住宅ローンとカードローンの返済二重苦で家を守るための支払い優先順位と完済ロードマップ

住宅ローンとカードローンの返済が重なり、毎月の給料がほとんど残りません。家だけは手放したくないのですが、どうすれば良いでしょうか。

5年前にマイホームを購入し、毎月11万円の住宅ローンを返済しています。当初は共働きで余裕がありましたが、妻の収入減と子供の教育費増加が重なり、生活費の不足分をカードローンで補填するようになりました。現在は3社から計250万円ほどの借入があり、毎月の返済額は住宅ローンと合わせて20万円近くになります。

ボーナス払いでなんとか凌いできましたが、今度のボーナスは減額される見込みで、いよいよ支払いが回りません。銀行に相談すべきか、カードローンを優先して返すべきか、あるいは家を売るしかないのか、優先順位と解決策を教えてください。

住宅ローンの返済を最優先に確保し、カードローンの利息負担を法的に圧縮する手続きを検討してください。

住宅ローンとカードローンの二重苦に陥った際、最も避けるべきは「カードローンの返済日を守るために住宅ローンを滞納すること」です。住宅ローンを滞納すると、最終的に自宅が競売にかけられ、住居を失うリスクに直結します。一方で、カードローンは担保がない借金であり、支払いが遅れても即座に家を取られることはありません。

家を守りながら生活を立て直すには、住宅ローンはこれまで通り支払い続け、カードローンのみを「任意整理」で将来利息をカットし、月々の返済額を減らす方法が有効です。借金総額が年収に対して大きすぎる場合は、住宅ローン特則付きの「個人再生」を利用することで、マイホームを残したまま借金を大幅に減額できる可能性があります。

この記事では、二重苦の状況から家を守って完済するための具体的な優先順位、銀行への相談可否、そして債務整理による解決シミュレーションについて詳しく解説します。

この記事でわかること

二重苦の危険度レベルを判定する手順

住宅ローンとカードローンの支払いに追われている状況では、まずご自身の家計が「どの程度危険な状態か」を客観的に把握する必要があります。単に「苦しい」という感覚だけでなく、数字に基づいて「自力での完済が可能か」、それとも「法的な手続きが必要か」を切り分けなければなりません。

以下のチェックリストを使用して、現在の状況がどの危険度レベルに該当するかを確認してください。レベルが高くなるほど、早急な対策が必要となります。

危険度レベルチェックリスト

レベル1
(注意)
  • 毎月の収支はトントンだが、貯金ができていない
  • ボーナス払いの月だけ赤字になり、補填が必要
  • カードローンの限度額にはまだ余裕がある
レベル2
(警告)
  • 生活費が足りず、毎月カードローンで借り入れている
  • 住宅ローンの引き落とし口座への入金が当日ギリギリになる
  • カードローンの返済を別のカードローンで借りて返している(自転車操業)
レベル3
(危険)
  • カードローンの借入限度額が一杯で、これ以上借りられない
  • 住宅ローンまたはカードローンの滞納が年に数回発生している
  • 借金返済額(住宅ローン含む)が月収の40%を超えている
レベル4
(緊急)
  • 住宅ローンの滞納により、銀行から督促状が届いている
  • 税金や管理費などの固定費も滞納している
  • 精神的なストレスで不眠や体調不良が続いている

レベル1〜2の段階であれば、家計の見直しやプチ収入の確保で乗り切れる可能性がありますが、レベル3以上の場合は、自力での完済は極めて困難です。新たな借入でその場を凌いでも、利息負担が増えるだけで根本的な解決にはなりません。特に「家を守りたい」という明確な意思がある場合、時間が経過するほど選択肢が狭まるため、早めの行動が不可欠です。

家を守るための支払い優先順位と資金確保

資金が不足して全ての支払いができない月が発生した場合、どの支払いを優先すべきか迷うことがあります。督促の電話が激しいカードローンを優先したくなりますが、家を守るためには「住宅ローンの返済」を最優先にしなければなりません。

なぜ住宅ローンが最優先なのか

住宅ローンには、購入した土地や建物に対して「抵当権」が設定されています。契約通りに返済ができなくなると、銀行などの金融機関は抵当権を行使し、裁判所を通じて強制的に家を売却する「競売(けいばい)」の手続きを進めることができます。

一方で、カードローンやクレジットカード(無担保ローン)の滞納では、直ちに家を差し押さえられることはありません。裁判を起こされて判決が出た後に、給与や預金の差し押さえが行われるのが一般的であり、不動産の競売まで至るには長い時間と複雑な手続きが必要です。したがって、限られた資金を配分する際は、住居を失うリスクが直結する住宅ローンへ確実に充てる必要があります。

