借金の裁判で和解できない・決裂した後の判決までの期間と差し押さえ回避の手順

裁判所での和解交渉がうまくいかず、このままだと判決が出ると言われました。給料の差し押さえはすぐに始まってしまうのでしょうか?

借金を滞納して裁判所から訴状が届き、分割払いの和解を希望して答弁書を出しました。しかし、債権者(カード会社)側がこちらの提示した金額に納得せず、「和解できない」「この条件では無理」といった反応です。

次回の期日までに条件を修正できなければ、和解は決裂し、判決へ進むと言われています。判決が出ると、その瞬間に給料や口座が差し押さえられてしまうのでしょうか。分割払いを認めてもらう方法はもうないのか、これからどう動けば最悪の事態を避けられるのか手順を知りたいです。

和解決裂から判決までは約1ヶ月の猶予がありますが、判決確定後の差し押さえを防ぐには法的整理への切り替えが必要です。

裁判上で和解が成立しない(決裂する)場合、裁判官は審理を終了し、約1〜2週間後に「判決」を言い渡します。判決は原則として「残額と遅延損害金を一括で支払え」という内容になり、分割払いの希望は通りません。

判決書が届いてから2週間が経過すると判決が確定し、債権者はいつでもあなたの財産(給料や預金)を差し押さえできる状態になります。つまり、判決確定までのタイムリミット内に行動しなければなりません。

この記事では、和解交渉が決裂した後に残された時間と、判決による強制執行を回避するために取るべき「方針転換」の具体的な手順について解説します。

この記事でわかること

なぜ裁判上の和解ができないのか:決裂の原因を特定する

裁判所を介した話し合い(訴訟上の和解)が決裂するのには、必ず具体的な理由があります。債権者も、手間と費用のかかる強制執行(差し押さえ)をするよりは、確実に払ってもらえる和解の方が得策と考えるのが一般的ですが、それでも「和解できない」と判断されるケースは以下の3つに集約されます。

1. 返済期間が長すぎる(5年ルールの超過)

債務整理や裁判上の和解における実務的な基準として、「分割回数は最大でも60回(5年)まで」という暗黙のルールがあります。あなたの提示した月々の返済可能額が少なすぎて、完済までに7年や10年かかる計算になっている場合、多くの債権者は和解を拒否します。

特に、すでに延滞期間が長く、利息や遅延損害金が膨らんでいる場合、元金だけの分割では会社側の稟議が通らないケースがあります。「月々5000円なら払える」と主張しても、借金総額が100万円あれば計算上16年以上かかるため、裁判官も債権者を説得できません。

2. 過去の和解を破った経緯がある

過去に一度、任意整理や個別の話し合いで分割払いの約束(和解)をしたにもかかわらず、それを守れずに再び滞納して裁判になったケースです。この場合、債権者からの信用はゼロに等しく、「一度約束を破った人とは、裁判所を通しても和解しない(一括返済以外認めない)」という厳しい方針を取られることがあります。

3. 取引期間が極端に短い

カードを作ってからほとんど返済実績がなく、借りてすぐに滞納が始まったようなケース(いわゆる「借りパク」に近い状態)では、債権者が詐欺的な借り入れと判断し、和解交渉に一切応じないことがあります。この場合、裁判所もあなたの誠実さに疑問を持つため、強力な和解勧告を行いにくい状況になります。

和解できる可能性が高い
  • 3〜5年(36〜60回)で完済できる計画である
  • 初回の支払い(頭金)を用意できる
  • これまで一定期間は真面目に返済していた
和解決裂のリスクが高い
  • 完済まで5年以上かかる低額な提案
  • 過去に和解後の滞納(和解不履行)がある
  • 借り入れ直後の滞納や、連絡無視が続いていた

和解決裂から強制執行までの日程:猶予はどれくらいか

「和解できない」と決まった瞬間に、その場で財布や通帳を取り上げられるわけではありません。日本の裁判制度には厳格な手続きの順序があり、実際に財産が差し押さえられるまでには、以下のステップを踏む時間が必要です。

ステップ1:結審(けっしん)と判決言渡期日の指定

裁判期日(法廷での話し合い)において、双方の主張が平行線をたどり、裁判官が「これ以上の話し合い(和解)は無理だ」と判断すると、その場で「審理を終了します(結審)」と宣言されます。そして、次回の期日として「判決言い渡し日」が指定されます。通常、結審から判決言い渡しまでは**約1ヶ月〜1ヶ月半程度**の期間が空きます。

