借金の訴状が届き分割払いを希望するときの答弁書の書き方と例文|自力で和解を目指す手順
裁判所から訴状が届いたが答弁書に分割払いの希望をどう書けばいいか
裁判所から特別送達で訴状が届いてしまいました。内容は借金の一括請求ですが、現状では一括で支払うお金がありません。ただ、無視をして給料を差し押さえられるのは困りますし、分割払いであればなんとか支払っていける意思はあります。
同封されていた答弁書を提出しなければならないと書いてありますが、書き方がわからず手が止まっています。特に「分割払いを希望する」という意思をどのように書けば裁判官や相手方に伝わるのでしょうか。具体的な例文や、書いてはいけないことなどがあれば教えてください。
具体的な毎月の支払可能額と支払い開始希望日を明記して提出します
訴状が届いた驚きと、慣れない書類作成への不安で混乱されていることとお察しします。答弁書は、裁判所と債権者に対してあなたの「支払う意思」と「現実的な返済計画」を伝えるための唯一の初期手段であり、ここでの記載内容が和解への第一歩となります。
結論から申し上げますと、答弁書には単に「分割払いを希望します」と書くだけでは不十分です。「毎月いくらなら払えるか」「いつから支払えるか」という具体的な数字を提示する必要があります。相手方も回収が目的ですので、現実的なプランであれば和解に応じてもらえる可能性は十分にあります。
この記事では、分割払いを認めてもらうための答弁書の具体的な書き方と例文、提出後の和解交渉の流れについて、法的知識がない方でも迷わず進められるよう手順を追って解説します。
この記事でわかること
答弁書を提出しないと起きる最悪の事態
裁判所から届いた封筒(特別送達)の中に、訴状と一緒に「答弁書」という用紙が入っていたはずです。これは、訴えられた側(被告)が、訴えた側(原告)の言い分に対して反論や要望を伝えるための公式な書類です。書き方の前に、まずはこの書類が持つ重みと、提出しなかった場合のリスクを正しく理解しておきましょう。
欠席判決による全面敗訴のリスク
もし、あなたが答弁書を提出せず、さらに指定された第1回口頭弁論期日にも裁判所へ出頭しなかった場合、裁判所は「原告(債権者)の言い分をすべて認めた」とみなします。これを欠席裁判または欠席判決と呼びます。
その結果、原告が求めている「借金残高の一括返済」と「遅延損害金」の支払いを命じる判決が即座に出されます。判決が出ると、債権者はあなたの財産(給与、銀行口座、預金、家財道具など)を強制的に差し押さえる権利(債務名義)を獲得します。つまり、分割払いの交渉をする余地が完全になくなり、いつ給料が差し押さえられても文句が言えない状態になるのです。
分割払いのチャンスを得るための意思表示
逆に言えば、答弁書さえ提出しておけば、第1回期日に仕事を休んで裁判所へ行けなくても、書面に書いた内容を法廷で発言したことと同じ扱いにしてくれる制度(擬制陳述)があります。答弁書に「借金は認めるが、一括では払えないので分割払いにしてほしい」と書いて提出することで、裁判官や債権者に「返済の意思はあるが、条件について話し合いたい」というメッセージが伝わります。
多くの債権者(消費者金融やカード会社)も、回収不能になって自己破産されるよりは、分割でも確実に回収できるほうが利益になります。そのため、答弁書で誠実な対応を見せることで、和解交渉のテーブルに着くことができるのです。
書き始める前の準備と返済可能額の計算
いきなりペンを持って書き始めるのは危険です。答弁書に書く「分割払いの金額」は、一度提示するとその後の交渉のベースとなります。適当な金額を書いて後で払えなくなると、和解が破棄されて結局差し押さえになってしまいます。まずは冷静に数字を整理しましょう。
家計の収支から「払える限界額」を出す
まず、直近3ヶ月分の給与明細や通帳を用意し、手取り収入の平均を出します。そこから、家賃、光熱費、食費、通信費などの「生きるために最低限必要な支出」を引いてください。残った金額が、あなたが返済に充てられる原資です。
ここで重要なのは、無理をして高すぎる金額を設定しないことです。「早く終わらせたいから」「相手に良く思われたいから」といって、生活費を削ったギリギリの金額を設定してしまうと、突発的な出費(病気や冠婚葬祭など)があった瞬間に支払いが止まります。和解後の滞納は、即時の強制執行(差し押さえ)に直結します。「これなら絶対に3年間(または5年間)払い続けられる」という堅実な数字を算出してください。
3年〜5年で完済できるか確認する
裁判上の和解(分割払い)では、一般的に「3年(36回)〜5年(60回)」での完済が目安とされています。あなたが算出した「毎月払える金額」で、請求されている「元金+損害金」を割ってみてください。
| 計算式 | 請求総額 ÷ 毎月の支払可能額 = 返済回数 |
|---|---|
| 目安 | 返済回数が60回(5年)以内なら交渉の余地あり |
