給料差し押さえで手取りはいくら減る?明細書から残る生活費を計算する手順

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給料の差し押さえで生活費がいくら残るか不安です

借金の返済を滞納しており、裁判所からの通知を放置していたところ、給料の差し押さえ(強制執行)を示唆する書類が届きました。実際に給料が差し押さえられると、私の手取り額はいくら減ってしまうのでしょうか。

家族を養っているため、生活費が足りなくなることを一番恐れています。給与明細のどの金額を基準に計算されるのか、ボーナスも対象になるのか、具体的な計算方法を教えてください。

原則は手取り額の4分の1がカットされますが例外もあります

給料差し押さえには法律で定められた計算ルールがあり、基本的には税金や社会保険料を引いた「手取り額」の4分の1が徴収され、残りの4分の3が支給されます。しかし、手取り額が高額な場合や、逆に生活が困窮する場合は異なる計算式が適用されることがあります。

会社からの天引き項目すべてが「手取り」の計算から除外されるわけではありません。お手元の給与明細を確認しながら、実際に振り込まれる金額がいくらになるか、正しい手順でシミュレーションすることが生活を守る第一歩です。

この記事では、給料差し押さえにおける正確な「手取り」の出し方と、ケース別の計算シミュレーション、生活費が不足する場合の対処法について解説します。

この記事でわかること

差押え計算に使う「手取り額」の出し方

「給料の4分の1が持っていかれる」と聞いたことがあるかもしれませんが、この計算の基礎となる金額を間違えているケースが非常に多く見られます。額面の総支給額に対して計算するわけでもなければ、普段銀行に振り込まれている金額がそのまま基準になるわけでもありません。

正確な計算をするために、まずは直近の給与明細を用意し、差押え計算上の「手取り額」を算出しましょう。

計算式は「総支給額 - 法定控除」

法律(民事執行法)において、差押えの計算基礎となる金額は、給与の総支給額から「法定控除」を差し引いた残額と定義されています。これを便宜上「手取り額」と呼びますが、会社独自の天引き項目はここに含まれません。

  • 総支給額:基本給、残業代、各種手当(通勤手当、住宅手当、家族手当など含む)の合計
  • 法定控除(引いてよいもの):所得税、住民税、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険、介護保険)

つまり、これ以外の項目(社宅費、組合費、財形貯蓄、社内貸付の返済、積立金、生命保険料団体扱いなど)は差し引くことができません。

手取り額の計算例

例えば、額面給与が30万円で、普段の振込額が20万円の人でも、差押え計算上の手取り額はもっと高くなる可能性があります。以下の例で確認してみましょう。

項目 金額 計算上の扱い
額面給与 300,000円 プラス
所得税・住民税 20,000円 マイナス(法定控除)
社会保険料 45,000円 マイナス(法定控除)
財形貯蓄 15,000円 マイナスできない
親睦会費 1,000円 マイナスできない
差引支給額(振込) 219,000円 この金額は使いません

このケースでは、法定控除(税・社保)の合計65,000円のみを引きます。
300,000円 - 65,000円 = 235,000円
この「235,000円」が、差押え金額を計算するための基準額となります。

いくら引かれる?2つの計算ルール

基準となる手取り額が算出できたら、実際に債権者(お金を貸している側)に支払われる金額と、あなたに支給される金額を計算します。ここには「44万円」という重要な分岐点が存在します。

パターンA:手取り額が44万円以下の場合

ほとんどの会社員・公務員・アルバイトの方はこちらに該当します。民事執行法により、給料(手取り額)の4分の3に相当する部分は「差押禁止債権」として守られます。

  • 差押えされる金額:手取り額 × 4分の1
  • 手元に残る金額:手取り額 × 4分の3

このルールは、最低限の生活を維持するために設けられています。もし手取りが24万円なら、6万円が差し押さえられ、18万円が手元に残ります。

パターンB:手取り額が44万円を超える場合(33万円ルール)

高額所得者の場合、計算式が変わります。法律では「標準的な世帯の必要生計費」を勘案し、手元に残せるお金の上限を「33万円」と定めています(※政令により改正される場合がありますが、現行の実務ではこの基準が一般的です)。

つまり、いくら稼いでいても手元に残せるのは一律で33万円までとなり、それを超えた分はすべて差し押さえの対象になります。

  • 差押えされる金額:手取り額 - 33万円
  • 手元に残る金額:33万円

例えば、手取りが50万円ある場合、4分の1(12.5万円)ではなく、33万円を引いた「17万円」が全額差し押さえられてしまいます。

【早見表】給与額別の差押え金額一覧

計算式が分かったところで、具体的な金額を見てみましょう。あなたの状況に近い金額を探し、来月以降の生活費が確保できるか確認してください。

※あくまで法定控除を引いた後の「計算上の手取り額」を基準にしています。

給与(月収)の差押えシミュレーション

手取り額 差押え金額
(債権者へ)
手元に残る金額
(あなたへ)
16万円 40,000円 120,000円
20万円 50,000円 150,000円
24万円 60,000円 180,000円
28万円 70,000円 210,000円
32万円 80,000円 240,000円
36万円 90,000円 270,000円
40万円 100,000円 300,000円
44万円 110,000円 330,000円
50万円 170,000円 330,000円
60万円 270,000円 330,000円

表を見ると分かる通り、手取り44万円までは一定比率で減りますが、それを超えると昇給や残業で増えた分がすべて没収される形になります。生活レベルが高い場合は、この上限規定が大きな打撃となるでしょう。

ボーナスや退職金の計算はどうなる?

