和解案(わかいあん)について詳しく解説

和解案とは、債務整理や過払い金請求の手続きにおいて、債権者と債務者の間で合意される解決策のことです。裁判所を通さず当事者間で話し合いを行い、返済条件や金額について互いに納得できる内容を定めます。

債務整理では和解案が重要な役割を果たし、これにより無理のない返済計画を立てることが可能になります。ここでは和解案について詳しく解説します。

和解案の基本的な意味

和解案とは、債務者と債権者(貸金業者やクレジットカード会社など)が話し合いによって合意する債務の返済に関する提案文書です。債務整理の中でも特に任意整理において重要な役割を果たします。

通常、債務者側の代理人(弁護士や司法書士)が債権者に対して提案し、互いの利益を考慮した上で合意に至ります。和解案が成立すると法的な拘束力を持つ契約となります。

和解案の法的性質 和解案は民法上の「和解契約」に該当し、成立すると当事者を法的に拘束します。正式な契約書として機能するため、双方が内容をしっかり確認することが重要です。
和解案の当事者
  • 債務者(お金を借りている側)
  • 債権者(お金を貸している側)
  • 代理人(債務者側の弁護士・司法書士)

和解案は当事者間の交渉によって作成されるため、内容は個々の事案によって異なります。債務者の返済能力や債権者の方針によって柔軟に調整されるのが特徴です。

和解案が作成される流れ

和解案は債務整理、特に任意整理の過程で作成されます。具体的な流れは以下のようになります。

  1. 債務者が弁護士や司法書士などの専門家に相談
  2. 債務状況の確認と分析(借入先・金額・期間などの調査)
  3. 代理人が債権者に受任通知を送付し、取引履歴の開示を請求
  4. 債務者の返済能力を考慮した和解案を作成
  5. 債権者への和解案の提示と交渉
  6. 双方の合意による和解案の成立
  7. 和解契約書の作成と締結
  8. 和解内容に基づく返済の開始

この流れは一般的なものであり、個々の事案によって多少の違いがあります。特に交渉の段階では、当初の和解案から内容が変更されることも少なくありません。

和解案に含まれる主な内容

和解案には以下のような内容が含まれるのが一般的です。各項目は債務者の状況によって調整されます。

  • 債務の元本金額(過払い金があれば控除後の金額)
  • 将来利息のカット(通常は将来利息はゼロになる)
  • 遅延損害金のカット(通常は全額カットされる)
  • 分割返済の回数と各回の支払金額
  • 支払期日と支払方法
  • 期限の利益喪失条項(支払いが滞った場合の対応)
  • 保証人や連帯保証人に対する請求の取り扱い
  • 和解成立後の信用情報機関への登録内容

上記の内容は債務整理の一般的な和解案に含まれる主な項目です。実際の和解案は個々の事情によって内容が異なり、より詳細な条件が記載されることもあります。

元本の減額 任意整理では原則として元本は減額されませんが、特殊な事情がある場合や過払い金が発生している場合は元本が減額されることもあります。
将来利息・遅延損害金 将来発生する利息や遅延損害金については、ほとんどの場合でカット(免除)されます。これにより実質的な債務負担が軽減されます。
分割返済の期間 通常3〜5年(36〜60回)の分割返済となることが多いですが、債務者の返済能力や債権者との交渉によって変動します。

和解案の内容は債務者の経済状況に合わせて作成されるため、無理なく返済できる計画となるよう調整されます。この点が債務整理の大きなメリットの一つです。

和解案のメリット・デメリット

和解案による債務整理には以下のようなメリットとデメリットがあります。自分の状況に合っているかよく検討しましょう。

メリット

  • 裁判所を通さずに手続きができるため比較的迅速に解決できる
  • 将来利息や遅延損害金がカットされ、実質的な負担が軽減される
  • 個人の状況に応じた柔軟な返済計画を立てられる
  • 自己破産よりも社会的な制約が少ない
  • 債権者との関係を完全に断つことなく解決できる

