借金滞納で差押え通知が届いたときローン返済中の車は引き上げられるか見分ける所有権確認手順
消費者金融からの差押え通知が届きましたが、ローン返済中の車も持っていかれますか?
カードローン3社からの借金を半年ほど滞納しており、ついに裁判所から給料または預金の差押え予告(債権差押命令)のような書類が届いてしまいました。
一番心配なのは、通勤や子供の送迎で毎日使っている自家用車のことです。車のローンだけは信販会社へ毎月遅れずに支払い続けており、あと2年ほど残債があります。
借金の差押えを受けると、私が乗っている車も裁判所や債権者に没収されてしまうのでしょうか?それとも、車のローンさえ払っていれば、車だけは手元に残せるのでしょうか?
田舎暮らしで車がないと仕事にも行けず、生活が破綻してしまいます。今日明日にも車がレッカー移動されてしまうのではないかと不安で眠れません。今の状況で車を守るために確認すべきことや、最悪の事態を回避する手順を教えてください。
車検証の所有者欄が信販会社なら他社の差押えで直ちに没収されることはありません。
結論から申し上げますと、車のローン返済中であれば、その車の法的な「所有権」はあなたではなくローン会社(信販会社やディーラー)にある「所有権留保」の状態である可能性が極めて高いです。車があなた名義の財産でなければ、消費者金融などの別の債権者が裁判所を通じてその車を差し押さえることは原則としてできません。
ただし、安心するのはまだ早いです。他社の借金で給料や銀行口座が差し押さえられると、結果的に車のローン引き落としができなくなり、その時点で車のローン会社から契約違反として車を引き上げ(回収)される「連鎖的な没収」のリスクが高まります。また、ローン契約の条項によっては、他社から差押えを受けた時点で一括返済を求められるケースも存在します。
この記事では、届いた差押え通知に対して車を守れる法的状態にあるかをご自身で見分ける確認手順と、給料差押えによる資金ショートから車を守るための具体的な防衛策を解説します。
この記事でわかること
焦る前に車検証の「所有者欄」と「使用者欄」を確認する
ダッシュボードから車検証を取り出して見るべき場所
差押えの恐怖でパニックになる前に、まずは冷静に事実確認を行います。今のあなたの車が「誰のもの」として登録されているかによって、消費者金融やカード会社が手を出せるかどうかが100%決まるからです。
車のダッシュボード(グローブボックス)に入っている「自動車検査証(車検証)」を取り出し、記載されている以下の2つの欄を見比べてください。
| 見るべき項目 | 確認する内容と意味 |
|---|---|
| 所有者の氏名・名称 | ここが「ローン会社・ディーラー」か「あなた(家族)」かを確認します。 ※ここが最も重要な分岐点です。 |
| 使用者の氏名・名称 | ここには通常「あなた」の名前が記載されています。 ※実際のドライバーが誰かを示しています。 |
もし、電子車検証(ICタグ付きの小さなサイズ)をお持ちの場合は、券面にはすべての情報が記載されていないことがあります。その場合は、同時に交付されている「自動車検査証記録事項」というA4サイズの書類を確認するか、スマートフォンで車検証閲覧アプリを使ってICタグを読み取り、所有者情報を確認してください。
パターンA:所有者が「ローン会社・ディーラー」の場合
所有者の欄に「〇〇ファイナンス」「〇〇トヨペット」「〇〇クレジット」などの会社名が書かれている場合、あなたは法的に守られた状態にあります。これを「所有権留保(しょゆうけんりゅうほ)」と呼びます。
この状態であれば、今回の差押え通知を送ってきた消費者金融やカード会社は、あなたの車を直接差し押さえることはできません。なぜなら、その車はまだあなたの財産ではなく、ローン会社の持ち物だからです。他人の持ち物を勝手に差し押さえることは法律で認められていません。
パターンB:所有者が「あなた(本人)」の場合
もし所有者の欄に「あなた自身の名前」が書かれている場合、その車は法的に完全に「あなたの財産」とみなされます。この場合、理屈上は消費者金融などの債権者が、裁判所を通じて「動産執行」という手続きで車を差し押さえ、競売にかけて現金化することが可能になります。
「ローンを払っているのに所有者が自分になることがあるのか?」と疑問に思うかもしれませんが、銀行系のマイカーローンや、信販会社でも比較的少額のローンの場合、最初から所有権を本人にするケースが存在します。このパターンBの場合は、車を持って行かれるリスクが現実的に存在するため、後述する対策を急ぐ必要があります。
なぜ「所有権留保」だと他社の差押えから守られるのか
差押えは「債務者本人の財産」しか対象にできない
