支払督促の異議申し立てで裁判へ移行した後の呼び出し対応と出頭せず和解する手順
支払督促に異議申し立てをしたら裁判になると聞きました。仕事で平日に裁判所へ行くのは無理ですし、家族にバレるのも怖いです。裁判を回避する方法や、行かずに分割払いで和解する方法はありませんか?
カード会社からの支払督促に対して、同封されていた異議申立書を出そうとしています。しかし、ネットで調べると「異議を出すと通常の裁判(訴訟)に移行する」と書かれていて不安になりました。
裁判になれば、裁判所から呼出状が届いたり、平日の昼間に法廷に出頭しなければならなかったりするのでしょうか。会社を休めないので出頭は難しいですし、自宅に何度も裁判所から通知が届くと家族に怪しまれてしまいます。異議申し立てをした後、具体的にどのような流れで裁判が進むのか、出頭せずに解決する方法はあるのか教えてください。
異議申し立て後の通常訴訟は書類のやり取りが中心であり、第1回期日は答弁書の提出によって出頭せずに乗り切り、その後の話し合いで和解を目指すのが現実的な手順です。
支払督促に対して異議申し立てを行うと、法律の規定により自動的に「通常訴訟」へ移行します。これは避けられない手続きですが、テレビドラマのような激しい法廷論争になることは借金問題の裁判では稀です。実務上は、事前に書類(答弁書)を提出することで、第1回の裁判期日は欠席しても出席したとみなされる「擬制陳述」という制度が利用できます。
多くの場合、債権者側も判決より早期の回収を望むため、裁判所を介した「和解」での解決に応じる傾向があります。あなたは答弁書で具体的な分割払いの希望を伝え、裁判所委員(司法委員)などの仲介を得て、法廷に出向く回数を最小限、あるいはゼロにして和解成立を目指すことが可能です。
この記事では、異議申し立て直後から裁判所より呼出状が届いた後の動き、答弁書に書くべき内容、そして誰にも知られずに和解手続を進めるための具体的な防衛手順を解説します。
この記事でわかること
異議申し立て直後から裁判開始までのタイムラインと通知の変化
支払督促に対して異議申立書を裁判所へ郵送または提出した瞬間から、手続きのレールは「督促手続」から「訴訟手続(裁判)」へと切り替わります。しかし、明日すぐに裁判が始まるわけではありません。まずは事務的な処理と通知の往復から始まります。この期間に何が起きるのか、手元に届く書類の種類と意味を時系列で整理します。
事件番号の変化と管轄裁判所の移送通知
異議申し立てを行うと、それまで扱われていた「支払督促」の事件番号(符号「ロ」)が終了し、新たに「通常訴訟」の事件番号(符号「ハ」または「ワ」)が割り振られます。この切り替えに伴い、数日から数週間以内に裁判所から「通知書」が届きます。
また、支払督促は簡易裁判所の書記官が扱う手続きでしたが、訴訟に移行すると、請求金額によって管轄する裁判所が変わる可能性があります。
- 請求額が140万円以下の場合:債権者の住所地などを管轄する簡易裁判所
- 請求額が140万円を超える場合:地方裁判所
もし元々の支払督促が東京簡易裁判所から出ていたとしても、あなたの住所地や債権者の営業所所在地によっては、別の裁判所へ事件が移送されることがあります。この場合、「移送通知書」や「訴訟手続開始通知書」といった書類が普通郵便などで届きます。この段階ではまだ裁判の日程(期日)は決まっていません。
債権者からの追加書類提出待ち期間
訴訟に移行すると、債権者(原告)は裁判所に対して「訴状」に準ずる書類や証拠書類を追加で提出する必要があります。支払督促の段階では簡易的な申し立てで済みましたが、通常裁判ではより詳細な法的根拠を示す必要があるためです。
この準備に時間がかかる場合があり、異議申し立てをしてから実際に裁判所からの呼び出しがあるまで、1ヶ月程度の間隔が空くことも珍しくありません。この「待ち時間」を放置期間とせず、分割払いの計画を練る時間(家計収支の計算など)に充てることが、後の和解交渉を有利に進める鍵となります。
