警備員は自己破産で登録抹消になる?資格制限の期間と仕事を続ける手順

警備員をしていますが、借金が払えず自己破産を考えています。資格は取り消しになるのでしょうか?解雇されずに仕事を続ける方法はありますか?

交通誘導と施設警備の仕事を掛け持ちしている40代男性です。カードローンやリボ払いの借金が300万円を超え、毎月の返済が給料の手取り額に迫っており、もう限界だと感じています。

インターネットで調べたところ、警備員は「欠格事由」に該当するため、自己破産すると仕事ができなくなると書かれていました。会社には借金のことを話していませんし、クビになったら生活ができません。持っている警備業務検定の資格証も没収されてしまうのでしょうか?

自己破産をすると具体的にいつからいつまで働けなくなるのか、会社にバレずに手続きできるのか、あるいは警備員のまま借金を整理するほかの方法がないか教えてください。

自己破産は警備業法の「欠格事由」に該当するため、手続き中は警備業務に従事できませんが、配置転換や「個人再生」の選択で仕事を失わずに済む可能性があります。

ご不安な心中、お察しいたします。警備員という職業は、法律(警備業法)によって厳格なルールが定められており、ご認識の通り「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」は警備員になることができず、現職の警備員も業務を行うことが禁止されています。これは事実であり、避けて通ることはできません。

しかし、これは「永久に警備員の資格を失う(登録抹消される)」ということではありません。あくまで「復権(ふっけん)」という法的な身分回復が行われるまでの数ヶ月間、警備業務に就けないという「期間制限」です。この期間を配置転換(内勤や清掃業務など)で乗り切るか、そもそも資格制限のない「個人再生」や「任意整理」を選ぶことで、退職や解雇を回避できる道は残されています。

この記事では、警備員が自己破産をした場合に起きる具体的な制限の期間、資格者証の取り扱い、会社への報告の仕方、そして警備員の職を守りながら借金を解決するための選択肢について、実務的な手順を解説します。

この記事でわかること

警備員が自己破産すると起きる「制限」の正体

まず、警備員の方が最も恐れている「仕事ができなくなる」という法的根拠を正しく理解しましょう。これは噂や会社の独自ルールではなく、国の法律である「警備業法」に基づいています。

警備業法における「欠格事由」とは

警備業法第3条および第14条では、警備業者や警備員になってはいけない人(欠格事由)を定めています。その中に以下の記述があります。

【警備業法 第3条第1号(抜粋)】
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

つまり、自己破産の手続きが裁判所で開始されてから、「復権」して元の法的地位に戻るまでの間は、警備員として働くことが法律で禁止されます。これは正社員だけでなく、アルバイト、パート、契約社員であっても同様です。「現場に出る警備員」であれば、例外なく適用されます。

すべての業務が禁止されるわけではない

ここで重要なのが、「警備員として」働けないという点です。警備会社に所属していても、業務内容が警備業務(施設警備、交通誘導、貴重品運搬、身辺警護など)でなければ、法律上の制限は受けません。

例えば、以下のような業務であれば、破産手続き中であっても従事することが可能です。

  • 警備会社の総務・経理・人事などの事務職
  • 管制業務(現場には出ず、電話等で配置調整を行う業務)
  • 警備会社が請け負っている清掃業務や設備管理業務
  • 倉庫整理やデータ入力などのバックヤード業務

したがって、「自己破産=即解雇」と短絡的に考えるのではなく、「一時的に警備業務以外の部署へ異動させてもらえないか」という交渉の余地があることを知っておいてください。

仕事ができなくなる期間はいつからいつまで?

「仕事ができない期間」が数日なのか、数年なのかによって、生活への影響は大きく変わります。自己破産の手続きには流れがあり、制限がかかる期間には明確な「始まり」と「終わり」があります。

制限開始:破産手続開始決定の日

弁護士に依頼した日や、裁判所に申立書を提出した日ではありません。裁判所が書類を審査し、「破産手続開始決定」を出したその瞬間から、あなたは法律上「破産者」となり、警備員の欠格事由に該当することになります。

この決定が出る日は事前に弁護士から知らされますので、その日の朝からは現場に出てはいけません。もし隠して警備業務を行うと、あなただけでなく、雇用主である警備会社も行政処分(営業停止など)を受ける可能性があり、会社に莫大な損害を与えることになります。

