裁判所からの通知を無視しても逮捕されない?警察が来る例外ケースと差押え回避の確認手順
裁判所から封筒が届いたが中身を見るのが怖い
借金の支払いを滞納していたら、裁判所から特別送達という封筒が届きました。怖くて開封できず、このまま見なかったことにして無視しようか迷っています。
裁判所からの呼び出しを無視し続けると、警察が家に来て逮捕されてしまうのでしょうか?借金を払えないだけで刑務所に入ることになるのか、最悪の事態について教えてください。
逮捕はないが財産開示手続の無視だけは刑事罰の対象
借金の滞納は民事事件であり、裁判所の通知を無視しても警察に逮捕されることは原則としてありません。しかし、唯一の例外として「財産開示手続」の呼び出しを正当な理由なく無視した場合のみ、法改正により刑事罰(懲役または罰金)の対象となりました。
また、逮捕されなくても、その他の通知(支払督促や訴状)を放置すれば、相手方の言い分が全面的に認められ、給料や銀行口座の「差押え」が強制執行されます。警察は来なくても、職場に通知が届いて勤務先に借金が知れ渡るなど、社会生活へのダメージは計り知れません。
この記事では、届いた封筒が「逮捕リスクのある通知」かどうかを見分ける方法と、種類別の正しい対処手順、最悪の事態を回避するための具体的な動き方を解説します。
この記事でわかること
借金で警察は来ないが例外が1つある
「借金を返さないと警察に捕まる」というイメージを持っている方が多いですが、日本の法律では「民事不介入」という原則があります。借金の滞納は個人間の金銭トラブル(民事事件)であり、犯罪(刑事事件)ではないため、警察が介入することはありません。
どれだけ督促状を無視しても、電話に出なくても、それだけで詐欺罪になったり、手錠をかけられたりすることはないのが基本です。しかし、法律の改正により、たった一つだけ「裁判所の特定の手続き」を無視した場合に限り、刑事罰が科されるケースが生まれました。
逮捕のリスクがある「財産開示手続」とは
唯一の例外となるのが、「財産開示手続」という手続きです。これは、債権者(貸した側)が裁判所に申し立てを行い、債務者(借りた側)を裁判所に呼び出して、「どのような財産を持っているか」を陳述させる制度です。
以前はこの手続きを無視しても、「30万円以下の過料」という行政処分(前科がつかない罰金のようなもの)で済んでいました。そのため、逃げ得が横行していましたが、2020年の法改正により罰則が厳格化されました。
現在では、財産開示手続の期日呼出状を無視して出頭しなかったり、嘘の陳述をしたりすると、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰が科されます。これは前科がつく犯罪行為として扱われるため、書類送検や逮捕の可能性が出てくるのです。
警察が来るケースと来ないケースの違い
状況を整理すると、以下のようになります。大半の通知は「警察は来ない」に含まれますが、中身を確認しないことには安心できません。
| 状況 | 警察・逮捕のリスク | 備考 |
|---|---|---|
| 一般的な督促 | なし | カード会社や消費者金融からの督促状、電話、訪問。民事のため警察は動かない。 |
| 支払督促 | なし | 裁判所からの通知だが、無視しても逮捕はされない。ただし財産差押えのリスク大。 |
| 訴状(裁判) | なし | 無視すると敗訴判決が出るが、逮捕はされない。財産差押えにつながる。 |
| 財産開示手続 | あり | 正当な理由なく欠席すると陳述等拒絶の罪に問われる。 |
| 詐欺罪の疑い | あり | 最初から返す気がなく騙し取ったと警察が判断した場合(極めて稀)。 |
「返済する意思はあったが、経済状況が悪化して払えなくなった」という通常の滞納であれば、詐欺罪にはなりません。したがって、警戒すべきは「財産開示手続」の通知が届いているかどうかです。
届いた封筒から逮捕リスクを見分ける手順
手元にある裁判所からの封筒が、「無視すると逮捕されるもの」なのか、それとも「無視すると財産を取られるもの」なのかを見分ける手順を解説します。どちらにせよ放置は危険ですが、まずは刑事罰の恐怖を取り除くために確認しましょう。
手順1:封筒の表書きと種類を確認する
裁判所からの重要書類は、原則として「特別送達」という特殊な郵便で届きます。郵便局員から手渡しで受け取り、署名や押印をしたはずです。封筒の表書きや、差出人の裁判所名を確認してください。
- 特別送達:中身は訴状、支払督促、呼出状などの重要書類。必ず中身を見る必要があります。
- 普通郵便:裁判所からの通知でも、手続きの連絡事項など緊急度が低いものの可能性がありますが、油断は禁物です。
手順2:中身の書類タイトル(事件名)を見る
勇気を出して封筒を開封し、一番上にある書類のタイトルや、「事件名」と書かれた部分を探してください。ここに何と書かれているかで、逮捕リスクの有無が判別できます。
