控訴(こうそ)について詳しく解説

控訴とは、地方裁判所や簡易裁判所で下された判決に不服がある場合に、上級審である高等裁判所や地方裁判所に対して再審理を求める手続きのことです。債務整理や過払い金請求の訴訟で敗訴した場合に、判決内容を争うための重要な法的手段となります。

控訴とは

控訴(こうそ)とは、第一審の判決に不服がある当事者が、上級審の裁判所に対して再審理を求める手続きです。民事訴訟においては、地方裁判所で下された判決に対しては高等裁判所へ、簡易裁判所で下された判決に対しては地方裁判所へ控訴することができます。

控訴は三審制の日本の裁判制度において、第一審と最高裁判所の間に位置する第二審(控訴審)を開始するための手続きで、判決の誤りを正す機会を当事者に与える重要な制度です。

控訴の目的と機能

判決の誤りの是正 第一審の事実認定や法律の適用に誤りがあった場合に、これを是正する機会を提供します
当事者の権利保護 不当な判決によって権利を侵害されることから当事者を守ります
裁判の適正確保 複数の裁判官が審理することで、より適正な判断が期待できます
新たな主張・立証 第一審では十分に行えなかった主張や証拠提出の機会が与えられます

債務整理や過払い金請求の訴訟においては、利息計算の誤りや法律の適用ミスなどが生じることもあり、控訴によってこれらの誤りを正す機会が確保されています。

控訴の対象と期限

控訴の対象

控訴の対象となるのは、原則として第一審の終局判決です。具体的には以下のような判決が対象となります。

  • 地方裁判所の第一審判決
  • 簡易裁判所の第一審判決
  • 訴え却下の判決
  • 請求棄却の判決
  • 一部認容・一部棄却の判決

仮処分や中間判決などの非終局的な決定・命令については、原則として独立した控訴の対象とはなりません。

控訴期間

控訴は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に行わなければなりません。この期間を「控訴期間」といい、法定の不変期間とされています。

期間の計算は、判決書の送達を受けた日の翌日から起算し、最終日が休日の場合は翌営業日までとなります。控訴期間を過ぎると控訴の権利が失われ、判決が確定してしまうため、期限の厳守が非常に重要です。

控訴の流れ

  1. 控訴状の作成(弁護士・司法書士に依頼することが一般的)
  2. 第一審裁判所への控訴状の提出
  3. 控訴手数料の納付(訴額に応じて金額が決まります)
  4. 控訴状の相手方への送達
  5. 控訴審裁判所での事件記録の受理
  6. 控訴審の口頭弁論期日の指定
  7. 控訴理由書の提出
  8. 控訴審での審理(書面審理が中心となることが多い)
  9. 控訴審判決の言渡し

控訴状には、当事者の氏名・住所、第一審判決の表示、控訴の趣旨などを記載します。控訴理由の詳細については、後日「控訴理由書」として提出することができます。

控訴審の特徴

続審制

日本の控訴審は「続審制」を採用しており、第一審の審理を引き継いで審理が行われます。つまり、第一審で提出された証拠や主張も控訴審に引き継がれ、必ずしも最初からやり直すわけではありません。

ただし、新たな証拠や主張を提出することも可能で、第一審で十分に立証できなかった点を補充する機会が与えられます。

不利益変更禁止の原則

控訴審では「不利益変更禁止の原則」があり、控訴した当事者だけが不服を申し立てた場合、その当事者にとって第一審判決よりも不利な判決を出すことはできません。

例えば、債権者のみが控訴した場合、債務者の支払額が第一審判決よりも増加することはありません。ただし、相手方も附帯控訴をした場合には、この原則は適用されません。

書面審理の重視

控訴審では、第一審と比べて書面審理が重視される傾向があります。口頭弁論の回数も少なく、新たな証人尋問などが行われることも比較的少ないため、控訴理由書などの書面での主張が非常に重要になります。

債務整理における控訴の注意点

費用対効果の検討

控訴には手数料や弁護士・司法書士への報酬などの費用がかかります。債務整理や過払い金請求の事案では、控訴によって得られる可能性のある利益と、控訴にかかる費用とを比較検討することが重要です。

判決額が少額である場合など、控訴しても費用倒れになる可能性があるケースでは、専門家と相談して慎重に判断すべきでしょう。

控訴理由の明確化

控訴が認められるためには、第一審判決に誤りがあることを明確に指摘する必要があります。単に「判決に不服がある」というだけでは不十分で、事実認定の誤りや法律適用の誤りなど、具体的な控訴理由を示すことが重要です。

特に過払い金請求では、利息計算の誤りを具体的な数字で示すことが効果的です。

新証拠の準備

控訴審では新たな証拠を提出することが可能です。第一審で十分に立証できなかった点について、新たな証拠を準備することで、より有利な判決を得られる可能性があります。

債務整理の事案では、債務者の経済状況を示す新たな証拠や、過払い金請求では取引履歴の追加資料などが有効となることがあります。

控訴に関するよくある質問

控訴すると第一審判決の効力はどうなりますか?

控訴がなされると、原則として第一審判決の効力は確定せず、執行力も発生しません。つまり、第一審で支払いを命じられても、控訴すれば控訴審の判決が出るまでは支払いを強制されることはありません。

ただし、「仮執行宣言」が付された判決の場合は、控訴中でも強制執行される可能性があります。

控訴審でも負けた場合、さらに上訴できますか?

控訴審の判決に不服がある場合は、さらに最高裁判所へ「上告」することができます。ただし、上告は法律の解釈・適用の誤りなど限られた理由でしか認められず、事実認定の誤りは原則として上告理由にはなりません。

また、「上告受理申立て」という制度もあり、最高裁が重要な法律問題を含むと判断した場合に審理されることもあります。

相手方が控訴した場合、何か対応が必要ですか?

相手方が控訴した場合、被控訴人(控訴された側)として応訴する必要があります。また、第一審判決の一部に不服がある場合は、「附帯控訴」をすることができます。

附帯控訴は、相手方の控訴に対する反論だけでなく、自分にとって有利な判決を求める手段となります。附帯控訴は相手方の控訴が取り下げられると効力を失うという特徴があります。

控訴期間を過ぎてしまった場合、どうなりますか?

控訴期間を過ぎると、原則として控訴することができなくなり、第一審判決が確定します。ただし、不可抗力(天災など)により期間内に控訴できなかった場合は、その障害が消滅してから1週間以内に「控訴の追完」を申し立てることができる場合があります。

控訴期間の管理は非常に重要ですので、判決書を受け取ったら直ちに弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

まとめ

控訴は、第一審判決に不服がある場合に上級審へ再審理を求める重要な法的手続きです。債務整理や過払い金請求の訴訟では、利息計算や法律適用などに関する争いが生じることも多く、控訴によって判決の誤りを正す機会が確保されています。

控訴の手続きは、判決書送達から2週間という厳格な期限内に行う必要があり、期限を過ぎると判決が確定してしまいます。控訴状の作成や手数料の納付など、専門的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士への相談が重要です。

控訴審では続審制が採用され、第一審の審理を引き継ぎながらも新たな証拠や主張を提出することができます。債務整理の事案では、費用対効果の検討や控訴理由の明確化、新証拠の準備などが重要なポイントとなります。控訴を検討する際には、判決内容をよく吟味し、専門家と相談しながら最適な判断をすることをおすすめします。

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