やってはいけない資金調達手段

住宅ローンの支払いを確保するために、以下のような手段をとることは避けてください。状況を悪化させ、解決を遠ざける原因となります。

  • 高金利の業者からの借入:銀行や大手消費者金融で借りられなくなった後、審査が甘い中小業者やヤミ金に手を出すと、法的な解決すら困難になります。
  • クレジットカードの現金化:ショッピング枠を使って換金する行為は、カード会社の規約違反であり、後に債務整理をする際にも免責不許可事由(借金をゼロにできない理由)となるリスクがあります。
  • 税金の滞納:固定資産税や住民税などの税金は、一般の借金よりも強力な回収権限を持っています。裁判なしで早期に給与や不動産を差し押さえられるため、税金の滞納は住宅ローン滞納と同様にリスクが高いです。

手元の資金で住宅ローンを払い、カードローンの返済が回らなくなった時点で、それは「支払い不能」のサインです。無理に金策に走るのではなく、法律の専門家に相談して借金の整理を検討すべきタイミングと言えます。

住宅ローンの条件変更(リスケジュール)の判断

住宅ローンの返済自体が厳しくなった場合、借りている金融機関に相談して返済条件を変更してもらう「リスケジュール(リスケ)」という方法があります。一定期間だけ返済額を減らしたり、返済期間を延長して月々の負担を下げたりする交渉です。

リスケジュールを相談する前の確認事項

リスケジュールはあくまで「一時的な負担軽減」であり、借金の元金が減るわけではありません。また、銀行に相談に行く前に、以下のデメリットやリスクを理解しておく必要があります。

優遇金利の適用除外 当初の契約で適用されていた金利優遇(キャンペーン金利など)が外れ、基準金利に戻される可能性があります。結果として総返済額が増えることがあります。
審査の厳格化 リスケジュールの申請には審査があります。現在の家計状況を詳しく説明する必要があり、カードローンの多重債務があることが銀行に知られると、返済能力を疑問視され、リスケが認められない場合もあります。
将来のローン審査への影響 リスケジュールを行うと、その履歴が銀行内で記録されます。将来的にリフォームローンや教育ローンを同じ銀行で組むことが難しくなる可能性があります。

借り換えによる解決の可能性

「今の住宅ローンの金利が高いので、金利の低い銀行に借り換えて月々の返済を減らしたい」と考える方もいますが、カードローンの借入がある状態での借り換え審査は極めて厳しいのが現実です。借り換え審査では、住宅ローンの残高だけでなく、他の借入状況も厳しくチェックされます。年収に対する総返済負担率(返済比率)がオーバーしていれば、審査には通りません。

したがって、カードローンの借金が数百万円ある状態で、住宅ローン単体の対策(リスケや借り換え)だけで問題を解決するのは困難です。次項で解説するように、カードローンの整理とセットで考える必要があります。

カードローンのみ整理して家を残す「任意整理」

家を守るための最も現実的な手段の一つが「任意整理」です。これは裁判所を通さずに、弁護士や司法書士が代理人となって債権者(カード会社や消費者金融)と交渉し、将来の利息をカットして元金のみを分割返済していく手続きです。

任意整理の最大のメリット:整理する借金を選べる

自己破産や個人再生といった法的手続きは、原則として「全ての借金」が対象となります。つまり、住宅ローンだけを除外することが難しく、家を手放さざるを得ないケースが出てきます。しかし、任意整理であれば、対象とする借金を自由に選ぶことができます。

具体的には、以下のような進め方が可能です。

  • 住宅ローン:手続きの対象から外し、これまで通り銀行へ返済を続ける(=家への影響はゼロ)。
  • カードローン:手続きの対象とし、将来利息をゼロにして、3年〜5年の分割払いで完済を目指す。
  • 車のローン:車が必要な場合は対象から外し、これまで通り返済を続ける。

月々の返済額シミュレーション

カードローン3社から計250万円(年利15%)を借りている場合、通常の返済と任意整理後の返済で、月々の負担がどう変わるか見てみましょう。

項目 現状(自力返済) 任意整理後
毎月の返済額 約75,000円 約42,000円
(60回払いの場合)
内訳 元金+利息 元金のみ
完済までの総額 約350万円以上
(返済期間による)
250万円
(+専門家費用)
削減効果 月額 約33,000円減
総額 約100万円減

