過怠約款(かたいやっかん)について詳しく解説

過怠約款とは、債務者が契約上の義務に違反した場合に、債権者がそれまでの分割払いなどの特約を解除し、残債務を一括で請求できるようにする特約のことです。

一般的に、ローン契約や分割払い契約に含まれており、「期限の利益喪失条項」とも呼ばれます。債務整理の場面では、この約款に基づいて一括請求を受けることがよくあります。

過怠約款とは

過怠約款とは、債務者が契約上の義務に違反した場合に、それまで認められていた分割払いなどの特約(期限の利益)を喪失させ、債権者が残債務全額を一括で請求できるようにする契約条項のことです。「期限の利益喪失条項」とも呼ばれています。

ローン契約や分割払い契約において、債務者は通常、分割して返済する「期限の利益」を与えられていますが、過怠約款はその利益を失わせる条件を定めるものです。期限の利益を失うと、残りの債務を一括で支払わなければならなくなります。

過怠約款の別名 期限の利益喪失条項、期限の利益喪失約款
期限の利益とは 分割払いができるという債務者にとっての利益
過怠約款の目的 債務者の契約違反に対するペナルティと債権保全
主な契約例
  • 住宅ローン契約
  • 自動車ローン契約
  • キャッシング契約
  • クレジットカード契約
  • その他の分割払い契約

上記の表は過怠約款の基本的な概念をまとめたものです。過怠約款は多くの金融契約に含まれており、債権者が債権回収を確実にするための重要な条項となっています。

過怠約款が適用される場面

過怠約款は、債務者が契約上の義務に違反した場合に適用されます。具体的には、以下のような場面で適用されることが一般的です。

  • 支払いの遅延・滞納が発生した場合
  • 虚偽の申告があった場合
  • 担保の価値が著しく減少した場合
  • 他の債務について期限の利益を喪失した場合(クロスデフォルト条項)
  • 債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)を申し立てた場合
  • 死亡、行方不明、差押えなどがあった場合

上記のリストは過怠約款が適用される主な場面をまとめたものです。特に多いのは、支払いの遅延や債務整理の申立てによる適用です。

契約によって詳細は異なりますが、一般的には1〜2回の支払い遅延があると警告が発せられ、2〜3回連続で遅延すると過怠約款が適用されることが多いです。また、債務整理の申立てを行うと、ほぼ自動的に過怠約款が適用され、債権者から一括請求を受けることになります。

過怠約款の具体的な内容

過怠約款の具体的な内容は契約によって異なりますが、一般的には以下のような条項が含まれています。実際の例として、消費者金融の契約書に記載されることが多い過怠約款の内容を見てみましょう。

当然喪失事由
(自動的に適用される)
  • 支払期日に返済を行わなかったとき
  • 破産、民事再生などの申立てをしたとき
  • 差押え、仮差押え仮処分を受けたとき
  • 債権者との関係で諸義務の一部でも履行しなかったとき
請求喪失事由
(債権者の請求に
よって適用される)
  • 住所変更の届出を怠るなど、債権者との連絡が取れなくなったとき
  • 契約時に虚偽の申告をしたことが判明したとき
  • 担保の価値が著しく減少したとき
  • 他の債務について期限の利益を喪失したとき
  • 債権者が債権保全を必要とする相当の事由が生じたと認めたとき

上記の表は過怠約款の一般的な内容を「当然喪失事由」と「請求喪失事由」に分けてまとめたものです。当然喪失事由は、事由が発生した時点で自動的に期限の利益を喪失するものであり、請求喪失事由は、債権者からの請求があって初めて期限の利益を喪失するものです。

また、多くの契約では「クロスデフォルト条項」と呼ばれる条項も含まれており、一つの債務で期限の利益を喪失すると、他の債務でも期限の利益を喪失する連鎖的な効果が生じることがあります。これにより、一つの債務の滞納が他の債務にも波及する可能性があります。

債務整理における過怠約款の影響

債務整理を行う際には、過怠約款によって期限の利益を喪失し、債権者から一括請求を受けることが一般的です。債務整理の種類によって、過怠約款の影響は以下のように異なります。

