執行官の現況調査で室内はどこまで見られる?写真撮影の範囲とプライバシーを守る当日の対応
執行官が自宅に来て調査をすると通知が届きました。家の中はどこまで見られるのでしょうか?
借金を滞納していたところ、裁判所から「現況調査」を行うという知らせが届きました。執行官と不動産鑑定士が自宅に来るとのことですが、寝室やクローゼットの中、散らかった部屋まで全て見られてしまうのでしょうか。
他人に見られたくない私物も多く、恥ずかしいので拒否したい気持ちです。当日はどのような調査が行われ、写真はどこまで撮られてしまうのか、プライバシーは守られるのか詳しく教えてください。
現況調査では全室の撮影が行われますが、家具や収納の内部まで開けて見られることはありません。
裁判所からの通知にある「現況調査」は、自宅が競売にかけられる前段階として、家の価値や状態を正しく評価するために行われる手続きです。この調査では、執行官がすべての部屋に入り、間取りの確認や内装の状態を記録するための写真撮影を行います。
ただし、目的はあくまで「建物そのもの」の調査であるため、動産執行(家財の差し押さえ)とは異なり、タンスやクローゼットを開けて中の衣類や所持品を調べることは原則としてありません。部屋が散らかっていてもそのまま撮影され、その写真は競売資料としてインターネット等で公開される可能性がある点には注意が必要です。
この記事では、執行官による現況調査の具体的なチェック範囲、撮影される写真の扱い、調査当日の流れとやっておくべき準備について解説します。
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この記事でわかること
届いた通知はどっち?「現況調査」と「動産執行」で見られる範囲は全く違う
「執行官が来て調査をする」と言っても、その目的によって見られる範囲や権限は大きく異なります。まずは手元の通知書を確認し、今回行われるのが「不動産競売のための現況調査」なのか、「家財を差し押さえるための動産執行」なのかを明確に区別してください。
不動産競売の「現況調査」の場合
「担保不動産競売開始決定」などの通知後に連絡が来た場合は、こちらのケースが大半です。この調査の目的は、家と土地の価格を決めるために「建物の状態」や「誰が住んでいるか」を確認することです。
調査対象は「建物・土地」そのものであるため、部屋の広さ、壁や床の材質、雨漏りの有無などは入念に見られますが、家具の中身や個人の所有物(服、本、小物など)については調査対象外です。収納の扉を開けて中を物色されることはありません。
動産執行(動産引渡命令等)の場合
「借金の返済代わりに、家の中にある金目の物を差し押さえる」という手続きの場合は、見る範囲が異なります。この場合、目的は「換金価値のある動産」を探すことにあるため、タンスの引き出し、押し入れの奥、金庫の中まで開けて調べられる可能性があります。
本記事では、質問者様の状況に合わせて、前者の「不動産競売に伴う現況調査」について詳しく解説を進めます。もし動産執行の可能性がある場合は、対応が異なるため注意してください。
| 種類 | 不動産競売の現況調査 | 動産執行の捜索 |
|---|---|---|
| 目的 | 家の価格評価と占有状況の確認 | 換金できる家財道具の発見と確保 |
| 見る場所 | 全室、浴室、トイレ、外壁、屋根裏など | リビング、金庫、引き出し、クローゼット内 |
| 収納内部 | 見ない(建物の一部でないため) | 見る(隠し財産がないか探すため) |
| 写真撮影 | 各部屋の全景や設備を撮影する | 差し押さえる物品のみ撮影する |
競売の現況調査で執行官がチェックする場所とプライバシーの境界線
現況調査では、執行官とともに不動産鑑定士が同行し、家の価値を算出するための材料を集めます。具体的に家の中のどこを見て、何を記録していくのかを整理します。
すべての部屋(居室・寝室・子供部屋)
玄関から廊下、リビング、寝室、子供部屋に至るまで、鍵がかかっている部屋も含めてすべての空間に入室します。「この部屋だけは見せたくない」という要望は通りません。床の傾き、壁紙の剥がれ、日当たり、部屋の形状などを確認します。
ただし、置いてある家具や荷物をどかしたり、引き出しを開けたりすることはありません。あくまで「目視できる範囲の建物の状態」を確認します。
水回り(キッチン・浴室・トイレ)
設備のグレードや劣化具合を確認します。システムキッチンのメーカーや型番、浴室乾燥機の有無、トイレのウォシュレット機能などがチェック対象です。ここでも、洗面台の下の収納扉を開けるようなことは通常ありません。
建物の不具合や増改築の箇所
雨漏りのシミ、シロアリ被害の痕跡、建具の建て付けの悪さなどは、家の価値を下げる要因(減価要因)として入念にチェックされます。逆に、リフォームしたばかりの箇所があれば、価値を上げる要因として記録されます。
ベランダ・庭・外壁
室内だけでなく、ベランダからの眺望や、隣の家との境界線、越境物の有無(木の枝がはみ出していないか等)も調査されます。外壁のクラック(ひび割れ)や屋根の状態も確認対象です。
室内写真はどこまで撮られる?ネット公開される範囲と対策
現況調査で最も精神的な負担となるのが「写真撮影」です。撮影された写真は「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」という3点セットの一部としてまとめられ、競売に入札しようとする人が閲覧できるようになります。
撮影のアングルと対象
基本的には、部屋の四隅から全体が見渡せるようなアングルで撮影されます。その際、室内にある家具、家電、干してある洗濯物、散らかった雑誌やゴミなどが写り込んでいても、執行官がいちいち片付けてくれることはありません。「生活感丸出しの状態」で撮影され、そのまま資料化されるのが通例です。
プライバシーへの配慮(モザイク処理)
