされ、免責が許可されなかったり、手続き自体が廃止になったりする重大なリスクがあります。そのため、弁護士や司法書士も、社内貸付があることを知っていれば必ず債権者リストに加えます。
会社に「受任通知」と「裁判所の呼出状」が届く
社内貸付を債権者リストに加えると、会社に対して以下の書類が届きます。
- 受任通知:弁護士などが介入したことを知らせる通知。「以後の連絡は代理人へ」という内容。
- 債権調査票:「いくら貸していて、残高はいくらか」を会社に回答させる書類。
- 裁判所からの通知:手続き開始決定の通知など。
これらが会社(通常は総務や経理、人事宛て)に届いた時点で、あなたが債務整理を始めたことは確定的になります。ごまかすことはできません。
偏頗弁済(へんぱべんさい)の禁止
「会社にバレたくないから、手続き直前に社内貸付だけ一括返済してしまおう」と考える人がいますが、これは非常に危険な行為です。
支払不能になった状態で特定の債権者(この場合は会社)にだけ返済することを「偏頗弁済」と呼び、法律で禁止されています。もしこれを行うと、その返済分を取り戻すよう管財人から会社へ請求が行ったり(否認権の行使)、最悪の場合は自己破産の免責が下りなくなったりします。結果として、会社に迷惑をかけた上にバレるという最悪の事態を招きます。
退職金見込額証明書の取得で怪しまれない言い訳
個人再生や自己破産では、資産状況を確認するために「退職金見込額証明書」の提出を求められます。これは「今辞めたらいくら退職金が出るか」を会社に証明してもらう書類です。
まだ辞める気がないのにこの証明書を請求すると、「退職するつもりなのか?」あるいは「何か事情があるのか?」と勘繰られる原因になります。会社に通知が行く前段階であっても、この書類取得がバレるきっかけになることが多いです。
取得理由として使える言い訳リスト
証明書を申請する際、理由を聞かれた場合に備えて自然な回答を用意しておく必要があります。
| 言い訳のパターン | メリットと注意点 |
|---|---|
| 住宅ローンの審査 |
最も一般的で怪しまれにくい。 「ペアローンを組む審査で必要と言われた」「借り換えの審査で求められた」など。ただし、後日「家買ったの?」と聞かれた時の答え(審査に落ちて諦めた等)を用意しておく必要がある。 |
| 生命保険の見直し |
ライフプランの設計という名目。 「ファイナンシャルプランナーに老後資金の相談をしており、退職金の計算が必要になった」と説明する。 |
| iDeCo等の資産運用 |
公的制度の利用を理由にする。 「iDeCoの掛金設定のために必要と言われた気がする」等。ただし、実際には不要なケースも多いため、詳しく突っ込まれると弱い。 |
なお、就業規則(退職金規程)に計算式が明記されている場合は、わざわざ証明書を請求しなくても、「退職金規程のコピー」と「自分で計算した計算書」を提出することで、裁判所が認めてくれるケースがあります。まずは会社の規定を確認し、計算式が載っていないかチェックしてください。
会社にバレた時に起きるリスクと事後対応
もし個人再生や自己破産を選択して会社にバレた場合、あるいは何らかのミスで任意整理中にバレてしまった場合、会社での立場はどうなるのでしょうか。法的な観点と実務的な観点で整理します。
借金を理由とした解雇は法律上できない
最も心配なのは「クビになるか」ですが、原則として借金や自己破産を理由とした解雇は不当解雇にあたり、法律で認められていません。
労働契約法では、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。プライベートな借金問題は業務遂行能力とは直接関係がないため、これを理由に懲戒解雇することはできません。就業規則に「破産した者は解雇する」と書いてあっても、その規定自体が無効と判断される可能性が高いです。
社内貸付の一括返済を求められる(期限の利益喪失)
解雇はされませんが、社内貸付の契約については大きな影響があります。通常、金銭消費貸借契約書には「期限の利益喪失条項」が含まれています。これは、「破産や再生手続の申し立てをした場合、分割払いの権利を失い、直ちに残額を一括で返済しなければならない」というルールです。
手続き開始と同時に、会社は残っている貸付金を一括返済するよう求めてきます。もちろん、お金がないから債務整理をしているので払えないのですが、ここで発生するのが「相殺(そうさい)」です。
給与や退職金との相殺リスク
会社側は、貸したお金を回収するために、未払いの給与や将来支払う退職金と借金を相殺しようとします。
- 給与との相殺:労働基準法により、給与は全額払いが原則ですが、労使協定がある場合や、調整的な相殺は行われる可能性があります。ただし、給与の4分の3(または33万円を超える部分)は差押え禁止債権として守られるため、全額没収されることはありません。
- 退職金との相殺:退職時に支払われる退職金から、未返済分を差し引くことは一般的です。自己破産の場合、退職金の見込額の一部が資産として扱われますが、実際の退職時に社内貸付と相殺されることで処理が終わるケースもあります。
職場での居心地が悪くなることは避けられませんが、法的には「今の仕事を続ける権利」は守られています。「会社に迷惑をかけたので辞めます」と自ら申し出る必要はありません。
どうしてもバレたくない場合の最終手段
「個人再生や自己破産が必要なレベルの借金があるが、社内貸付があるため絶対に会社には知られたくない」。この板挟み状態に陥った場合、取れる手段は限られます。
親族に援助を頼み、社内貸付を完済してから申し立てる
手続き前に社内貸付を完済してしまえば、会社は債権者ではなくなるため通知は行きません。しかし、前述の通り自分の資産で特定の債権者だけに返すのは「偏頗弁済」になり禁止されています。
唯一の例外は、「親族などの第三者にお金を出してもらい、その第三者が直接会社へ返済する(第三者弁済)」あるいは「親族から借りたお金で完済し、その事実は家計簿等できちんと証明する」という方法です。これならば、あなたの資産(本来他の債権者に配られるべきお金)を減らさずに社内貸付を消滅させられるため、問題視されない可能性があります。ただし、非常にデリケートな法判断が必要になるため、必ず実行前に弁護士へ相談してください。
無理をしてでも任意整理で粘る
社内貸付以外の借金を、最長期間(5年〜)の分割払いにすることで、なんとか毎月の支払額を払える範囲に収める方法です。ボーナス払いの併用や、将来利息の完全カットを交渉することで、ギリギリ成立する可能性があります。
ただし、生活費を切り詰めても支払えない計画を立てると、数ヶ月で破綻し、結局は自己破産(=会社バレ)に追い込まれます。一時しのぎではなく、本当に完済まで走り切れるかの冷静な判断が必要です。
まとめ
社内貸付がある状態での債務整理は、手続きの選び方一つで今後の会社生活が大きく変わります。任意整理で社内貸付を除外できれば、給与天引きを続けたまま、誰にも知られずに他の借金を減らすことが可能です。
一方で、借金額が大きすぎて個人再生や自己破産しか道がない場合は、会社への通知は避けられません。しかし、バレたからといって即解雇になるわけではなく、法律で守られた権利があります。隠して手続きをして取り返しがつかない事態になる前に、専門家と「バレない戦略」か「バレた後の防衛策」を練ることが重要です。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。