制限解除:復権(ふっけん)の日

制限が解除されるのは「復権」を得たときです。復権とは、破産者というレッテルが外れ、法的に元の一般人と同じ状態に戻ることを指します。

復権のタイミングは、主に「免責許可決定」が確定したときです。一般的な同時廃止事件(財産がほとんどないケース)の場合、スケジュール感は以下のようになります。

手続きの流れ 申立て → 開始決定(制限開始) → 免責審尋 → 免責許可決定 → 免責確定(復権・制限解除)
期間の目安 開始決定から免責確定まで、およそ3ヶ月〜6ヶ月程度

管財事件(財産がある場合や免責不許可事由がある場合)になると、手続きが長引くため、制限期間が半年から1年近くに及ぶこともあります。この「数ヶ月間」をどう過ごすかが、警備員としてのキャリアを守れるかどうかの分かれ道になります。

会社にバレる?解雇される?現実的な対処法

「会社に黙って手続きを進められないか」と考える方は多いですが、警備員の場合、それは極めて危険であり、現実的ではありません。

なぜ会社にバレる(報告が必要な)のか

前述の通り、破産手続き中に警備業務を行うことは法律違反です。会社は警備業法に基づき、警備員が欠格事由に該当しないかを確認する義務を負っています。

もしあなたが黙って現場に出続け、後から破産の事実が発覚した場合、以下のようなリスクが発生します。

  • 会社が行政処分を受け、損害賠償を請求される
  • 「重要な経歴詐称」や「業務命令違反」として懲戒解雇の正当な理由になる
  • 信頼関係が完全に崩壊し、復権後の復帰も絶望的になる

したがって、警備員が自己破産をする場合、会社への事前報告は必須と考えてください。

「自己破産=解雇」は法的に有効か

では、報告したら即解雇されるのでしょうか? 労働契約法や労働基準法の観点からは、「自己破産をしたことのみ」を理由とする解雇は、不当解雇として無効になる可能性が高いです。

しかし、警備会社側にも「警備業務に従事させられない従業員を雇い続ける余裕がない」という事情があります。就業規則に「必要な資格を喪失した場合、退職とする」といった規定がある場合、解雇(あるいは退職勧奨)が有効とされるケースもあります。

解雇を避けるための交渉術

会社に残るためには、以下の手順で誠実に相談することが重要です。

  1. 弁護士と相談し、開始決定(制限開始)の予定日を把握する。
  2. 直属の上司ではなく、人事権を持つ責任者(支社長や人事部長など)にアポイントを取る。
  3. 「経済的な事情で破産手続きを行うことになった」と正直に伝える。
  4. 「X月からX月頃まで警備業務ができなくなるが、会社には残りたい」という意思を示す。
  5. 「その期間、内勤や清掃、資材管理など、別の業務で雇ってもらえないか」と打診する。
  6. もし代替業務がない場合、「その期間だけ休職扱いにしてもらえないか」と相談する。

人手不足が深刻な警備業界において、真面目に勤務してきた実績があれば、会社側も「数ヶ月で戻ってくるなら」と配慮してくれる可能性は十分にあります。隠そうとするのではなく、早期に相談して協力体制を作ることが、身を守る最善策です。

資格者証や検定合格証はどうなるのか

警備員としてのキャリアを積んできた方にとって、苦労して取得した資格(交通誘導警備業務2級、施設警備業務2級、指導教育責任者など)がどうなるかは切実な問題です。

資格自体は「停止」であり「剥奪」ではない

結論から言うと、自己破産をしても検定に合格したという実績自体が消えるわけではありません。復権すれば、再び有資格者として働くことができます。

ただし、破産手続き中は「欠格事由」に該当するため、手元にある「合格証明書」や「資格者証」の効力は一時的に停止します。実務上は、資格者証を公安委員会(警察)へ一旦返納する手続きが必要になる場合があります(地域や資格の種類によるため、会社の指示に従ってください)。

合格証明書の書き換え手続き

復権した後、再び警備員として働く際には、市区町村役場で「身分証明書(破産者でないことの証明)」を取得し、会社を通じて公安委員会に提出することで、再び資格者として登録されます。