ステップ2:判決書の送達

指定された日に判決が出されますが、あなたが裁判所に行く必要はありません。数日後、裁判所から「判決書」が特別送達(書留のような郵便)で自宅に届きます。この判決書を受け取った日が、次のカウントダウンの開始日となります。

ステップ3:控訴期間(2週間)の経過

判決書を受け取った日の翌日から起算して2週間(14日間)が、「控訴(こうそ)」ができる期間です。この期間中に双方が不服を申し立てなければ、判決の内容が確定します。これを「判決の確定」と呼びます。

ステップ4:強制執行の申し立て

判決が確定すると、債権者は裁判所に「強制執行(差し押さえ)」の申し立てを行う権利を得ます。早い業者であれば、確定した翌日に差し押さえの手続きに入ることもあります。裁判所が差し押さえを認めると、勤務先や銀行に通知が送られ、実際に給料や口座がロックされます。

判決が出ると生活はどう変わるか:和解との決定的な違い

和解が成立した場合と、決裂して判決が出た場合では、その後の展開は天と地ほどの差があります。判決書に書かれている内容は、法律の強制力を持った命令であり、基本的にあなたの希望は一切考慮されません。

1. 分割払いの権利が消滅する(期限の利益の喪失)

和解であれば「月々〇万円の分割払い」という条件を勝ち取れますが、判決(主文)には通常、以下のように書かれます。
「被告は、原告に対し、金〇〇円及びこれに対する年〇%の割合による金員を支払え」
これは「一括で耳を揃えて払え」という意味です。裁判所が分割払いを命じる判決を出すことは原則としてありません。

2. 遅延損害金が確定する

和解交渉では「将来の利息をカットする」「遅延損害金の一部を免除する」といった調整が可能ですが、判決では契約通りの遅延損害金(年率20%近い金額)が満額認められます。判決が出た時点で借金総額は最大化し、一括返済以外認められない状態になります。

3. 強制執行(差し押さえ)がいつでも可能になる

これが最大のリスクです。判決が確定すると、債権者はあなたに事前の連絡をすることなく、以下の財産を差し押さえることができます。

  • 給与:手取り額の4分の1(手取りが44万円を超える場合は33万円を超える全額)が毎月天引きされ、完済するまで続きます。会社に裁判所の命令書が届くため、借金トラブルが職場全体に知れ渡ります。
  • 預金口座:ある日突然、口座残高が差し押さえられ、引き出せなくなります。給与振込直後のタイミングを狙われると、その月の生活費がゼロになります。
  • 動産・不動産:持ち家や車などの資産がある場合、競売にかけられるリスクが発生します。

判決を回避・無効化する唯一の手段:個人再生と自己破産

「和解できない」と言われ、一括返済できるお金もない場合、ただ判決を待って差し押さえを受けるしかないのでしょうか? 実は、この段階からでも形勢を逆転させる(強制執行を止めさせる)方法があります。それは、「任意整理(和解交渉)」から「法的整理(個人再生・自己破産)」への切り替えです。

なぜ法的整理なら間に合うのか

個人再生や自己破産は、個別の債権者との「話し合い」ではなく、裁判所が法律に基づいて借金を減免する「手続き」です。そのため、債権者が「納得しない」「嫌だ」と言っても、法律の要件を満たせば強制的に手続きが進みます。

  • 強制執行の停止・禁止:個人再生や自己破産の申し立てを行い、裁判所が開始決定を出すと、債権者は新たな差し押さえができなくなります。すでに給料差し押さえが始まっている場合でも、手続きを進めることで停止・解除させることが可能です。
  • 相手の同意は不要:自己破産であれば、債権者が反対しても(一定の免責不許可事由がない限り)借金はゼロになります。個人再生であれば、債権者の過半数の反対がなければ、借金を5分の1〜10分の1に圧縮して分割払いにできます。

重要:給与所得者等再生の特則

通常の個人再生(小規模個人再生)では大口債権者の反対があると認められませんが、「給与所得者等再生」という種類を選べば、債権者の同意・反対に関わらず、強制的に再生計画を認可させることが可能です。和解を頑なに拒否する強硬な業者が相手の場合に有効な手段です。

