固定資産税の督促状を無視するといつ差し押さえになる?役所の徴収フローと分納相談の手順

固定資産税の督促状が届いたのですが、無視しているといつ頃差し押さえになりますか?

固定資産税の支払いを忘れており、手元に督促状が届いてしまいました。今はまとまったお金がなく、すぐに全額を支払うことができません。

インターネットで見ると「督促状から10日で差し押さえ」という情報もあり、給料や銀行口座、あるいは住んでいる家そのものがすぐに差し押さえられてしまうのではないかと不安で夜も眠れません。

役所から連絡が来るまで待っていても大丈夫でしょうか?それとも、こちらから連絡して分割払いの相談などをすべきでしょうか。具体的な期間や対処法を知りたいです。

督促状の発送から10日経過で法的要件を満たすため即座に役所へ連絡が必要です

督促状が届いている時点で、法律上はいつ財産を差し押さえられても文句が言えない危険な状態(滞納処分が可能になる段階)に入っています。役所からの連絡を待つのではなく、ご自身から早急に窓口へ連絡を入れなければなりません。

「すぐに家を競売にかけられる」といった事態は稀ですが、銀行口座の凍結や給与の差し押さえは、事前の予告(催告)なしに突然行われるケースが多々あります。放置すればするほど延滞金も膨らみ、分納の交渉も不利になります。

この記事では、固定資産税を滞納した後の役所の動きとタイムライン、差し押さえを回避するための「猶予制度」の申請手順、そして窓口での具体的な相談方法について解説します。

この記事でわかること

督促状が届いた日からカウントダウンされる差し押さえまでの日数

固定資産税を滞納し、役所から督促状が届いた時点で、事態はすでに「行政処分」の待ったなしのフェーズに移行しています。一般の借金(消費者金融やクレジットカード)の滞納とは異なり、税金の滞納には裁判所を通した判決などの手続きが必要ありません。役所の権限だけで、自力執行権を行使して強制的に財産を差し押さえることが可能です。

法律上のリミットは「督促状を発した日から10日」

地方税法では、「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき」に、徴税吏員(役所の担当者)は滞納者の財産を差し押さえなければならないと定められています。つまり、督促状の日付からわずか10日が経過すれば、役所はいつでも法的に正当な手続きとしてあなたの預金や給与を差し押さえることができるのです。

もちろん、実務上は10日を過ぎた瞬間に一斉に差し押さえが実行されるわけではありません。通常は督促状の後に「催告書(さいこくしょ)」や「差押予告通知書」といった書類が送られ、自主的な納付を促す期間が設けられることが一般的です。しかし、これはあくまで役所の温情や事務処理上の都合であり、法的な義務ではありません。「催告書が来ていないからまだ大丈夫」という油断は禁物です。

滞納から差し押さえまでの典型的な流れ
納期限 本来の支払日。翌日から延滞金が発生し始める。
納期限後20日以内 督促状の発送。法律上必須の手続きであり、これを無視することが処分の引き金となる。
督促状発送後10日 差押え可能日。ここを過ぎると、いつ財産調査や処分が行われても違法ではない。
1ヶ月〜数ヶ月後 催告書・差押予告書の送付。電話や訪問による催促が行われることもある。
Xデー 財産差押えの実行。預金口座から残高が引かれたり、勤務先に給与差押通知が届いたりする。

役所内の「財産調査」は水面下で進んでいる

督促状を無視している間、役所は何もしないで待ってくれているわけではありません。徴税吏員には強力な「質問検査権」があり、滞納者の承諾なしに金融機関、勤務先、保険会社、取引先などに対して調査を行うことができます。

  • 銀行への照会:どの支店に口座があり、いくら残高があるか
  • 勤務先への照会:給与の支給額、支給日、振込先口座
  • 生命保険会社への照会:解約返済金のある保険に加入しているか
  • 不動産登記の確認:所有している土地や建物の担保状況

これらの調査は本人に通知することなく秘密裏に行われます。「まだ連絡がないから大丈夫だろう」と思っている間に、外堀は埋められています。ある日突然、給料日に口座を確認したら残高がゼロになっていたり、会社の上司から「役所からこんな通知が来たぞ」と呼び出されたりするのは、調査が完了して執行のタイミングを迎えたためです。

預金・給与・不動産…固定資産税の滞納で狙われる財産と順序

差し押さえと聞くと、テレビドラマのように家の家財道具に赤紙(封印票)を貼られるシーンを想像するかもしれませんが、現代の実務ではそのような「動産執行」は手間がかかる割に回収額が少ないため、優先順位は低いです。役所が狙うのは、より確実に、かつ事務的に回収できる「債権」です。