借金の滞納によって行われる「強制執行(差押え)」には厳格なルールがあります。それは「債務者(あなた)の名義になっている財産しか処分できない」という大原則です。
車のローン(クレジット契約)では、完済するまでの担保として、ローン会社が車の所有権を持ち続ける契約が一般的です。あなたが支払っているのは、あくまで「車を使わせてもらう権利」と「将来的に自分のものにするための分割金」です。
- あなたの財産ではないため、他の借金取りは手を出せない
- 裁判所の執行官も、所有者が別会社である車には赤紙(差押えの札)を貼れない
- ただし、あなたには「使用する権利」があるため、ローン会社以外から没収されることはない
つまり、A社のカードローンを滞納して裁判を起こされ、給料や預金の差押えが確定したとしても、B社のオートローンで購入した所有権留保中の車が、A社によって持っていかれることは構造上あり得ないのです。
「引き上げ」と「差押え」の違いを理解する
多くの人が混同してしまうのが、裁判所による「差押え」と、ローン会社による「引き上げ(回収)」の違いです。
| 用語 | 実行者と条件 |
|---|---|
| 差押え(強制執行) | 消費者金融などの一般債権者が行う。 裁判所の許可が必要。 対象は給料、預金、あなたの名義の不動産・車など。 ※所有権留保中の車は対象外。 |
| 引き上げ(所有権実行) | 車のローン会社が行う。 裁判所を通さず、契約に基づき実行される。 対象はローン対象の車のみ。 ※車のローンを滞納すると実行される。 |
あなたが今恐れている「他社の借金による通知」は前者の「差押え」です。したがって、車のローンさえ正常に払っていれば、車自体に対する直接的な攻撃は防げている状態と言えます。
銀行マイカーローン利用者が注意すべき「所有権本人」のリスク
銀行ローンは所有権留保をつけないことが多い
車検証の所有者が「あなた」になっていた場合、特に注意が必要です。銀行や信用金庫のマイカーローンは、信販会社のディーラーローンとは異なり、融資実行と同時に車の所有権を購入者(あなた)に移転させることが一般的です。
この場合、車は法的に「換金価値のあるあなたの資産」として扱われます。もし消費者金融からの借金滞納で強制執行が行われた場合、給料や預金に残高がなければ、次のターゲットとして「動産(家財道具や車)」が狙われる可能性がゼロではありません。
実際に車が差し押さえられる基準(20万円の壁)
所有者があなた名義であっても、必ずしも即座に車が持っていかれるわけではありません。差押えには「費用対効果」が考慮されるからです。
裁判所の執行官が動産執行を行う際、差し押さえる物品には「市場価値」が求められます。一般的に、中古車としての市場価値が20万円を超える場合は処分の対象になり得ますが、古い年式や過走行で価値がつかない車(査定ゼロに近い車)は、差し押さえ禁止財産や無剰余(売っても費用倒れになる)として、そのまま使用を認められるケースが多いです。
しかし、高級車や年式の新しい人気車種に乗っていて、なおかつ所有者が自分名義である場合は、給料差押えと同時に車への執行申立てが行われるリスクを警戒する必要があります。
最大の危機は「給料差押え」による資金ショート
給料の4分の1が消えると車のローンが払えなくなる
ここまでの説明で「ローン会社名義の車なら安心だ」と思われたかもしれませんが、ここからが本当の正念場です。他社の借金で差押え通知が来たということは、近日中にあなたの給料(手取り額の4分の1、または33万円を超える部分)がカットされて会社から支払われることになります。
例えば手取り24万円の人の場合、6万円が毎月差し押さえられ、手元には18万円しか残りません。これまでギリギリの生活費で車のローン(例えば月3万円)を払っていた場合、この6万円の減収によって、物理的に車のローンが払えなくなる事態に陥ります。
車のローンを滞納すれば即「引き上げ」になる
他社の差押え自体では車を取られなくても、その影響で資金繰りが悪化し、車のローン引き落としが「残高不足」になった瞬間、今度は車のローン会社との問題が発生します。
- 他社の借金で給料が減る(または口座が凍結され引き落とし不能になる)
- 車のローン支払いが遅れる
- ローン会社から督促が来る
- 2ヶ月程度の滞納で「期限の利益喪失」となり一括請求される
- 払えなければ「所有権留保」に基づき、レッカーで車が回収される
これが「借金の差押えで車を失う」最も典型的なパターンの正体です。直接持っていかれるのではなく、兵糧攻めにされて維持できなくなるのです。
「期限の利益喪失条項」による強制解約のリスク
さらに怖いのが、自動車ローンの契約約款に含まれる「期限の利益喪失条項」です。ここには通常、「他の債務の不履行により差押えを受けたとき、ローン会社は直ちに残金を一括請求できる」といった内容が書かれています。
