競売開始決定通知が届いても家に住み続けるには?リースバックや個人再生が間に合う期限と条件

裁判所から競売開始決定通知が届きましたが、家族のためにもこの家に住み続けたいです。

住宅ローンの滞納が続き、ついに裁判所から「競売開始決定通知」という書類が届いてしまいました。自業自得なのは承知していますが、子供の学校や家族の生活環境を変えたくないため、なんとかして引っ越しをせずに今の家に住み続ける方法はないでしょうか。

インターネットで調べると「リースバック」や「個人再生」という言葉が出てきますが、競売の手続きが始まってしまった今の段階からでも間に合うのか、具体的な条件や手順が分からず焦っています。

入札開始の前日までに「任意売却」または「個人再生」が成立すれば住み続けられます。

競売開始決定通知が届いた段階であれば、まだ強制退去が決まったわけではありません。競売の入札(期間入札)が始まる前日までであれば、債権者との合意により競売を取り下げてもらい、住み続けるための手続きを進めることが可能です。

具体的には、所有権を維持したままローンを払い直す「個人再生(住宅資金特別条項)」か、自宅を売却して賃貸として住む「リースバック(任意売却)」のいずれかを検討することになります。ただし、どちらも債権者の同意や厳格な条件クリアが必要であり、タイムリミットが迫っているため1日も無駄にできません。

この記事では、競売手続きが進んでいる状況から自宅を守るための具体的な選択肢、それぞれの成功条件、そして業者の甘い言葉に騙されないための注意点について、手順を追って解説します。

この記事でわかること

競売を回避して住み続けるためのタイムリミット

裁判所から通知が届いた時点ですでに事態は深刻ですが、即座に家を追い出されるわけではありません。まずは、残された時間がどれくらいあるのかを正確に把握し、手続きがどの段階にあるかを確認することが先決です。競売の流れを理解し、どの時点までに何をすれば回避できるのかを整理します。

競売開始決定通知から入札までの期間

「競売開始決定通知」が届いてから、実際に家が他人(落札者)のものになるまでには、通常3ヶ月から6ヶ月程度の期間がかかります。この期間中であれば、債権者(銀行や保証会社)と交渉し、競売を取り下げてもらう余地が残されています。しかし、交渉には時間がかかるため、実質的に動けるのは最初の1〜2ヶ月が勝負となります。

具体的なリミットとなるのは「期間入札の開始日」の前日です。期間入札とは、購入希望者が裁判所に対して入札を行う期間のことです。一度入札が始まってしまうと、誰かが入札した時点で競売の手続きを止めることはほぼ不可能になります。したがって、すべての対策はこの日までに完了させるか、あるいは債権者の同意を得て手続きを完了させる見込みを立てておく必要があります。

通知到着後 競売開始決定通知が届く。登記簿に「差押」が記載される。
まだ住み続けるための対策は可能。
1〜2ヶ月後 裁判所の執行官と不動産鑑定士による「現況調査」が行われる。
自宅を訪問され、室内の写真撮影や聞き取り調査が実施される。
3〜5ヶ月後 「期間入札の通知」が届く。入札期間や開札期日が決定される。
この通知が届くと、タイムリミットは目前に迫っている。
入札期間開始 購入希望者による入札がスタート。
この時点で、任意売却や個人再生による競売回避は極めて困難になる。

現況調査が来る前に動くべき理由

競売開始決定通知が届いてからしばらくすると、裁判所の執行官が自宅を訪れる「現況調査」が行われます。これは法律に基づいた強制的な調査であり、拒否することはできません。室内の状況や占有者(誰が住んでいるか)を確認し、写真を撮影して公開用の資料(3点セット)を作成するためです。

もし現況調査が行われ、競売情報としてインターネットや裁判所で自宅の情報(外観や室内の写真を含む)が公開されてしまうと、近隣住民に競売の事実が知られるリスクが高まります。また、購入希望の不動産業者や投資家が現地を見に来ることも増え、精神的な負担が大きくなります。

可能な限り現況調査が実施される前、あるいは情報が公開される前に債権者と合意を形成し、競売の取り下げを申請することが理想的です。そのためには、通知が届いたその週のうちに専門家へ相談し、方針を決定する必要があります。

方法1:個人再生(住宅資金特別条項)で持ち家を守る

家に住み続ける方法の中で、唯一「所有権を自分(または家族)の名義のまま維持できる」のが、個人再生という法的手続きを利用する方法です。特に「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用すれば、住宅ローン以外の借金を大幅に減額しつつ、住宅ローン自体はそのまま(またはリスケジュールして)払い続けることで、家を守ることが可能です。

競売手続きをストップできる条件

通常、競売手続きが開始されると、債務者の都合で勝手に止めることはできません。しかし、個人再生の申し立てを行い、裁判所から「中止命令」を得ることができれば、進行中の競売手続きを法的にストップさせることができます。その後、個人再生の再生計画案が認可されれば、競売手続きは正式に取り消されます。