給料の差し押さえ効力は、毎月の給与だけでなく、ボーナス(賞与)や退職金にも及びます。これらの臨時収入についても計算ルールは同じです。

ボーナス(賞与)の場合

ボーナスも給与と同様に扱われます。税金や社会保険料を引いた「手取り額」を算出し、その4分の1が差し押さえられます。
ボーナスの手取りが44万円を超えるケースは多いため、先ほどの「33万円ルール」が適用されやすく、予想以上に手元に残らないという事態が頻発します。

例:ボーナス手取り60万円の場合
× 4分の1(15万円)が引かれる
○ 33万円を残した全額(27万円)が引かれる

退職金の場合

退職金も差押えの対象ですが、その性質上、計算割合が異なります。退職金は「手取り額の4分の1」までが差押え可能とされており、残りの4分の3は守られます。
月給やボーナスのような「33万円上限ルール」は退職金には適用されません。したがって、退職金が多額であっても、原則として4分の3は確保できることになります。

ただし、退職金が銀行口座に振り込まれた後に「預金」として差し押さえられた場合は、全額持っていかれる可能性があるため注意が必要です(給料としての保護がなくなり、単なる預金債権となるため)。

通勤手当や社宅費などの天引きの扱い

実際の給与計算実務では、会社独自のルールや手当の扱いによって、手元に残る現金がさらに少なくなることがあります。特に注意すべき項目を解説します。

通勤手当は没収されるのか

多くの企業では、通勤手当を含めた総支給額から税金等を引いて「差押え基礎額」を算出します。通勤手当は本来「実費」であるため、これが差し押さえ対象に含まれると、通勤のための交通費すら捻出できなくなる恐れがあります。

法的には議論の余地がありますが、実務上は通勤手当込みで4分の1が計算され、引かれてしまうケースが一般的です。計算後の支給額から定期代を払うと、生活費がさらに圧迫されることになります。

社宅費や財形貯蓄の天引き

前述の通り、社宅費や財形貯蓄は「法定控除」ではないため、差押え計算の前段階では差し引かれません。しかし、会社の経理処理としては、差押え分を債権者に支払った後の「残りの給与」から、これらの社内天引きを行うことになります。

【危険なパターン】
差押え後の支給額が少なくなりすぎて、社宅費や組合費などを天引きしきれなくなる場合があります。この場合、会社に対して不足分を別途現金で支払うよう求められるなど、職場での居心地が極めて悪くなるリスクがあります。

生活できない場合の変更申立て手順

ここまで計算して、「これでは家賃も払えない」「家族全員で生活していけない」という結論になった場合、黙って耐える必要はありません。裁判所に対して「差押禁止債権の範囲変更申立て」を行うことで、手取りを増やせる可能性があります。

差押禁止債権の範囲変更申立てとは

個別の事情により、法定の計算ルール(手取りの4分の3)では生活が維持できないことを裁判所に訴え、差押え金額を減額(または中止)してもらう手続きです。

認められる可能性がある事情には以下のようなものがあります。

  • 家族が多く、標準的な生活費よりも多くのお金がかかる
  • 本人や家族に病気があり、継続的に高額な医療費が必要である
  • シングルマザー・ファザー等で収入源が限られている
  • 給与以外の資産が全くない

申立てのハードルと現実

この申立てを行うには、家計簿や領収書、診断書などの疎明資料を提出し、裁判官を説得する必要があります。単に「生活が苦しい」「借金が多い」という理由だけでは認められにくいのが現実です。

また、申立てが認められるまでの間も差押えは止まりません。決定が出るまでに数週間〜1ヶ月程度かかるため、その間の生活資金をどうするかが課題となります。あくまで一時的な緩和措置であり、借金そのものが無くなるわけではない点に注意が必要です。

まとめ

給料の差し押さえは、手取り額の4分の1(または33万円を超える全額)が強制的に奪われる非常に厳しい措置です。ボーナスも対象となり、通勤手当や社宅費の扱いによっては、手元に残る現金が想定以上に少なくなってしまいます。

計算の結果、生活の維持が困難だと分かった場合は、差押えの範囲変更を申し立てるか、あるいは「自己破産」や「個人再生」などの抜本的な債務整理によって、差押えそのものを停止・失効させる手続きを急ぐ必要があります。給料が満額受け取れない状態が続けば、生活再建は日に日に難しくなります。

債務整理に強いおすすめ事務所ランキングの事務所では、給与差し押さえの停止や生活費を守るための相談もできるので、ご自身の状況に合った次の一歩を検討してみてください。

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日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士 計良宏之

日本リーガル司法書士事務所

監修者:代表司法書士 計良 宏之

東京都荒川区東日暮里5-17-7 秋山ビル1階

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

借金問題・債務整理に関する情報を、できるだけわかりやすく整理してお伝えしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。状況により最適な対応は変わるため、不安が強い場合は早めに専門家へ相談してください。

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