デメリット

  • 原則として元本は減額されない(過払い金がある場合を除く)
  • 信用情報機関に債務整理の事実が登録される(いわゆるブラックリスト登録)
  • 和解成立後も返済を継続する必要がある
  • すべての債権者と合意できるとは限らない
  • 弁護士・司法書士への報酬が必要となる

メリットとデメリットを比較すると、債務の総額が大きくなく、ある程度の返済能力がある場合は和解案による任意整理が適しています。一方、返済能力がほとんどない場合は他の債務整理方法を検討する必要があります。

和解案と債務整理の種類の関係

和解案は主に任意整理で用いられますが、他の債務整理方法とも関連性があります。それぞれの債務整理方法における和解案の位置づけを説明します。

任意整理 和解案が中心的な役割を果たします。債権者との交渉を通じて和解案を作成し、それに基づいて返済を行います。
特定調停 裁判所の調停委員会の仲介により和解案が作成されます。任意整理と似ていますが、裁判所が関与する点が異なります。
個人再生 再生計画案が和解案に相当します。ただし、法的手続きであるため裁判所の認可が必要となります。
自己破産 原則として債務を免除する手続きであるため、和解案は作成されません。

債務整理の方法によって和解案の位置づけや内容は大きく異なります。自分の状況に合った債務整理方法を選択することが重要です。

和解案が成立しない場合の対処法

すべての債権者と和解案で合意できるとは限りません。和解案が成立しない場合の対処法は以下のとおりです。

  1. 和解案の内容を再検討し、債権者にとってより受け入れやすい条件に修正する
  2. 特定調停を利用して裁判所の仲介のもとで和解を試みる
  3. 個人再生や自己破産など、より強力な債務整理方法に移行する
  4. 一部の債権者とのみ和解し、残りの債権者には別の対応をする

和解案が成立しない理由としては、債権者の方針が厳しい場合や、債務者の返済能力に問題がある場合などが考えられます。状況に応じて最適な対応策を検討することが重要です。

和解案に関するよくある質問

和解案に関して債務者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

和解案は自分で作成できますか?

法律の専門知識が必要なため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。自分で作成することは可能ですが、不利な条件で合意してしまうリスクがあります。

和解案の交渉はどのくらいの期間がかかりますか?

債権者の数や対応によって異なりますが、通常は1〜3ヶ月程度かかることが多いです。すべての債権者と同時に交渉するわけではなく、順番に進めていくことが一般的です。

和解後に返済が困難になった場合はどうなりますか?

基本的には和解条件に従って返済する義務がありますが、健康上の問題や失業など予期せぬ事態が発生した場合は、再度交渉して和解条件の変更を求めることも可能です。

信用情報機関への登録はいつ削除されますか?

一般的に和解成立後、返済が完了してから5年程度で信用情報機関からの登録が削除されます。ただし、信用情報機関によって基準が異なる場合があります。

まとめ

和解案は債務整理、特に任意整理において中心的な役割を果たす重要な文書です。債務者と債権者が合意した返済条件を定めるもので、将来利息や遅延損害金のカット、分割返済の条件などが含まれます。

和解案のメリットとしては、裁判所を通さずに比較的迅速に債務問題を解決できる点や、個人の状況に応じた柔軟な返済計画を立てられる点が挙げられます。一方、原則として元本は減額されない点や信用情報機関に債務整理の事実が登録される点などがデメリットとなります。

和解案の作成には法律の専門知識が必要なため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。自分の経済状況に合った内容の和解案を作成し、無理のない返済計画を立てることが債務問題を解決する第一歩となります。

債務問題でお悩みの方は、まずは専門家に相談し、自分の状況に最適な債務整理方法を検討することをおすすめします。和解案による解決が適切かどうかは、債務の総額や返済能力などによって異なります。

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