つまり、車のローンを真面目に払っていたとしても、他社からの給料差押え情報が信用情報機関やサービサーを通じて車のローン会社に知られた場合、約款を盾に「信用状態が悪化したので、車を返してください(または残金を全額払ってください)」と言われるリスクが理論上存在します。
実際には、支払いが遅れていなければ黙認されるケースも多いですが、法的には「いつ引き上げられても文句が言えない不安定な状態」に突入したことを自覚しなければなりません。
差押え通知が届いた当日に車を守るためにやるべきこと
1. 車のローン引き落とし口座を変更する
もし、裁判所からの通知が「債権差押命令」で、対象に「銀行預金」が含まれている場合、その銀行口座は一時的に凍結されたり、入金した瞬間に相殺されたりして機能不全に陥ります。その口座を車のローン引き落とし口座に設定していると、次回の引き落としが失敗し、前述の「引き上げ」トリガーを引いてしまいます。
直ちに車のローン会社へ連絡し、「引き落とし口座の変更」または「今月分の銀行振込への切り替え」を申し出てください。この際、正直に「差押えを受けた」と言う必要はありません。「口座のトラブルで使えなくなったため」と伝えれば十分です。
2. 任意整理で「車以外」の借金を整理できるか診断する
車を守るための唯一の現実的な解決策は、「車のローンは払い続けながら、それ以外の借金を圧縮する」ことです。
債務整理の一種である「任意整理」であれば、整理する借金を選ぶことができます。例えば、差押えをしてきたA社や滞納中のB社だけを対象に弁護士や司法書士が介入し、分割払いの交渉を行うことで、車のローン(C社)だけは契約通り払い続けて車を手元に残す、という戦略が取れます。
ただし、すでに「差押え命令」が出てしまっている段階では、相手業者も強気であり、通常の任意整理交渉に応じてくれない可能性があります。また、給料差押えを止めるには「個人再生」や「自己破産」への切り替えが必要になるケースも多いため、一刻も早い専門家の判断が必要です。
特に「個人再生」には「住宅ローン特則」はありますが、「マイカーローン特則」はありません。つまり、法的手続きで給料差押えを強制的に止めようとすると、原則として車は引き上げ対象になってしまいます。「任意整理で間に合うか」「個人再生で車を諦めるか」の瀬戸際にあるのが今の状況です。
絶対にやってはいけない「隠蔽」と「名義変更」
車を友人の家に隠すと犯罪になる
「差押えが来るかもしれないから、車を実家や友人のガレージに隠しておこう」と考えるのは絶対にやめてください。
強制執行の対象となる財産を隠したり、壊したり、譲渡したように装ったりする行為は、刑法96条の2「強制執行妨害目的財産損壊等罪」に該当する立派な犯罪です。発覚すれば借金問題どころか、警察沙汰になり逮捕される可能性があります。執行官はプロですので、隠された財産を見つけるノウハウを持っていますし、不自然な車両の移動はすぐにバレます。
急いで名義変更をしても無効になる
「今のうちに妻の名義に変えてしまえば、私の財産ではなくなるからセーフでは?」という考えも危険です。
差押え直前や支払い不能状態での名義変更は、債権者を害する行為として「詐害行為取消権(さがいこういとりけしけん)」の対象となり、法的に無効にされます。さらに、悪質な財産隠しとみなされれば、後の自己破産手続きにおいて「免責不許可事由(借金をゼロにできない理由)」と判定され、借金がそのまま残る最悪の結果を招きます。
小手先の工作は状況を悪化させるだけです。今の所有権状態を維持したまま、法的に正しい手続きで「返済計画の組み直し」を行うことだけが、生活と車を守る唯一の道です。
まとめ
借金の差押え通知が来たとしても、車のローン返済中で「所有権留保(車検証の所有者がローン会社)」の状態であれば、その車自体が他社に直接没収されることは原則としてありません。しかし、給料差押えによって生活費が削られ、車のローンが払えなくなれば、結果として車は引き上げられてしまいます。
車を守るためには、「給料差押えを回避・解除すること」と「車のローン支払いを継続すること」の両立が不可欠です。すでに差押え通知が届いている段階では、自力での交渉は不可能ですので、法律の専門家による介入で状況を沈静化させる必要があります。
債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、差押え後の緊急対応や、車を残すための任意整理の可能性についての相談もできるので、生活の足である車を失う前に、あなたの状況に合った次の一歩を検討してみてください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。