もし、どう計算しても完済までに5年以上かかる場合や、毎月の支払可能額が数千円にしかならない場合は、自力での和解交渉(特定調停や本人訴訟)は非常に困難です。その場合は、答弁書を書く前に専門家へ相談し、個人再生や自己破産といった別の手段を検討すべき段階に来ています。
【項目別】分割払いを希望する答弁書の書き方
ここからは実際の答弁書の書き方を項目別に解説します。裁判所から送られてきた「答弁書」の用紙(なければ裁判所のHPからダウンロード可能)を手元に用意してください。黒のボールペンを使用し、訂正印以外での修正がないように丁寧に記入します。
1. 事件番号と当事者名
用紙の一番上にある日付欄には「記入した日(提出日)」を書きます。その下の宛先には、訴状に記載されている裁判所名(例:東京簡易裁判所 民事部 御中)を書きます。
- 事件番号:訴状の表紙や「口頭弁論期日呼出状」に書かれている番号(例:令和○年(ハ)第○○○○号)を正確に転記します。これがないと書類が迷子になります。
- 原告:訴えてきた会社名(債権者)を書きます。
- 被告:あなたの氏名を書きます。横に認印を押印してください。実印である必要はありませんが、シャチハタは避けてください。
2. 請求の趣旨に対する答弁
原告が求めている判決(一括支払いなど)に対して、どのような判決を求めるかを書く欄です。分割払いを希望する場合でも、借金の事実自体を認めるのであれば、形式的には原告の勝ち(請求を認める)になります。
しかし、「一括では払えない」という意思を示すため、基本的には以下の定型文を選択または記入します。
- 選択肢がある場合:「原告の請求を認める」または「原告の請求を棄却するとの判決を求める」のどちらかに丸をつけますが、分割希望の場合は「話し合いによる解決(和解)を希望する」という欄があればそこにチェックを入れます。
- 自由記述の場合:「原告の請求を認める。ただし、分割払いの和解を希望する。」と記載します。
※ここで「請求を棄却する」とだけ書いて理由を書かないと、単なる引き延ばしと捉えられ心証が悪くなります。借金の事実があるなら、素直に認めた上で条件闘争に持ち込むのがセオリーです。
3. 請求の原因に対する認否
訴状に書かれている「いつ、いくら借りて、いつから返していない」という事実関係についての認否を書きます。
| 認める | 書かれている事実はすべて正しい場合。 ※借金裁判の多くはこれに該当します。 |
|---|---|
| 不知(ふち) | 知らない、覚えていない場合。 ※自分の借金でこれを選ぶと不誠実に見えることがあります。 |
| 否認する | 書かれている事実が違う場合。 (例:もう返済した、金額が違う、借りていないなど) |
分割払いを希望する場合は、基本的に「認める」ことになります。「間違いありません」という項目にチェックを入れるか、「請求の原因事実はすべて認める」と記述します。
「被告の言い分」欄に書く具体的な例文
ここが最も重要なパートです。「被告の言い分」または「附属書類」として、具体的な分割払いの条件を提示します。裁判所によっては「分割払いの希望」という専用の記入欄や別紙(事情説明書など)が用意されていることもあります。その場合はそちらに従ってください。
例文1:基本的な分割払いの希望
シンプルな構成の例文です。金額と回数はご自身の状況に合わせて書き換えてください。
【被告の言い分】
1 原告主張の借入事実及び滞納の事実は間違いありません。
2 しかしながら、被告は現在、毎月の収入が約○○万円であり、生活費や家賃の支払いを差し引くと、一括での返済は極めて困難な状況にあります。
3 つきましては、原告との和解を希望いたします。具体的な返済案として、以下の条件での分割払いを提案いたします。
・頭金:なし(または○○円を用意します)
・毎月の支払額:金○○,○○○円
・支払開始月:令和○年○月から
・支払期日:毎月○日限り
4 上記条件であれば、毎月確実に支払っていくことが可能です。何卒ご検討いただけますようお願い申し上げます。
例文2:賞与(ボーナス)月を併用する場合
毎月の支払額を抑えつつ、ボーナス月で補填する計画の場合です。
【被告の言い分】(追記部分)
(前略)
返済案として、毎月金○○,○○○円に加え、夏季(○月)および冬季(○月)の賞与月には各金○○,○○○円を加算して支払う方法での和解を希望いたします。
現在の勤務先には○年勤務しており、賞与の支給は見込める状況です。完済に向けて誠実に努力いたしますので、和解のご配慮をお願いいたします。
書き方のポイントと注意点
- 遅延損害金のカットは明記しないのが無難:「元金のみの分割払いにしてほしい(損害金は免除してほしい)」という要望は、答弁書段階で強く主張しすぎると「じゃあ判決で白黒つけましょう」と拒否されるリスクがあります。まずは「払っていく姿勢」を見せ、具体的な条件交渉は期日や電話協議の中で行うか、司法書士等の専門家に任せるのが安全です。