基本的に、個人情報に関わるもの(家族写真、賞状、カレンダーの書き込み等)が写り込んだ場合、資料として公開される際には黒塗りやモザイク処理が施されることが一般的です。しかし、処理漏れのリスクや、部屋全体の散らかり具合までは隠してもらえないため、見られたくないものは事前に片付けておく必要があります。
写真が公開される場所
撮影された写真は、裁判所内の閲覧室でファイルとして閲覧できるほか、不動産競売物件情報サイト(BIT)などでインターネット公開されます。住所や外観とともに室内の様子が誰でも見られる状態になるため、近所の人や知人に「家の中」を見られるリスクはゼロではありません。
- 洗濯物や下着類は見えない場所に移動させておく
- 家族写真や個人名がわかる掲示物は外しておく
- 散らかっている場合は、できる限り整理整頓して部屋を広く見せる
調査当日の流れと所要時間
当日はどのような手順で進むのか、どのくらいの時間がかかるのかを把握しておくと、焦らずに対応できます。
1. 執行官と不動産鑑定士の到着
予告された日時に、執行官(裁判所職員)と不動産鑑定士(評価の専門家)の2〜3名が訪問します。スーツ姿であることが多く、一見して裁判所の人とはわかりにくい配慮がされている場合もありますが、腕章や身分証を携帯しています。
2. 占有状況のヒアリング(聞き取り)
調査の冒頭や合間に、居住者(あなた)に対していくつか質問が行われます。嘘をつかずに正直に答えてください。
- 誰がこの家に住んでいるか(家族構成)
- 賃貸借契約はあるか(親族間でも契約があるか)
- 建物の不具合(雨漏り、シロアリ、設備の故障)はあるか
- 事件や事故(自殺や火災など)があったか
3. 室内の確認と写真撮影
各部屋を回りながら、写真撮影と寸法の計測、図面との照合を行います。鑑定士は建物のグレードや劣化状況をメモしていきます。この際、同行して「ここはリフォームしました」「ここは扉の閉まりが悪いです」などと説明することは可能です。
4. 調査終了
一般的な戸建てやマンションであれば、所要時間は30分〜1時間程度で終わります。最後に確認の署名などを求められることは少なく、そのまま退去して終了となります。
調査を拒否・居留守するとどうなる?鍵屋による強制解錠のリスク
「恥ずかしいから」「忙しいから」といって調査を拒否したり、当日に居留守を使ったりすることはできるのでしょうか。結論から言えば、調査を拒むことはできず、かえって状況が悪化するだけです。
強力な法的権限(強制力)がある
現況調査は民事執行法に基づく手続きであり、執行官には鍵がかかっているドアを開けて中に入る権限(解錠権限)が認められています。所有者や居住者の同意は不要です。
不在・居留守の場合は鍵屋が解錠する
事前に通知された日時に不在だった場合(居留守を含む)、執行官は鍵開けの専門業者(鍵屋)を呼び、鍵を強制的に開けて入室します。これを「強制解錠」と呼びます。
誰もいない家の中で調査が行われ、写真は勝手に撮られ、後日、鍵の交換費用や技術料(数万円程度)が競売費用として計上される(=借金の残額から引かれる金額が減る)ことになります。また、不在時に勝手に入られるほうが心理的な不快感は大きいはずです。
立ち会ったほうがメリットが大きい
調査にはできるだけ立ち会うことをおすすめします。立ち会うことで、以下のようなコントロールが可能になるからです。
- 見られたくない物を一時的に隠すタイミングを図れる
- 写真撮影のアングルに配慮をお願いできる場合がある
- 建物の良い点(リフォーム歴など)をアピールして、評価額(売却基準価額)が不当に安くなるのを防げる
- 鍵を壊されたり、勝手に入られたりする恐怖がない
調査が終わった後の流れと住み続けられる期間
現況調査が終わったからといって、すぐに家を追い出されるわけではありません。調査日から実際に退去を迫られるまでには、まだ数ヶ月の猶予があります。
1. 3点セットの作成と公開(調査から1〜2ヶ月後)
執行官が持ち帰ったデータをもとに「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」が作成されます。これらが裁判所で公開され、競売の入札期間が決まると、ネット上にも情報が出回ります。
2. 入札期間と開札(調査から3〜5ヶ月後)
購入希望者による入札が行われ、最高値をつけた人が落札者(新しい持ち主)として決まります。この時点ではまだ住んでいても法的に問題ありません。
3. 代金納付と所有権移転(調査から4〜6ヶ月後)
落札者が代金を納付した時点で、家の所有権はあなたから落札者に移ります。ここが法的な「住める限界」の目安です。これ以降は不法占拠扱いとなり、立ち退きを求められます。
現況調査の段階なら「任意売却」への切り替えが可能
現況調査の通知が来た段階であれば、まだ「任意売却」に切り替えられる可能性が残っています。任意売却とは、競売ではなく一般の市場で家を売る方法です。
競売よりも高く売れる可能性があり、写真がネットで「競売物件」として晒されるのを防げる(通常の不動産情報として扱われる)メリットがあります。
ただし、現況調査が終わってから入札が始まるまでの期間は短いため、一日でも早い決断が必要です。
まとめ
執行官による現況調査は、家の価値を正しく評価するための手続きであり、拒否することはできません。調査範囲は「建物全体」に及びますが、動産執行とは異なり、タンスの中身や個人の私物を細かく調べられることはありません。
最も注意すべきは「室内写真の撮影と公開」です。部屋の状態はそのまま記録され、ネット上で公開されるリスクがあるため、当日は必ず立ち会い、整理整頓やプライバシー保護の対策を行うことが重要です。また、この段階ならまだ競売を回避し、任意売却へ切り替える余地も残されています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。