ただし、これには厳しい条件があります。特に重要なのが「保証会社による代位弁済から6ヶ月以内」という期限です。住宅ローンを滞納し、保証会社が銀行へ一括返済(代位弁済)を行った日から6ヶ月を経過してしまうと、住宅資金特別条項を利用した個人再生の申し立てができなくなり、家を守る法的手段が失われます。

  • 保証会社による代位弁済から6ヶ月を経過していないこと。
  • 住宅ローン以外の借金も含め、安定した収入があり返済計画が立てられること。
  • 住宅ローン債権者(保証会社)との間で、巻き戻しの合意が得られる見込みがあること。
  • 本人が居住している住宅であること(投資用物件や別荘は対象外)。

住宅ローン以外の借金を圧縮するメリット

個人再生の大きなメリットは、住宅ローン以外の借金(カードローン、クレジットカードのリボ払いなど)を原則として5分の1(最低100万円)まで大幅に減額できる点です。これにより、家計全体の返済負担を劇的に減らし、浮いた資金を住宅ローンの返済に集中させることができます。

例えば、住宅ローン以外に500万円の借金がある場合、通常であれば毎月10万円以上の返済が必要ですが、個人再生が認可されれば借金は100万円まで圧縮され、3年払いで毎月約2.8万円の返済で済むようになります。これならば、住宅ローンと合わせても支払いが継続できる可能性が高まります。

利用できないケースと注意点

個人再生は強力な手段ですが、すべてのケースで使えるわけではありません。特に以下の状況では利用が難しくなります。

  • 住宅ローン以外の担保がついている場合:住宅ローン以外の借金のために自宅に抵当権が設定されている場合、特則は利用できません。
  • 税金の滞納による差押えがある場合:固定資産税や住民税などの税金滞納により、自治体から差押えを受けている場合、個人再生の手続きよりも税金の徴収が優先されるため、まずは税金の納付計画について自治体と合意する必要があります。
  • 安定した収入がない場合:個人再生は「減額された借金を3年間(最長5年)で完済する」計画が必要なため、無職や収入が極端に低い場合は認められません。

個人再生は裁判所を通す複雑な手続きであり、自力で行うのは不可能です。競売開始決定が出ている場合は一刻を争うため、必ず「借金問題に強い弁護士」または「認定司法書士」に依頼する必要があります。

方法2:リースバックで売却後に賃貸として住む

個人再生が難しい場合、あるいはすでに代位弁済から6ヶ月以上経過している場合の有力な選択肢が「リースバック(任意売却との組み合わせ)」です。これは、自宅を第三者(不動産会社や投資家)に売却し、売却代金で住宅ローンを一括返済した上で、新しい所有者と賃貸契約を結んでそのまま住み続ける方法です。

競売ではなく任意売却を選ぶメリット

競売は市場価格の6〜7割程度で安く叩き売られることが多く、落札後は強制的に退去を迫られます。一方、「任意売却」という形で一般市場に近い価格で売却できれば、より多くの借金を返済できる可能性があります。

さらに、通常の売却では引越しが必要ですが、リースバックであれば「引越し不要」「生活環境が変わらない」「近所に売却を知られない」という大きなメリットがあります。子供の転校を避けたい、近所の目が気になるという方にとっては非常に有効な手段です。

毎月の家賃設定と買い戻しの特約

リースバックで最も重要なのは「売却後の家賃」です。家賃は通常、売却価格に対する利回り(年間7〜12%程度が相場)で計算されます。つまり、高く売れれば売れるほど多くの借金を返せますが、その分、毎月の家賃も高くなってしまいます。

無理な家賃設定で契約してしまうと、結局家賃が払えなくなり退去することになります。ご自身の収入で無理なく支払い続けられる家賃設定になるよう、売却価格とのバランスを慎重に調整する必要があります。

また、将来的に資金ができたら「買い戻し」ができる特約を付けることも可能です。ただし、買い戻し価格は売却価格よりも高くなる(諸経費や利益が上乗せされる)ことが一般的であり、実際に買い戻せるケースは多くないのが現実です。「住み続けられること」を最優先とし、買い戻しはあくまでオプションと考えるのが賢明です。

リースバックが成立しない物件の特徴

リースバックは投資家にとって「投資物件」となるため、すべての物件で利用できるわけではありません。以下のようなケースでは断られる可能性が高くなります。

  • オーバーローンの額が大きすぎる:家の売却価格よりも住宅ローンの残債が大幅に多く、差額を用立てられない場合、抵当権を抹消できないため売却自体が成立しません(※債権者が応諾すれば可能なケースもあり)。
  • 物件の立地や状態が悪い:再建築不可物件、田舎で賃貸需要がないエリア、建物の老朽化が激しい場合などは、買い手がつかないことがあります。
  • 家賃が相場より高すぎる:投資利回りを確保するために計算された家賃が、周辺の家賃相場より著しく高い場合、入居者が継続して払えないと判断され、契約できないことがあります。

方法3:親族間売買で名義を変えて住み続ける

第三者ではなく、親、子供、兄弟などの親族に自宅を買い取ってもらい、その親族に対して家賃を支払う、あるいは同居するという形で住み続ける方法です。これを「親族間売買」と呼びます。