任意整理
  • 弁護士・司法書士が介入すると、受任通知により過怠約款が適用されることが多い
  • 債権者から一括請求を受けるが、任意整理の交渉で分割返済での和解を目指す
  • 和解が成立すれば、新たな返済条件(通常は分割払い)で返済を続けることができる
個人再生
  • 再生手続開始決定により、過怠約款の効力が一時的に停止される(中止命令・禁止命令)
  • 再生計画認可決定により、債務が再構成され、新たな返済計画に基づいて返済を行う
  • 住宅ローン特則を利用する場合、住宅ローンについては過怠約款が適用されない特例あり
自己破産
  • 破産手続開始決定により、過怠約款の効力が停止される
  • 免責許可決定により、債務自体が免除されるため、過怠約款の影響はなくなる
  • ただし、破産手続中の一時的な措置として、差押えなどを防ぐための中止命令が必要な場合もある

上記の表は債務整理における過怠約款の影響をまとめたものです。債務整理を行う際には、過怠約款に基づく一括請求や差押えなどのリスクを理解し、適切に対応することが重要です。

なお、任意整理の場合は、弁護士・司法書士が介入して受任通知を送付した時点で、多くの債権者は過怠約款を適用して一括請求を行います。しかし、その後の交渉で分割返済での和解を目指すことが一般的です。

過怠約款に基づく請求への対応

過怠約款に基づいて債権者から一括請求を受けた場合、状況に応じた対応が必要となります。以下に、主な状況別の対応方法をまとめました。

支払遅延による場合

    • まずは債権者に連絡し、事情を説明する
    • 可能であれば遅延分を速やかに支払い、今後の返済継続を約束する
    • 分割払いの継続を認めてもらえるよう交渉する
    • 交渉が難しい場合は、専門家(弁護士・司法書士)に相談する

債務整理の申立てによる場合

    • 弁護士・司法書士に依頼して対応する
    • 任意整理の場合は、和解交渉の中で新たな分割返済条件を提案する
    • 個人再生・自己破産の場合は、中止命令や禁止命令で一時的に債権回収を止める

差押えなどを受けた場合

    • 速やかに専門家(弁護士・司法書士)に相談する
    • 差押え解除のための手続きや異議申立ての方法を確認する
    • 債務整理の検討も視野に入れる

上記のリストは過怠約款に基づく請求への対応方法をまとめたものです。いずれの場合も、放置せずに迅速に対応することが重要です。

特に、支払遅延が1〜2回程度であれば、債権者に誠意を示して交渉することで、過怠約款の適用を猶予してもらえる可能性もあります。しかし、滞納が長期化したり、債務整理を申し立てたりすると、過怠約款の適用を回避することは難しくなります。そのような場合は、専門家のサポートを受けながら適切に対応することが大切です。

過怠約款の有効性と制限

過怠約款は一般的に有効な契約条項として認められていますが、すべての場合に無条件で適用されるわけではありません。消費者保護の観点から、以下のような制限や考慮事項があります。

信義則による制限
  • 債務者の落ち度が軽微な場合(少額の遅延や短期の遅延など)に、過怠約款を適用することは信義則に反する可能性
  • 債権者が長期間にわたって督促をせず、突然過怠約款を適用するような場合も信義則違反となりうる
消費者契約法による制限
  • 消費者の利益を一方的に害する不当条項は無効となる可能性
  • 特に、債務者に酷な結果をもたらす過怠約款は、その有効性が制限される場合がある
裁判所の判断
  • 過怠約款の適用が問題となった裁判では、債務者の事情や債権者の対応なども考慮して判断される
  • 形式的に過怠約款の条件を満たしても、実質的な考慮によって適用が否定されることもある

上記の表は過怠約款の有効性に関する制限や考慮事項をまとめたものです。過怠約款が形式的に適用条件を満たしていても、個別の事情によってはその適用が制限される可能性があります。

また、債務整理(特に個人再生や自己破産)においては、法律の規定により過怠約款の効力が制限されます。これは、債務者の再生や生活再建を図るという債務整理制度の趣旨に基づくものです。特に、住宅ローンの個人再生特則では、過怠約款が適用されずに住宅ローンの分割返済を継続できる特例が設けられています。

よくある質問

1回の支払い遅延で過怠約款は適用されますか?