| 書類の記載 | 逮捕リスク | 緊急度と対応 |
|---|---|---|
| 財産開示期日呼出状 財産開示手続開始決定 |
最大 | 無視厳禁。欠席すると刑事罰の対象。期日に出頭するか、直ちに代理人を入れて対応が必要。 |
| 支払督促 | なし | 2週間以内に異議申立てが必要。放置するとすぐ差押えへ移行。 |
| 訴状 第1回口頭弁論期日呼出状 |
なし | 期日までに答弁書が必要。放置すると欠席裁判で敗訴決定。 |
| 債権差押命令 給料・口座の差押え |
なし | 既に差押えが決定した通知。勤務先や銀行には連絡済み。事後対応のみ。 |
手順3:事件番号を確認する
書類の右上などに「令和○年(○)第○○号」といった番号が記載されています。この括弧の中のカタカナや漢字(事件符号と言います)でも種類が分かります。
- (ロ):督促手続。支払督促のことです。逮捕されませんが、差押えまでが非常に早いです。
- (ワ):通常訴訟。いわゆる裁判です。逮捕されませんが、無視すると確実に負けます。
- (財):財産開示手続。これがあったら要注意です。無視すると刑事罰のリスクがあります。
もし、手元の書類に「財」という文字や「財産開示」という言葉があれば、絶対に無視してはいけません。体調不良などでどうしても行けない場合は、事前に裁判所へ連絡し、期日変更を申し出るなどの正当な手続きが必要です。
無視した場合に起きる「差押え」の現実
逮捕のリスクがあるのは「財産開示手続」だけですが、それ以外の通知(支払督促や訴状)であっても、無視することは「人生を詰ませる」リスクを伴います。なぜなら、民事訴訟法において「無視(沈黙)は相手の言い分をすべて認めたこと」とみなされるからです。
給料の差押えで職場に居場所がなくなる
裁判所の通知を無視して判決(または仮執行宣言)が出ると、債権者はいつでも「強制執行」を申し立てることができます。最も狙われやすいのが給与の差押えです。
給与差押えが行われると、裁判所からあなたの勤務先(社長や経理担当)へ直接、「債権差押命令書」が届きます。これによって以下の事態が発生します。
- 会社に借金トラブルを知られ、信用を失う。
- 毎月の給料から、手取りの4分の1(生活に必要な一定額を除く)が強制的に引かれ、債権者へ支払われる。
- これが完済するまで毎月続く。
- 職場によっては退職を促されるような空気になる(法的には解雇事由になりませんが、事実上の居心地悪化は避けられません)。
逮捕されなくても、社会的な信用や収入源を失うという意味では、逮捕に近いダメージを受ける可能性があります。
銀行口座の凍結(差押え)
給料と並んで狙われやすいのが銀行口座です。差押えの通知が銀行に届いた時点で、その瞬間に口座にある残高が借金返済に充てられ、引き落とされてしまいます。
給料日の直後に実行されると、家賃や光熱費の引き落としができなくなり、生活費がゼロになる恐れがあります。口座自体が使えなくなる(凍結)わけではありませんが、入金してもすぐに持っていかれるリスクがあるため、実質的にその口座は使えなくなります。
通知の種類別・無視した後のタイムライン
裁判所から届いた書類の種類によって、無視してから強制執行(差押え)までの残り時間は異なります。「まだ大丈夫だろう」という自己判断は危険です。
1. 支払督促の場合(残り時間:少)
支払督促は、裁判所での審理を行わずに書類審査だけで出される命令です。スピード重視の手続きであるため、猶予期間は非常に短いです。
- 受取日:ここからカウントダウン開始。
- 2週間後:異議申立て期間が終了。
- 30日以内:債権者が「仮執行宣言」を申し立てる。
- 仮執行宣言付支払督促の送達:再度、裁判所から通知が届く。これを無視して2週間経つと確定。
- 強制執行:いつでも差押えが可能になる。
最初の通知を受け取ってから最短で1ヶ月程度で、給料や口座が差し押さえられる状態になります。異議申立て(分割払いの希望など)をするなら、最初の2週間が勝負です。
2. 訴状の場合(残り時間:中)
通常の裁判の呼び出しです。「口頭弁論期日呼出状」という紙が入っており、指定された日に裁判所へ行くよう書かれています。
- 受取日:第1回期日の日時を確認。
- 答弁書の提出期限:期日の1週間前〜数日前まで。
- 第1回口頭弁論期日:無視して欠席すると、その日で審理終了(結審)。
- 判決言い渡し:債権者の全面勝訴(一括払い命令)。
- 判決確定:判決書が届いてから2週間で確定。
- 強制執行:差押えが可能になる。
訴状を無視すると「欠席裁判」となり、100%負けます。分割払いの交渉余地もなくなり、一括請求が確定してしまいます。答弁書さえ出せば、裁判は続きますし、その中で和解(分割払い)の話し合いも可能です。
3. 執行文・差押命令の場合(残り時間:ゼロ)