最優先ターゲット:預貯金口座

最も手軽で迅速に行われるのが銀行口座の差し押さえです。役所は金融機関に対して「差押通知書」を送付し、その時点で口座にある残高から滞納分(本税+延滞金)を強制的に引き落とします。

借金の返済引き落としや、水道光熱費の支払い、生活費の引き出しなどを予定していても関係ありません。口座の残高が滞納額に満たない場合でも、その時点にある全額が徴収されます。例えば滞納額が10万円で残高が5万円なら、5万円全てが持っていかれ、残高は0円になります。これにより、他の支払いが不渡りになり、クレジットカードの利用停止や信用情報の悪化といった二次被害を引き起こします。

回避困難なターゲット:給与

預金残高が少ない、あるいは口座を特定しきれない場合に狙われるのが「給与」です。役所から勤務先へ「債権差押通知書」が届き、会社は法律に従って、給料の一部を本人ではなく役所へ支払わなければならなくなります。

給与差し押さえの最大のリスクは、金額的な損失だけでなく「社会的信用の失墜」です。経理担当者や経営者に「税金を滞納して差し押さえを受けた」という事実が知れ渡ってしまいます。また、完納するまで毎月の給料から天引きされ続けるため、生活再建が非常に困難になります。

差し押さえ可能な金額は、手取り額(税金や社会保険料を引いた額)の4分の1までが基本ですが、手取りが月額44万円を超える場合や賞与に関しては、より多くの割合が没収される可能性があります。

最終手段としての不動産(公売)

固定資産税という性質上、課税対象となっている土地や建物そのものも差し押さえの対象になります。登記簿に「差押」という記載が入り、勝手に売却したり名義変更したりすることができなくなります。

不動産が差し押さえられても、すぐに退去を迫られるわけではありません。しかし、長期間滞納が解消されない場合や、他の財産での回収が不可能な場合は、「公売(こうばい)」という手続きに移行します。これは裁判所の「競売」に相当する手続きで、インターネット公売などを通じて第三者に売却され、その代金が滞納分に充当されます。自宅が公売にかかれば、最終的には所有権を失い、立ち退きを余儀なくされます。

一括で払えないときに適用を目指すべき「徴収猶予」と「換価の猶予」

「払いたいけれど、どうしても手持ちのお金がない」という場合、ただ放置するのではなく、地方税法で認められた猶予制度を申請することが重要です。単に口頭で「待ってください」と頼むだけでなく、正式な制度を利用することで、差し押さえを法的に回避できる可能性があります。

1. 徴収猶予(ちょうしゅうゆうよ)

災害、病気、事業の休廃業など、特定の事情により一時的に納税ができない場合に認められる制度です。認められると以下のメリットがあります。

  • 新たな差し押さえが行われない
  • すでに差し押さえられている財産の解除を申請できる
  • 期間中の延滞金が全額または一部免除される
  • 原則1年以内の分割納付が認められる

申請には「徴収猶予申請書」に加え、り災証明書や医師の診断書、廃業届、収支明細書などの証拠書類が必要です。単なる「浪費でお金がない」といった理由では認められません。

2. 換価の猶予(かんかのゆうよ)

すでに滞納が発生しており、財産を差し押さえられて換金(換価)されることで、事業の継続や生活の維持が困難になる場合に適用される制度です。こちらも原則1年以内の分割納付が認められ、延滞金の一部が免除されます。

換価の猶予を申請するための要件は以下の通りです。

  • 納税について誠実な意思を有すると認められること
  • 一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがあること
  • 納税の猶予(徴収猶予)に該当しないこと
  • 原則として、申請する固定資産税の納期限から6ヶ月以内であること

申請時には「換価の猶予申請書」とともに、「財産目録」や「収支の明細書」を提出し、現在の家計状況と今後の納付計画を具体的に示す必要があります。法律上の申請期限(納期限から6ヶ月)がある点に注意が必要ですが、期限を過ぎていても職権による換価の猶予が認められるケースもあるため、諦めずに相談することが大切です。

役所の窓口に行く前に準備する家計状況表と交渉シナリオ

督促状が届いたら、できるだけ早く役所の「納税課」「収納課」「債権回収対策室」などの窓口へ出向くか、電話を入れるべきです。しかし、手ぶらで行って「お金がないから待って」と言うだけでは、門前払いされるか、無理な支払いを約束させられる恐れがあります。交渉を成功させるためには、徹底的な準備が必要です。

準備するもの:正直な家計収支表

担当者が知りたいのは「なぜ払えないのか」「いつなら払えるのか」「毎月いくらなら払えるのか」の3点です。これを客観的に証明するために、簡易的な家計表を作成して持参しましょう。