決裂した当日から実行する手順:判決確定までのタイムリミット

和解交渉が決裂したその日から、判決が確定するまでの約1ヶ月〜1ヶ月半が勝負の期間です。この期間内に法的整理の申し立て準備を整える必要があります。

  1. 弁護士・司法書士へ「方針変更」を伝える
    現在依頼している専門家がいる場合、すぐに「和解は無理そうなので、個人再生か自己破産に切り替えたい」と相談してください。自分で裁判をやっている(本人訴訟)場合は、一刻も早く法的整理に強い専門家を探して依頼する必要があります。
  2. 家計簿と資料の収集
    法的整理には、和解交渉よりも多くの資料(家計簿、通帳のコピー、退職金見込額証明書、保険証券など)が必要です。これらを短期間で集めなければなりません。「判決確定までに申し立てる」ことを目標に動きます。
  3. 受任通知の再送付・連絡
    新しく依頼した弁護士から、改めて債権者に「介入通知(受任通知)」を送ります。これ自体で裁判が止まるわけではありませんが、債権者に対して「破産・再生の準備に入った」と伝えることで、無益な差し押さえを牽制できる場合があります。
  4. 裁判所への申し立て
    資料が揃い次第、裁判所に個人再生または自己破産の申し立てを行います。申し立てが受理されれば、債権者が判決を取ったとしても、それに基づいた強制執行を法的に阻止する手続き(強制執行停止の申立など)を併用することが可能になります。

よくある疑問とやってはいけないこと

追い詰められた状況で判断を誤ると、取り返しのつかない事態になります。ここでは、和解決裂後に多くの人が考えがちな間違いについて解説します。

Q. 判決に対して「控訴」すれば時間を稼げますか?

理論上は可能ですが、おすすめできません。控訴をするには「一審の判決内容に不服がある正当な理由」が必要です。「お金がないから払えない」「分割にしてほしい」という理由は、法律上の控訴理由になりません。単なる時間稼ぎの控訴は、遅延損害金を増やすだけであり、裁判所や債権者の心証を悪くするだけです。

Q. 判決が出た後に、もう一度和解交渉できませんか?

極めて困難ですが、ゼロではありません。判決を取った債権者が、実際に差し押さえをしようとしても、あなたの職場が分からなかったり、口座に残高がないことが分かっている場合、「差し押さえの手間をかけるよりは、今からでも分割で払ってもらった方がマシ」と考える可能性はあります。

ただし、これはあくまで債権者の温情次第であり、立場は圧倒的に弱くなります。「頭金をまとまった額(借金総額の3割〜5割など)入れるなら考えてもいい」といった厳しい条件を突きつけられる覚悟が必要です。

Q. 職場を変えれば差し押さえから逃げられますか?

転職すれば一時的に差し押さえは空振りしますが、根本解決にはなりません。債権者は定期的に調査を行い、新しい勤務先を突き止める手段を持っています。また、逃げ回っている間に遅延損害金は膨らみ続け、時効も判決によって10年に延長されています。逃げ続ける生活のストレスは計り知れません。

まとめ

裁判での和解が決裂しても、すぐに全てが終わるわけではありません。判決が確定し、実際に差し押さえが実行されるまでには、通常1ヶ月以上の猶予があります。この期間は、単に怯えて過ごすための時間ではなく、方針を切り替えて生活を守るための準備期間です。

「和解できない」と言われた理由は、あなたの返済能力と借金額のバランスが崩れていることにあるケースが大半です。無理に条件をのんで再和解しても、すぐに破綻するのは目に見えています。それならば、法律の力を借りて借金そのものを減額・免除する個人再生や自己破産の方が、確実な再スタートにつながります。

債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、裁判対応からの切り替えや、強制執行を止めるための緊急対応についての相談もできるので、現在の状況に合った次の一歩を検討してみてください。

借金問題に強い杉山事務所の無料相談

減額診断

おすすめの理由
毎月1万件以上の豊富な実績
初期費用や相談料が無料
過払い金の回収額が毎月1億円以上
日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

監修者:代表司法書士 計良 宏之

東京都荒川区東日暮里5-17-7 秋山ビル1階

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

借金問題・債務整理に関する情報を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。

先月151人が利用
借金をいくら減額できるか無料でチェック!