| 時期 | 異議申立書の提出から約2週間〜1ヶ月後 |
|---|---|
| 届くもの | 「口頭弁論期日呼出状」および「答弁書催告状」 |
| アクション | 指定された期日の確認と、答弁書の作成準備 |
裁判所からの「口頭弁論期日呼出状」が届いた日の初動
訴訟への移行手続きが完了すると、裁判所から「特別送達」という書留郵便で封筒が届きます。これが裁判の開始を告げる正式な合図です。封筒の中には、支払督促の時よりも分厚い書類が入っています。感情的になって放置せず、必ず開封して中身を確認しなければなりません。
同封されている重要書類のリスト確認
封筒の中身は主に以下の3点セットです。これらが揃っているかを確認し、特に日付が記載されている箇所をマーカーで強調してください。
- 口頭弁論期日呼出状
「令和○年○月○日 午前○時○分」に、どこの裁判所の何号法廷に来なさい、という命令書です。この日が「第1回口頭弁論期日」となります。通常、書類が届いてから1ヶ月〜1ヶ月半先の日付が指定されています。 - 訴状(または請求の趣旨及び原因の変更申立書)
債権者があなたに対して「何を(元金・利息・損害金など)」「いくら払え」と言っているかが書かれた書類です。支払督促の請求内容とほぼ同じですが、訴訟形式に書き換えられています。 - 答弁書(雛形)
あなたの言い分を書いて提出するための用紙です。これに記入して返送することで、裁判での反論や希望(分割払いなど)を伝えます。
裁判所によっては、これらに加えて「照会書」や「進行に関する照会書」などのアンケート用紙のようなものが同封されていることもあります。これらは和解の可能性を探るための重要な資料となります。
絶対に無視してはいけない「欠席判決」のリスク
最もやってはいけないことは、呼出状を見て怖くなり、見なかったことにして放置することです。支払督促に異議を申し立てたにもかかわらず、通常訴訟の第1回期日に「出頭せず」、かつ「答弁書も提出しない」という対応をとると、裁判所は債権者の言い分を100%全面的に認めます。
これを「欠席判決」と呼びます。欠席判決が出ると、債権者は即座に強制執行(給料や銀行口座の差し押さえ)の手続きに移ることができます。せっかく異議申し立てをして時間を稼ぎ、話し合いのチャンスを作った意味がすべて消滅してしまいます。「裁判所に行くのは怖い」という気持ちがあっても、書類(答弁書)だけは提出しなければなりません。
裁判所に行かずに第1回期日を乗り切る「擬制陳述」の仕組み
「平日の日中に裁判所へ行くなんて、会社を休まないと無理だ」「借金の裁判だと知られたくないから行きたくない」と考える人は多いです。実は、民事訴訟の第1回期日に限り、法律で認められた特例があります。
答弁書を出せば欠席しても「出席扱い」になる
民事訴訟法では、第1回の口頭弁論期日に被告(あなた)が欠席しても、事前に「答弁書」を提出していれば、その内容を法廷で陳述したものとみなす(擬制陳述)というルールがあります。
つまり、期日までにしっかりと答弁書を書いて裁判所に送っておけば、指定された日時に法廷に行く必要はありません。多くの借金返済訴訟では、被告側は第1回期日に欠席し、擬制陳述で済ませるのが実務上の通例となっています。
ただし、この特例が使えるのは第1回期日のみです。第2回以降の期日が指定された場合、原則としては出頭が必要になります。そのため、第2回期日が開かれる前に、水面下で和解を成立させたり、書面だけで手続きが終わるような進め方を狙うのが賢い戦略となります。
当日の法廷では何が行われているのか
あなたが答弁書を提出して欠席した場合、その時刻の法廷では、裁判官と債権者の代理人(弁護士など)のみが出席します。裁判官が「被告から答弁書が出ていますね」と確認し、債権者が「陳述します」と言って終わりです。所要時間はわずか数分です。