「一度破産したら二度と警備の資格を持てない」といった誤解をしている方もいますが、そのようなことはありません。復権さえすれば、過去の資格は復活します。

警備員の仕事を続けるための「回避ルート」

ここまで「自己破産をする前提」で解説してきましたが、もし「どうしても今の現場を離れられない」「会社に知られずに解決したい」「数ヶ月も給料が下がるのは困る」という場合は、自己破産以外の方法を検討すべきです。

警備員の方に特におすすめしたいのが、「個人再生」または「任意整理」という選択肢です。

ルート1:資格制限のない「個人再生」

個人再生(こじんさいせい)は、借金を大幅に(概ね5分の1程度に)減額し、残りを3年〜5年で分割返済する手続きです。自己破産と同じく裁判所を通す強力な手続きですが、最大の特徴は「警備員の資格制限(欠格事由)がない」ことです。

比較項目 自己破産 個人再生
警備の仕事 手続き中はできない 手続き中も継続可能
借金の減額 原則ゼロになる 5分の1程度に圧縮
(例:300万→100万)
会社への報告 必須(業務停止のため) 不要(バレる可能性低)
資格者証 一時返納の可能性あり そのまま所持・使用可

借金が300万円ある場合、個人再生なら総支払額を100万円まで圧縮できる可能性があります。月々約2.8万円の返済(3年払いの場合)が可能であれば、警備員の仕事を一日も休まず、会社に一切知られずに借金を整理できるこの方法がベストな選択肢になります。

ルート2:特定のみ整理する「任意整理」

借金の総額が比較的少ない場合(年収の3分の1以下など)や、特定のカードだけ整理したい場合は、「任意整理」が有効です。裁判所を通さず、弁護士がカード会社と交渉して将来の利息をカットしてもらう方法です。

もちろん資格制限はありませんし、家族や会社にバレるリスクは最も低くなります。ただし、元金自体の減額効果は薄いため、月々の返済能力がある程度必要です。

今日から動き出すための具体的な手順

警備員としての生活を守りながら借金問題を解決するために、今日から進めるべき手順を整理しました。

手順1:借金総額と「減額後の返済額」を試算する

まず、「絶対に自己破産しかない」という思い込みを捨ててください。個人再生で月々の支払いが3万円〜4万円程度に収まるなら、仕事を続けながら返済した方が、トータルの生活水準は守れるかもしれません。

手順2:就業規則を確認する

勤務先の就業規則に「破産手続開始の決定を受けた場合」に関する記述があるか確認してください。「解雇事由」になっているか、「休職規定」はどうなっているかを知ることで、会社との交渉戦略が変わります。

手順3:弁護士に「警備員である」と伝えて相談する

借金相談の際、最初に必ず「現役の警備員であり、資格制限を避けたい」と伝えてください。これによって、弁護士は自己破産ではなく個人再生を優先して検討してくれます。また、どうしても自己破産が必要な場合でも、業務に支障が出ないタイミング(繁忙期を避けるなど)を調整してくれる可能性があります。

手順4:会社への報告タイミングを決める(破産の場合)

方針が「自己破産」に決まったら、弁護士と相談して「X月X日に申立てを行う予定」というスケジュールを確定させます。その上で、申立ての1ヶ月〜2週間前には会社へ相談し、配置転換や休職の準備を進めてもらいます。直前の報告は現場に穴を開けることになり、解雇リスクを高めるので避けましょう。

まとめ

警備員が自己破産をすると、警備業法の規定により一時的に警備業務ができなくなります。しかし、これは永久的な登録抹消ではなく、復権すれば再び資格を使って働くことができます。最も重要なのは、隠して働き続けて会社に迷惑をかける事態を避けることと、配置転換の相談を早めに行うことです。

また、どうしても仕事を休めない、会社に知られたくないという場合は、資格制限のかからない「個人再生」を選ぶことで、今の生活を維持したまま借金を解決できる可能性があります。選択肢は一つではありません。

債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、警備員や有資格者の借金解決実績も豊富ですので、あなたの状況に合った次の一歩(自己破産か、個人再生か)を検討してみてください。

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日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

監修者:代表司法書士 計良 宏之

東京都荒川区東日暮里5-17-7 秋山ビル1階

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

借金問題・債務整理に関する情報を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。

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