- 初回の支払日を具体的に:「和解成立の翌月から」など曖昧にせず、「令和○年○月○日から」と書くことで、準備ができていることをアピールできます。
- 連絡先を書く:日中に連絡がつく電話番号(携帯電話など)を必ず記載してください。裁判所の書記官や原告の担当者から、条件調整の電話がかかってくることがあります。
作成した答弁書の提出方法と期限
答弁書が完成したら、期限内に裁判所へ提出しなければなりません。提出ルールを間違えると受け付けてもらえないこともあるため、細部まで確認しましょう。
提出期限を守る
訴状や呼出状には「答弁書提出期限」が記載されています。通常は第1回口頭弁論期日の1週間前〜3日前程度に設定されています。この期限は厳守です。万が一遅れそうな場合は、事前に裁判所の担当書記官(呼出状に連絡先があります)へ電話をし、遅れる理由といつ出せるかを相談してください。
提出方法(郵送・持参・FAX)
| 郵送 | 最も一般的な方法です。「特定記録郵便」や「簡易書留」など、記録が残る方法で送るのが安全です。普通郵便でも届きますが、紛失リスクがあります。 |
|---|---|
| FAX | 簡易裁判所の場合、答弁書をFAXで送ることが認められているケースが多いです。ただし、必ず送信後に裁判所へ電話して「届いたか確認」を行ってください。送達ミスを防ぐためです。 |
| 持参 | 裁判所の窓口へ直接持って行く方法です。受領印をもらえるので確実ですが、平日の日中に行く必要があります。 |
正本と副本(コピー)について
答弁書は、通常「裁判所用(正本)」と「原告用(副本)」の2通が必要です。
※簡易裁判所の手続きによっては、裁判所に1通送れば、裁判所から原告へFAXしてくれる場合もあります。同封の案内文(「答弁書の出し方」など)に「原告には自分で送ってください」とあるか、「裁判所に○通出してください」とあるかを必ず確認してください。
もし指示がよくわからなければ、とりあえず裁判所に提出し、電話で「原告への送付はどうすればよいですか」と聞くのが一番早いです。
提出後の流れと和解交渉のポイント
答弁書を出したからといって、勝手に分割払いが決まるわけではありません。ここからが本番の交渉です。
原告(債権者)からの連絡を待つか、自分でするか
誠実な内容の答弁書を提出すると、多くのケースで原告(債権者)の担当者から連絡が入るか、あるいは裁判所から「原告が話し合いに応じるそうです」という連絡が来ます。
もし期日が迫っているのに連絡がない場合、答弁書を送った後に自分から原告の担当部署(訴状に記載があります)へ電話をし、「答弁書を送りました。分割払いでの和解をお願いしたいのですが」と申し入れることも可能です。これは勇気がいりますが、解決を早める効果があります。
「和解に代わる決定(17条決定)」とは
あなたが裁判所に行けなくても、原告があなたの提示した分割案に同意した場合、裁判所がその内容で「和解に代わる決定(民事訴訟法第275条の2に基づく決定)」を出してくれることがあります。
これは、わざわざ法廷で和解調書を作らなくても、書面上のやり取りだけで和解と同じ効力を持たせる手続きです。決定書が送られてきて、2週間以内に双方が異議を出さなければ確定します。
和解条項の「期限の利益喪失」に注意
和解する際、必ず盛り込まれるのが「期限の利益喪失条項(怠約約款)」です。これは「もし分割払いを2回分(または合計額が2回分に達するまで)怠ったら、残りの金額を一括で支払わなければならない」というペナルティ規定です。
これには年14%〜20%程度の遅延損害金も付加されます。つまり、和解後に支払いが遅れると、即座に給料差し押さえなどが可能な状態に戻ってしまいます。和解はゴールではなく、「絶対に遅れてはいけない支払いのスタート」であることを忘れないでください。
自分での対応に限界を感じたら
もし、原告が「一括以外認めない」と強硬な姿勢を崩さない場合や、計算してみたら5年でも払い終わらない金額だった場合、自力での解決は困難です。
その場合、すぐに司法書士や弁護士に依頼することで、「任意整理」として交渉を引き継いでもらったり、「個人再生」「自己破産」へ切り替えて借金そのものを減免してもらう手続きへ移行したりできます。専門家が介入すると、裁判はいったん中断(取り下げや期日延期)され、督促も止まります。
まとめ
訴状が届いても、期限内に具体的な分割案を書いた答弁書を提出すれば、最悪の事態(即時の差し押さえ)は回避できる可能性が高いです。例文を参考に、ご自身の払える範囲で誠実なプランを提示してください。
しかし、もし分割案が作れない、あるいは相手が応じてくれないと感じた場合は、無理に自分で進めると取り返しのつかない不利な条件で和解してしまうリスクもあります。専門家を入れることで、遅延損害金のカットやより長期の分割など、個人では引き出せない条件で決着できることも多々あります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。