このとき、答弁書に「分割払いを希望する」旨が書かれていれば、裁判官は債権者に対して「被告は分割を希望していますが、和解の余地はありますか?」と問いかけます。ここで債権者が「和解案を検討します」と答えれば、次回以降は判決ではなく和解へ向けた調整に進むことになります。
分割払いを勝ち取る答弁書の書き方と提出期限
裁判所に行かずに不利な判決を避けるためには、答弁書の質が命です。同封されている雛形の空欄をただ埋めるだけでなく、こちらの誠意と支払い能力を具体的にアピールする必要があります。
請求の原因に対する「認否」の書き方
答弁書には必ず「請求の趣旨に対する答弁」と「請求の原因に対する認否」を書く欄があります。借金の事実に間違いがない場合は、以下のように記載します。
- 請求の趣旨に対する答弁:原告の請求を棄却する、との判決を求める。訴訟費用は原告の負担とする。(※これは定型文として必ず書きます。負けることが分かっていても、形式上こう書くことで即時の敗訴を防ぎます)
- 請求の原因に対する認否:請求の原因事実はすべて認める。(※借金をしたこと、返していないことに間違いがなければ正直に認めます)
- 被告の言い分:分割払いの話し合いを希望します。
ここで悪あがきをして「借りていない」などと嘘を書くと、裁判官の心証を悪くし、和解の道が閉ざされるので注意してください。
具体的な返済計画案の提示方法
最も重要なのが「被告の言い分」欄、または別紙として添付する「事情説明書」への具体的な提案です。単に「生活が苦しいので分割にしてください」と書くだけでは不十分です。以下のように数字で示してください。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 毎月の支払可能額 | 金○○,○○○円 |
| 支払開始日 | 令和○年○月○日から |
| 支払期限 | 毎月○日限り |
| 支払期間 | ○回払い(3年〜5年以内が目安) |
| 遅れた場合の条件 | 支払いを2回分怠ったときは、期限の利益を喪失し残額を一括で支払います(懈怠約款) |
特に重要なのは、「なぜその金額なら払えるのか」という根拠です。「現在の月収は手取り○万円で、家賃と生活費を引くと○万円残ります。そこから毎月○万円を返済に充てます」といった簡単な家計収支表を添えることで、裁判官と債権者に「この被告は真面目に返そうとしている」と思わせることができます。
提出期限はいつまでか
呼出状には「答弁書提出期限」が記載されています(通常は第1回期日の1週間前など)。しかし、実務上は第1回期日の直前までに裁判所に到着していれば、擬制陳述として扱ってもらえることがほとんどです。ただし、ギリギリになると裁判官が事前に目を通す時間がなくなり、和解の調整が遅れる可能性があります。可能な限り指定された期限を守り、遅くとも期日の3日前には必着するように送付してください。FAXでの提出も認められている場合が多いので、期限が迫っている場合は担当の書記官へ電話で確認しましょう。
出頭なしで決着する「和解に代わる決定」の手順
答弁書で分割払いの意思を示し、債権者がこれに応じる姿勢を見せれば、裁判所に行かずに手続きを終わらせる方法がいくつかあります。ここでは、最も負担の少ない解決ルートを紹介します。
電話会議や書面による和解手続き
簡易裁判所の訴訟では、和解の内容がお互いに合意できていれば、被告が出頭しなくても「和解に代わる決定(民事訴訟法275条の2)」という制度を利用できます。
- 答弁書を受け取った債権者(または裁判所の司法委員)から、被告(あなた)に電話連絡が入る。
- 電話で具体的な毎月の返済額や開始時期をすり合わせる。
- 合意内容をまとめた「和解条項案」が裁判所から送られてくる。
