法定利息(ほうていりそく)について詳しく解説

法定利息とは、契約で特に利率を定めていない場合に、法律によって自動的に適用される利息のことです。民法では、当事者間で利息について何も決めていない場合に適用される利率を定めており、この法律で定められた利率に基づく利息を法定利息と呼びます。

債務整理や過払い金請求においては、法定利息の理解が重要です。特に裁判所を通じた債務整理や、債権者との交渉において、この法定利率が基準として使われることがあります。また、過払い金の返還請求では、過払い金に対する利息として法定利率が適用されることがあります。

法定利息の基本

法定利息は、契約で特に利率を決めていない場合に適用される利息です。民法で定められた法定利率に基づいて計算され、特に約束をしていなくても当然に発生する利息です。その基本的な特徴を見ていきましょう。

法定利息の特徴
  • 契約で利率を定めていない場合に適用される
  • 民法で定められた法定利率に基づく
  • 商事取引と民事取引で異なる利率が適用されていた時期がある
  • 2020年4月の民法改正により変動制に移行した
  • 遅延損害金の計算にも用いられる

上記の表は法定利息の基本的な特徴をまとめたものです。法定利息は、明示的な合意がない場合のデフォルトの利息として機能します。また、金銭債務の不履行による遅延損害金の計算にも用いられます。

法定利息が適用される場面

法定利息が適用される主な場面には、以下のようなものがあります。

  • 金銭消費貸借契約で利率を定めていない場合
  • 金銭債務の不履行による遅延損害金
  • 不当利得返還請求における利息
  • 過払い金返還請求における利息
  • 損害賠償における遅延損害金
  • 供託金の還付における付加金

このリストは法定利息が適用される主な場面を示しています。債務整理や過払い金請求では、特に遅延損害金や過払い金に対する利息として法定利率が重要な意味を持ちます。

法定利率の変遷

法定利率は時代とともに変化してきました。特に2020年4月の民法改正では、従来の固定制から変動制へと大きく変わりました。法定利率の主な変遷を見ていきましょう。

期間 法定利率
明治29年〜昭和22年 民事:年5%、商事:年6%
昭和22年〜平成16年 民事:年5%、商事:年6%
平成16年〜令和2年3月 民事:年5%、商事:年6%
利息制限法の上限は年15〜20%、出資法の上限は年20%)
令和2年4月〜 民事・商事統一で年3%(変動制)
※3年ごとに見直し、1%単位で変動する可能性あり

この表は法定利率の主な変遷を示しています。長い間、民事では年5%、商事では年6%という固定利率が続いていましたが、2020年4月の民法改正により、民事・商事統一で年3%の変動制に変わりました。

変動利率制度の仕組み

2020年4月の民法改正で導入された変動利率制度の仕組みについて説明します。

変動利率の基本ルール
  • スタート時点(2020年4月)では年3%
  • 3年ごとに見直し(初回は2023年4月)
  • 過去5年間の短期貸出平均金利を基準に計算
  • 1%単位で切り捨て(小数点以下は切り捨て)
  • 前回から1%以上の変動がある場合のみ変更

この表は変動利率制度の基本的なルールを示しています。3年ごとに見直しが行われ、経済状況に応じて法定利率が変動する仕組みとなっています。ただし、変動幅は1%以上の場合のみで、小幅な変動は反映されません。

法定利息と約定利息の違い

債務整理を理解する上で、法定利息と約定利息の違いを知ることは重要です。両者の主な違いを見ていきましょう。

法定利息
  • 契約で特に利率を定めていない場合に法律で自動的に適用される利息
  • 現在の法定利率は年3%(変動制)
  • 当事者の合意なく発生する
  • 利息制限法の制限を受けない
約定利息
  • 契約で特に合意した利率に基づく利息
  • 契約自由の原則に基づくが、法律による上限がある
  • 利息制限法による上限(年15〜20%)を超えると一部無効
  • 出資法による上限(年20%)を超えると刑事罰の対象となる

この表は法定利息と約定利息の主な違いを示しています。法定利息は法律で定められた利率に基づく利息で、約定利息は契約で合意した利率に基づく利息です。約定利息には利息制限法などによる上限がありますが、法定利息はこれらの制限を受けません。