契約内容にもよりますが、一般的には1回の支払い遅延だけで過怠約款が適用されることは少ないとされています。多くの金融機関では、2〜3回連続して遅延した場合や、遅延が1ヶ月以上継続した場合などに過怠約款を適用することが多いです。

ただし、契約によっては1回の遅延でも形式的には過怠約款の適用条件を満たす場合があります。そのような場合でも、軽微な遅延であれば、債権者に連絡して事情を説明し、速やかに支払いを行えば、過怠約款の適用を猶予してもらえる可能性はあります。債権者との良好なコミュニケーションを保つことが重要です。

過怠約款が適用されると、どのような不利益がありますか?

過怠約款が適用されると、以下のような不利益が生じる可能性があります。まず、残債務を一括で支払わなければならなくなります。これは、それまで分割払いで返済していた債務を、一度に全額支払う必要が生じるということです。

また、一括請求に応じられない場合、債権者は法的手続きを取ることがあります。具体的には、裁判所を通じた支払督促や訴訟、さらには給与や預金の差押えなどの強制執行に発展する可能性があります。加えて、信用情報機関に延滞情報が登録され、新たな借入れが難しくなるといった影響も考えられます。一括請求を受けた場合は、放置せずに早めに対応することが重要です。

債務整理をすると必ず過怠約款が適用されますか?

債務整理を行うと、多くの場合は過怠約款が適用され、一括請求を受けることになります。特に、弁護士や司法書士が債権者に受任通知を送付した時点で、多くの債権者は過怠約款を適用します。これは、債務整理の申立てが過怠約款の適用条件として明記されていることが多いためです。

ただし、債務整理の種類によって対応が異なります。任意整理の場合は、一括請求を受けた後に債権者と交渉し、新たな分割返済条件での和解を目指します。個人再生や自己破産の場合は、裁判所の中止命令や禁止命令により、過怠約款に基づく債権回収が一時的に停止されます。債務整理を検討する際には、過怠約款の影響も含めて専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

過怠約款とは、債務者が契約上の義務に違反した場合に、債権者がそれまで認めていた分割払いなどの特約(期限の利益)を解除し、残債務を一括で請求できるようにする契約条項のことです。「期限の利益喪失条項」とも呼ばれ、多くのローン契約やクレジット契約に含まれています。

過怠約款が適用される主な場面としては、支払いの遅延・滞納、虚偽の申告、担保価値の著しい減少、他の債務における期限の利益喪失(クロスデフォルト)、債務整理の申立てなどがあります。特に、債務整理を行う場合には、ほぼ必ず過怠約款が適用され、一括請求を受けることになります。

過怠約款の内容としては、「当然喪失事由」と「請求喪失事由」に分かれており、前者は事由発生と同時に自動的に期限の利益を喪失し、後者は債権者からの請求があって初めて期限の利益を喪失します。一般的には、支払期日の遅延、破産・民事再生の申立て、差押えなどが当然喪失事由とされています。

債務整理との関係では、任意整理の場合は過怠約款が適用されても和解交渉の中で新たな分割返済条件を模索し、個人再生や自己破産の場合は法的手続きによって過怠約款の効力が制限されます。特に、住宅ローンの個人再生特則では、過怠約款が適用されずに住宅ローンの返済を継続できる特例があります。

過怠約款に基づく一括請求を受けた場合は、状況に応じた対応が必要です。支払遅延が原因であれば債権者と交渉し、債務整理が原因であれば専門家のサポートを受けながら適切に対応することが重要です。放置すると、差押えなどの強制執行に発展する可能性があります。

なお、過怠約款は一般的に有効な契約条項として認められていますが、信義則や消費者契約法による制限もあります。債務者の落ち度が軽微な場合や、債権者の対応が不適切な場合には、過怠約款の適用が制限される可能性もあります。債務問題に直面した際は、早めに専門家(弁護士・司法書士)に相談することをおすすめします。

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