収入の部 給与明細(直近3ヶ月分)、賞与明細、児童手当などの振込がわかる通帳コピー
支出の部 家賃、光熱費、食費、通信費、医療費、借金の返済予定表など
作成のポイント 支出を削れるところは削った上で、「月々これだけしか残らない」という「支払可能額(原子)」を明確な数字で出すこと。ギリギリの数字ではなく、絶対に約束を守れる現実的な金額を算出する。

交渉の切り出し方とNGワード

窓口では、以下の手順で話を展開します。

  1. 謝罪と納税の意思表示:「支払いが遅れて申し訳ありません。納める意思はありますが、現在一括での納付が困難です」
  2. 現状の説明:「家計表を持参しました。これを見ていただきたいのですが、今月の手残りは○○円しかありません」
  3. 具体的な提案:「毎月○○円ずつ、××日に納付します。これにより、○月○日までに今年度分を完納する計画です」
  4. 猶予の申請:「現在の状況では生活が維持できないため、換価の猶予をお願いしたいです」

逆に、以下のような態度は担当者の心証を悪くし、強制執行への判断を早める原因になります。

  • 「税金が高いのが悪い」「なんで払わなきゃいけないんだ」と制度への不満をぶつける
  • 「そのうち払います」と期限を曖昧にする
  • 嘘の収入や勤務先を伝える(調査ですぐにバレます)
  • 連絡なしですっぽかす

分納誓約を破ってしまった後の強制執行リスクとリカバリ

役所との話し合いで「毎月○万円ずつ支払う」という納付誓約書(分納誓約書)を交わすことができたとしても、安心はできません。この約束は法的な猶予制度とは異なり、あくまで「差し押さえを待ってやっている」状態に過ぎないからです。

一度の遅れが致命傷になる可能性

分納の約束をしたにもかかわらず、連絡なしに入金が遅れたり、約束の金額より少ない額しか入れなかったりした場合、役所は「不誠実な対応」と判断し、即座に差し押さえを実行する可能性があります。誓約書には通常、「期限までに納付がない場合、直ちに差押処分を受けても異議はない」という文言が含まれています。

遅れそうな時のリカバリ手順

どうしても今月の分納額が用意できない場合は、必ず「納付期限の前」に担当者へ電話をしてください。「忘れていました」や「期限を過ぎてから連絡」では手遅れです。

「今月は子供の入院費がかかり、約束の3万円が用意できません。1万円なら明日入金できます。残りの2万円は来月のボーナス時に上乗せして解消します」といったように、具体的な理由と代替案、そしてリカバリの時期を提示することで、今回だけは見逃してもらえる可能性があります。誠意とは「先んじて連絡すること」だと心得てください。

住宅ローンと公売の関係

持ち家があり、住宅ローンを返済中の場合、固定資産税の滞納はさらに複雑なリスクを招きます。役所による差し押さえが、銀行側のアクションを誘発するからです。

期限の利益喪失のリスク

多くの住宅ローン契約では、「税金の滞納により差し押さえを受けたとき」が「期限の利益喪失事由(一括返済を求められる条件)」として定められています。役所が自宅の土地や建物に「差押」の登記を入れると、その情報は登記簿を通じて銀行(債権者)に知られることになります。

銀行としては、担保物件が公売にかけられてしまうと貸付金の回収ができなくなる恐れがあるため、契約に基づいて住宅ローンの一括返済を請求してくる可能性があります。つまり、数万円〜十数万円の固定資産税を滞納した結果、数千万円の住宅ローン残高を一括で払えと迫られ、結果的に自己破産や家の売却を余儀なくされるという最悪のシナリオも現実にあり得るのです。

役所にとっても、住宅ローン(抵当権)がついている物件は、公売にかけても銀行への配当が優先されるため、実質的に税金の回収に回せる分(剰余金)が少なく、公売のメリットが薄いケースがあります。これを「無益執行の禁止」といいますが、それでも「差押登記」自体はプレッシャーとして行われることが多いです。住宅ローンがある場合は特に、早期の分納相談で登記への記載を回避することが死活問題となります。

まとめ

固定資産税の督促状が届いてから差し押さえまでの期間と対処法について解説しました。法的期限の「10日」を過ぎればいつでも財産を持っていかれるリスクがあり、特に預金や給与は予告なしに狙われます。放置は百害あって一利なしです。まずは家計表を作成し、誠意を持って役所へ分納の相談に行きましょう。

もし、固定資産税以外にもカードローンやクレジットカードの支払いが重なっており、税金を払うと生活費が足りなくなる、あるいは既に借金返済のために税金を滞納しているという状況であれば、家計の根本的な見直しが必要です。税金は原則として免責(借金の帳消し)にはなりませんが、債務整理によって他の借金を減らし、税金の支払原資を確保することは可能です。

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日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

監修者:代表司法書士 計良 宏之

東京都荒川区東日暮里5-17-7 秋山ビル1階

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

借金問題・債務整理に関する情報を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。

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