- 内容に間違いがなければ、署名押印した「受諾書」や「上申書」を裁判所に返送する。
- 裁判所がそれに基づいて「和解に代わる決定」という書面を出し、事件は終了する。
この流れであれば、あなたは一度も裁判所の敷地に入ることなく、自宅での書類作業と電話だけで裁判を終わらせることができます。決定書は判決と同じ効力を持ちますが、内容はあなたが合意した分割払いプランそのものです。
司法委員の介入による調整
簡易裁判所では、裁判官のほかに「司法委員」という非常勤の職員(弁護士や司法書士など)が間に入って話し合いを進めてくれることがあります。答弁書に「司法委員による和解勧試を希望します」と書いておくと、期日の日に司法委員から電話がかかってきて、債権者との間を取り持ってくれることがあります。
司法委員は中立的な立場で、「今の収入状況では月3万円は厳しいから、2万円で債権者を説得してみましょう」といった柔軟な調整をしてくれることもあります。自分一人でカード会社の担当者と交渉するのが怖い場合は、この制度を積極的に頼るべきです。
裁判中の家族バレ・会社バレを防ぐ郵便対策
異議申し立て後の裁判手続きで最も神経を使うのが、裁判所から届く郵便物です。これらはすべて「特別送達」という、手渡し必須の郵便で届くのが原則ですが、家族にバレたくない場合の対策には限界と工夫が必要です。
特別送達の封筒と不在票
裁判所からの郵便物は、封筒に「○○裁判所」と明記されています。また、不在時にポストに入れられる不在票の依頼主欄にも「○○簡易裁判所」と書かれます。これを見られると、家族に借金や裁判のことが一発でバレてしまいます。
残念ながら、特別送達の宛先を自宅以外(郵便局留めや勤務先)に指定することは、原則としてできません。自宅に届くことを前提に、以下の対策をとる必要があります。
- 追跡番号の管理はできない:裁判所からの発送タイミングは事前に分からないため、書留のように追跡して待ち構えることは困難です。
- 休日指定や夜間指定の活用:最初の呼出状を受け取った後、裁判所の担当書記官に電話をして「家族に内緒にしているので、次回からの書類は○曜日の夜間に指定して送ってほしい」と相談することは可能です。ただし、必ず対応してくれるとは限りません。
- 送達場所の変更届け:もし勤務先で受け取るほうが安全なら、「送達場所の届出」を出して勤務先送付に変えることも法律上は可能です。しかし、これは職場の誰かに封筒を見られるリスク(会社バレ)と表裏一体です。
弁護士や司法書士に依頼して送付先を変える
最も確実な防衛策は、弁護士や司法書士に「訴訟代理人」になってもらうことです。専門家に依頼すると、その時点で「受任通知」が出され、裁判所への届出が行われます。以降、裁判所からの書類はすべて代理人の事務所に届くようになり、自宅への送付は一切なくなります。
また、答弁書の作成、期日への出頭(簡易裁判所なら司法書士も可、地方裁判所なら弁護士のみ)、和解交渉のすべてを代行してくれるため、あなたは裁判所と直接関わる必要がなくなります。「家族に絶対にバレたくない」「仕事が忙しくて書類作成や電話対応ができない」という場合は、このルートを選ぶのが安全です。
まとめ
支払督促への異議申し立て後に始まる通常訴訟は、恐ろしい尋問の場ではなく、書類と調整による解決の場です。答弁書を期限内にしっかり提出し、現実的な分割案を提示すれば、裁判所に出頭せずとも和解できる可能性は十分にあります。
しかし、書類の書き方ひとつで相手の態度が硬化したり、手続きのミスで家族にバレてしまったりするリスクは残ります。自力での対応に限界を感じたり、絶対に失敗できない事情があったりする場合は、早めに専門家の手を借りることを検討してください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。