親子間・親族間での売買における住宅ローンの壁

心情的には最も安心できる方法に見えますが、実現のハードルは非常に高いのが現実です。最大の壁は「住宅ローンが組めない」ことです。

多くの金融機関は、親子間や親族間での不動産売買に対する融資(住宅ローン)を極端に嫌がります。これは、売買を装った資金援助や、相続税逃れ、住宅ローン金利の不正利用などに使われるリスクが高いためです。「親族間売買ローン」を取り扱っている金融機関はごく一部に限られ、審査基準も非常に厳しく設定されています。

したがって、親族間売買を成功させるためには、買い手となる親族に「現金で一括購入できる資金力」があるか、あるいは「厳しい審査に通る高い信用力」が必要です。

適正価格での取引と贈与税のリスク

「身内だから安く売ればいい」と考えるのは危険です。市場価格よりも著しく低い金額(低廉譲渡)で売買を行うと、税務署から「差額分は贈与である」とみなされ、買い手である親族に多額の贈与税が課される可能性があります。

親族間売買を行う場合は、不動産鑑定士による鑑定評価などを用いて「適正な時価」で取引を行う必要があります。また、売買契約書をしっかり作成し、お金の授受を銀行振込で記録に残すなど、第三者から見ても透明性の高い取引にしなければなりません。これらを調整するためにも、不動産会社や税理士の介入が不可欠です。

注意すべき悪徳業者の手口

競売開始決定の登記がなされると、その情報は誰でも閲覧できるようになります。これを見た一部の悪質な不動産会社やブローカーから、大量のDM(ダイレクトメール)が届いたり、直接訪問を受けたりすることがあります。藁にもすがる思いで彼らの話に乗ってしまうと、さらに状況が悪化することがあるため注意が必要です。

登記簿を見た業者からのDMや訪問

「競売を止められます」「引越し代を全額保証します」「高値で買い取ります」といった甘い言葉で近づいてくる業者には警戒してください。中には、法外な手数料を請求したり、相場よりも極端に安い価格で物件を買い叩いたりする業者が存在します。

特に危険なのは、実体のないコンサルティング契約を結ばされ、何も解決しないまま時間だけが過ぎてしまい、最終的に競売回避のタイムリミットを逃してしまうケースです。突然訪問してきた業者や、一方的に送りつけられたDMの業者ではなく、ご自身で信頼できる弁護士や、任意売却の実績が豊富な不動産会社を探して相談することが重要です。

「引越し代が出せる」という言葉の裏側

かつては任意売却の際に、債権者の温情で売却代金の中から数十万円程度の「引越し代(ハンコ代)」が認められるケースがありましたが、現在は金融機関の運用が厳格化しており、引越し代の控除が認められないケースが増えています。

それにもかかわらず、「必ず引越し代を100万円確保します」などと断定的な約束をする業者は、債権者とトラブルを起こす可能性が高く、結果的に任意売却自体が不成立になるリスクがあります。誠実な業者は「交渉してみますが、確約はできません」と正直に伝えてくれるはずです。

どの方法を選ぶべきか?状況別の判断チャート

ここまで解説した「個人再生」「リースバック」「親族間売買」のどれを選ぶべきかは、ご自身の経済状況や物件の状態によって決まります。以下の基準を参考に、現実的な選択肢を絞り込んでください。

収入はあるが借金が多い場合

  • 推奨:個人再生(住宅資金特別条項)
  • 条件:安定した収入があり、住宅ローンの返済を再開・継続できる余力があること。
  • 判断ポイント:住宅ローン以外の借金が減れば家計が回るなら、所有権を守れるこの方法が最善です。代位弁済から6ヶ月以内であることが必須です。

ローン残債が家の価値を上回っている(オーバーローン)場合

  • 推奨:任意売却(+リースバックの検討)
  • 条件:債権者が売却価格に同意してくれること。
  • 判断ポイント:個人再生が不可能な場合や、今後もローン返済が厳しい場合は、借金を整理するために売却を選択せざるを得ません。リースバックが可能かどうかは、家賃を払い続けられる収入があるかで判断します。

買い手となる資金力のある親族がいる場合

  • 推奨:親族間売買
  • 条件:親族が現金購入できる、または融資を受けられること。
  • 判断ポイント:最も安心できる形ですが、協力してくれる親族への負担が大きいため、十分な話し合いと税務面への配慮が必要です。

まとめ

競売開始決定通知が届いた後でも、入札が始まる前であれば、家に住み続けるための対策を講じることは可能です。しかし、残された時間は非常に短く、選択肢は日ごとに狭まっていきます。

「個人再生でローンを巻き直す」のか、「リースバックで賃貸に切り替える」のか、いずれの道を選ぶにしても、債権者との交渉や裁判所への手続きが必要です。これらを個人だけで進めることは困難であり、失敗すれば強制退去という最悪の結果が待っています。

債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、住宅ローン特則を使った個人再生や、競売回避の緊急対応についての相談もできるので、ご自身の状況に合った次の一歩を検討してみてください。

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日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

監修者:代表司法書士 計良 宏之

東京都荒川区東日暮里5-17-7 秋山ビル1階

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

借金問題・債務整理に関する情報を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。

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