これらが届いた場合、残念ながらもう手遅れです。既に裁判手続きは終わっており、「これから差し押さえます」または「差し押さえました」という事後報告に近い通知です。
この段階で無視を続けても、給料や口座から回収されるだけです。唯一の対抗策は、債務整理(自己破産や個人再生)を急いで申し立てて、強制執行を停止・取消しさせることですが、一刻を争います。
今日中にリスクを回避する初動ステップ
裁判所の封筒を開けてしまった、あるいは無視していたことに気づいた今、逮捕や差押えを回避するために取るべき行動は以下の通りです。
ステップ1:裁判所に電話して状況を聞く
書類が手元にあるなら、記載されている担当部署(書記官室など)へ電話をかけてください。裁判所の職員は中立的な公務員であり、借金の取立て屋のように怒鳴ったりすることはありません。
- 伝えること:「事件番号(令和○年(ロ)第○号など)」と「自分の氏名」。
- 聞くこと:「書類の内容がよく分からないのですが、いつまでに何をすればいいですか?」「まだ手続きは間に合いますか?」
ここで「答弁書の期限は○日です」や「もう判決が出ています」といった正確な現状を把握します。財産開示手続であれば、期日の変更や出頭方法について必ず相談してください。
ステップ2:専門家に「書類」を見せる
裁判所の手続きは複雑で、自分で「答弁書」や「異議申立書」を書くのは困難です。特に、「分割払いにしたい」「給料差押えを止めたい」という希望がある場合、書き方を間違えると認められないリスクがあります。
弁護士や司法書士の無料相談を利用し、届いた封筒の中身をすべて見せてください。「これを無視するとあと何日でどうなるか」「どう返信すれば時間を稼げるか」「逮捕リスクはあるか」を正確に判断してくれます。
ステップ3:債務整理で強制執行を止める
自力で返済できない金額だから滞納している場合、裁判所の手続き内で「分割払い」が決まっても、結局払えなくなる可能性が高いでしょう。その場合、根本的な解決策として債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)を検討すべきです。
特に、個人再生や自己破産の申し立てを行うと、法律の効力によって「給料の差押えを停止または中止」させることができます。裁判所からの通知が来ている段階は、まさにギリギリの最終防衛ラインです。
よくある誤解とトラブルQ&A
裁判所からの通知に関して、インターネット上には誤った情報も流れています。逮捕や差押えに関するよくある疑問を解消しておきましょう。
Q. 郵便を受け取らなければ通知されていないことになりますか?
いいえ、なりません。居留守を使って特別送達を受け取らなかった場合、「付郵便送達」や「公示送達」という手続きが取られます。
これは「相手が受け取らなくても、裁判所の掲示板に貼るなど所定の手続きをすれば、届いたものとみなす」という強力な制度です。つまり、「知らない間に裁判が終わり、知らない間に判決が出て、ある日突然給料が差し押さえられる」という最悪の展開になります。受け取らないことが一番のリスクです。
Q. 家族が勝手に受け取って隠していたらどうなりますか?
同居の家族が受け取った時点で、法的には「送達完了(あなたに届いた)」とみなされます。あなたが実際に中身を見ていなくても、期間のカウントダウンは進みます。
家族が隠していて期限を過ぎてしまった場合、それを理由にやり直しを求めることは非常に困難です。差押えが来てから「知らなかった」と主張しても通りません。
Q. 警察が家に来て家財道具を持っていくことはありますか?
警察ではなく、裁判所の「執行官」という人が来る「動産執行」という手続きはあります。家に鍵がかかっていても、解錠技術者を使って強制的にドアを開け、部屋の中に入って換金価値のある物を差し押さえる権限を持っています。
ただし、これは民事手続きであり、逮捕はされません。また、生活に必要な家具家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、ベッドなど)は差押禁止財産とされており、実際に持っていかれる物は限定的です。しかし、「知らない人が土足で部屋に入ってくる」という精神的恐怖は非常に大きいです。
まとめ
借金の滞納で裁判所から通知が来ても、即座に逮捕されることはありません。しかし、「財産開示手続」の無視だけは刑事罰の対象となるため、届いた書類のタイトルと事件番号の確認は必須です。また、それ以外の通知も無視すれば給料や口座の差押えに直結し、社会的信用を失うことになります。
裁判所の手続きが進んでいる場合、個人の力だけで流れを止めるのは困難です。特に「答弁書」や「異議申立書」の期限が迫っている場合、1日の遅れが命取りになります。書類が届いた時点で、事態は緊急フェーズに入っています。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。