このように、任意整理を行うことで月々の支払いを3万円以上圧縮できれば、その分を住宅ローンの返済や生活費に回すことができ、生活の立て直しが可能になります。

借金を大幅減額する「個人再生」と住宅ローン特則

カードローンの借入額が大きすぎて、利息をカットしても月々の返済が続けられない場合(上記の例で言えば、月42,000円も払えない場合)は、「個人再生」という手続きを検討します。これは裁判所を通じて借金を原則5分の1(最大10分の1)まで減額する強力な手続きです。

住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは

個人再生には「住宅資金特別条項(通称:住宅ローン特則)」という制度があり、これを利用することで「住宅ローンはそのまま払い続け、家を守りながら、その他の借金だけを減額する」ことが可能です。

自己破産では家を含めた財産が処分の対象となりますが、個人再生の住宅ローン特則を使えば、マイホームを手放さずに済みます。ただし、利用するには以下の条件を満たす必要があります。

  • 本人が所有し、居住している住宅であること。
  • 住宅ローン以外の抵当権(事業用ローンの担保など)がついていないこと。
  • 住宅ローンを滞納していない、または滞納していても「代位弁済(保証会社による肩代わり)」から6ヶ月以内であること。
  • 安定した継続的な収入があり、減額後の借金を返済できる見込みがあること。

個人再生による負担軽減のイメージ

借金総額500万円(住宅ローンを除く)の場合の減額例は以下の通りです。

  • 手続き前:借金500万円。毎月の返済約15万円(利息込み)。
  • 手続き後:借金100万円に圧縮。毎月の返済約2.8万円(3年分割)。

月々のカードローン返済が15万円から3万円弱になれば、住宅ローンを払いながらでも生活できる可能性が高まります。手続きは複雑で期間もかかりますが、借金総額が大きい場合の最終的な切り札となります。

どうしても払えない場合の売却判断とタイミング

任意整理や個人再生を検討しても、収入減などでどうしても住宅ローンが払えない場合は、家を手放す決断が必要になります。この際、最も避けなければならないのは「何もせず放置して競売(けいばい)になること」です。競売は市場価格よりも安く売られ、プライバシーも守られないため、可能な限り「任意売却(にんいばいきゃく)」を目指すべきです。

オーバーローンかアンダーローンかを確認する

売却を考える際、最初に確認するのは「家の売却予想価格」と「住宅ローン残高」のバランスです。

アンダーローン
(売却額 > ローン残高)
家を売れば住宅ローンを完済でき、手元に現金が残る可能性があります。残った現金でカードローンを返済し、賃貸住宅へ引っ越して再出発する方法です。通常の不動産売却と同じ手順で進められます。
オーバーローン
(売却額 < ローン残高)
家を売っても住宅ローンが残ってしまう状態です。通常、ローンを完済できなければ抵当権を抹消できず、家を売ることはできません。しかし、金融機関の合意を得て行う「任意売却」であれば、借金が残った状態でも家を売却できます。残った借金(残債)は、無理のない範囲で分割返済することになります。

任意売却のタイムリミット

任意売却ができる期間は限られています。住宅ローンの滞納が始まってから6ヶ月程度で「期限の利益の喪失」通知が届き、その後、保証会社による代位弁済が行われると、競売の手続きがスタートします。競売の「開札期日」の前日までが任意売却のタイムリミットですが、買い手を見つける期間も考慮すると、代位弁済の通知が届いたらすぐに動き出す必要があります。

住宅ローンの支払いが難しいと感じたら、滞納する前に銀行へ相談するか、不動産業者と連携できる弁護士・司法書士へ相談し、今後のスケジュールを立てることが重要です。

まとめ

住宅ローンとカードローンの二重苦で生活が破綻しそうなときは、まず「住宅ローンの返済」を最優先にし、住まいを確保してください。その上で、カードローンについては任意整理で利息をカットするか、個人再生で借金総額を圧縮する手続きを検討しましょう。

最も危険なのは、目先のカードローン返済のために高金利の借入を増やしたり、判断を先送りにして競売になってしまうことです。早めに専門家へ相談すれば、家を守りながら生活を再建する道筋は見つかります。

債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、住宅ローンを抱えた状態での借金解決についての相談もできるので、ご自身の家計状況に合った次の一歩を検討してみてください。

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日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

監修者:代表司法書士 計良 宏之

東京都荒川区東日暮里5-17-7 秋山ビル1階

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

借金問題・債務整理に関する情報を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。

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