自己破産(じこはさん)について詳しく解説
「自己破産」とは、借金の返済が困難になった個人が、裁判所に申立てを行い、法的に借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。民事再生法に基づく制度で、債務者が持つ財産を処分して債権者に配当した後、残りの債務の支払い義務が免除されます。
経済的に行き詰まり、どうしても借金の返済ができなくなった方のための最終的な解決手段として位置づけられています。自己破産によって借金の重荷から解放され、経済的に再スタートを切ることができます。
自己破産の基本的な仕組み
自己破産は、裁判所による法的手続きを通じて、債務者の経済的再生を図る制度です。債務者が持つ財産は原則として換価処分され、債権者に配当されますが、一定の生活必需品は手元に残すことができます。
手続きの最終段階で「免責許可決定」が下りると、それまでの借金の支払い義務が法的に免除され、経済的に再出発できるようになります。ただし、すべての債務が免除されるわけではなく、税金や養育費などは免責の対象外となります。
免責される債務 |
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免責されない債務 |
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上記の表は自己破産において免責される債務と免責されない債務の主な例です。免責されない債務については、自己破産後も支払い義務が継続するため注意が必要です。
自己破産のメリット
自己破産には、経済的に苦しい状況から抜け出すためのいくつかの重要なメリットがあります。
- 免責許可決定により、ほとんどの借金の支払い義務がなくなる
- 債権者からの取立てがすぐに止まる(破産手続き開始決定と同時に)
- 給料や財産の差押えが解除される
- 99%以上の方が免責許可を受けられている
- 生活必需品は手元に残すことができる
上記のリストは自己破産の主なメリットです。特に借金の返済に追われ、日常生活にも支障が出ている方にとって、精神的な解放感は大きなメリットとなります。
自己破産後は借金の重荷から解放され、新たな気持ちで生活を再建することができます。また、手続き開始後は債権者からの取立てが止まるため、精神的なストレスも軽減されます。
自己破産のデメリット
自己破産にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。手続きを検討する際には、これらのデメリットもしっかりと理解しておく必要があります。
主なデメリット | 詳細説明 |
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財産の処分 | 価値のある財産(不動産、高額な預金、生命保険の解約返戻金など)は処分されて債権者への配当に充てられます。 |
信用情報機関に記録 | 自己破産の情報は信用情報機関に5〜10年程度記録され、この間はローンやクレジットカードの審査に通りにくくなります。 |
資格制限 | 一定期間(多くは7年程度)、弁護士や司法書士など特定の職業に就けなくなります。 |
官報に掲載 | 破産手続きの事実は官報に掲載されます(ただし、一般の人が目にする機会は非常に少ないです)。 |
上記の表は自己破産の主なデメリットとその詳細を示しています。特に資産を多く持つ方や、特定の職業に就いている方は、これらのデメリットを十分に考慮する必要があります。
ただし、これらのデメリットは一時的なものがほとんどで、時間の経過とともに解消されていきます。将来的な生活再建のためには、一時的なデメリットを受け入れる価値があるケースも多いです。
自己破産の手続きの流れ
自己破産の手続きは複数のステップに分かれており、通常は専門家(弁護士や司法書士)のサポートを受けながら進めていきます。
- 専門家への相談・依頼:まずは弁護士や司法書士に相談し、自己破産が適切な選択かどうかを判断します。
- 必要書類の収集:住民票、戸籍謄本、債権者一覧、収入証明書、財産目録などの書類を準備します。
- 裁判所への申立て:専門家が裁判所に破産および免責の申立てを行います。
- 破産手続開始決定:裁判所が破産手続開始を決定すると、債権者からの取立てが停止します。
- 債権者集会:債権者が集まり、債務者の財産や破産原因などについて確認します。
- 財産の換価・配当:債務者の財産は換価され、債権者に配当されます。
- 免責審尋:裁判官との面談で、破産に至った経緯などを説明します。
- 免責許可決定:問題がなければ免責が許可され、債務の支払い義務が免除されます。
上記のリストは自己破産手続きの一般的な流れです。手続きの期間は、ケースにより異なりますが、申立てから免責許可決定まで通常6ヶ月〜1年程度かかります。
専門家に依頼する場合の費用は、弁護士で約20〜50万円、司法書士で約15〜30万円程度が一般的です。ただし、法テラスの法律扶助制度を利用すれば、分割払いや減額が可能な場合もあります。
自己破産に関するよくある質問
よくある質問:自己破産すると家族に影響はありますか?
基本的に、自己破産は本人のみに影響し、家族の財産や信用に直接的な影響はありません。ただし、家族が連帯保証人になっている場合は、その家族に支払い義務が移ることになります。
また、共有財産(夫婦共有の不動産など)がある場合は、その処分について家族と相談が必要になることがあります。
よくある質問:自己破産後はローンやクレジットカードは作れませんか?
自己破産の情報は信用情報機関に5〜10年程度記録されるため、その期間中はローンやクレジットカードの審査に通りにくくなります。ただし、絶対に作れないわけではなく、時間の経過とともに徐々に信用を回復することができます。
デビットカードやプリペイドカードは信用情報の審査なしで利用できるため、自己破産後でも使用可能です。
よくある質問:自己破産は誰でもできますか?
原則として、返済能力を超える債務を負っている方であれば誰でも申立てが可能です。ただし、以下のような場合は免責が不許可になる可能性があります。
免責不許可事由の例 |
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上記の表は免責が不許可となる可能性がある主な事由です。ただし、実際には99%以上の方が免責を受けられているため、借金問題で悩んでいる方は専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
自己破産は、返済が困難になった借金を法的に解決するための制度であり、債務者に経済的な再出発の機会を与えるものです。主なメリットは借金の支払い義務が免除されることや、債権者からの取立てが止まることですが、財産の処分や信用情報への記録といったデメリットも存在します。
手続きは専門家のサポートを受けながら進めるのが一般的で、申立てから免責までは半年から1年程度かかります。自己破産は一時的に制限を受けることもありますが、長期的には経済的な再生につながる選択肢となります。
借金問題で悩んでいる方は、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談し、自分の状況に合った最適な解決方法を見つけることが重要です。自己破産以外にも任意整理や個人再生など、複数の債務整理方法があるため、専門家のアドバイスを参考に慎重に検討しましょう。
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