利息制限法と法定利率の関係

利息制限法は、契約で合意できる最大の利率(上限金利)を定めた法律です。元本の額によって上限金利が異なります。

  • 10万円未満の場合:年20%
  • 10万円以上100万円未満の場合:年18%
  • 100万円以上の場合:年15%

このリストは利息制限法による上限金利を示しています。法定利率(現在は年3%)はこれらの上限金利よりもはるかに低く設定されています。契約で利率を定めていない場合には法定利率が適用されますが、契約で利率を定める場合には利息制限法の上限内で設定する必要があります。

債務整理における法定利息の意味

債務整理や過払い金請求において、法定利息はどのような意味を持つのでしょうか。各債務整理手続きにおける法定利息の役割を見ていきましょう。

任意整理
  • 将来利息のカットや減額交渉の際の参考値となることがある
  • 和解条件として法定利率での分割払いを提案することがある
  • 遅延損害金の計算基準として使われることがある
個人再生
  • 再生計画案の作成時に、将来の金利として法定利率が参考にされることがある
  • 住宅ローン特則を利用する場合の金利交渉の参考となることがある
自己破産
  • 破産手続開始決定により利息は停止するが、免責されない債権については法定利息が発生し続けることがある
過払い金請求
  • 過払い金の返還請求では、過払い金に対する利息として法定利率が適用されることが多い
  • 取引終了日または請求日から支払い日までの法定利息を請求できる場合がある

この表は各債務整理手続きにおける法定利息の主な役割を示しています。特に過払い金請求では、過払い金に対する利息として法定利率が重要な意味を持ちます。

過払い金に対する法定利息

過払い金請求において、法定利息はどのように計算されるのでしょうか。一般的な考え方を見ていきましょう。

  1. 過払い金発生日(または取引終了日)から訴状提出日(または請求日)までの期間について法定利率による利息を計算します。
  2. 2020年4月以降に発生した過払い金については、原則として年3%の法定利率が適用されます。
  3. 2020年3月以前に発生した過払い金については、民事法定利率の年5%が適用される場合があります。
  4. 判決が出た場合は、判決確定後は年3%(変動制)の法定利率が適用されます。
  5. 過払い金の一部返還があった場合は、その分を元本から差し引いて計算します。

このリストは過払い金に対する法定利息の一般的な計算方法を示しています。ただし、実際の計算方法や適用される利率は裁判所の判断や和解内容によって異なる場合があります。

法定利息に関する注意点

法定利息に関して、債務整理や過払い金請求を検討する際に注意すべき点をいくつか挙げてみましょう。

法定利率の適用時期
  • 債権発生時の法定利率が適用されるのか、それとも現在の法定利率が適用されるのかが問題となる場合がある
  • 2020年4月の民法改正では経過措置が設けられており、改正前に発生した債権には原則として改正前の法定利率が適用される
利息の起算日
  • いつから法定利息が発生するかが争点となることがある
  • 過払い金の場合、過払い発生日、取引終了日、請求日など、どの時点から利息を計算するかで金額が変わる
変動利率の将来予測
  • 法定利率が変動制になったことで、長期の分割返済計画を立てる際に将来の利率変動を考慮する必要がある
  • 3年ごとの見直しで利率が上昇する可能性もあることを念頭に置くべき

この表は法定利息に関する主な注意点を示しています。特に2020年4月の民法改正による変動制の導入は、長期の債務整理計画に影響を与える可能性があります。

専門家への相談の重要性

法定利息の適用や計算方法は複雑であり、法律や判例の知識が必要です。債務整理や過払い金請求を検討している場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

  • 個々のケースに応じた最適な方法を提案してもらえる
  • 法定利率の適用時期や計算方法について専門的なアドバイスを受けられる
  • 債権者との交渉や裁判所への申立てをサポートしてもらえる
  • 和解案の作成や請求金額の計算を適切に行ってもらえる
  • 最新の法律改正や判例の動向を踏まえたアドバイスを受けられる

このリストは専門家に相談するメリットを示しています。法定利息の適用や計算は専門的な知識が必要なため、自己判断せずに専門家のアドバイスを受けることが重要です。

まとめ

法定利息とは、契約で特に利率を定めていない場合に、法律によって自動的に適用される利息のことです。民法で定められた法定利率に基づいて計算され、2020年4月の民法改正により、従来の固定制(民事年5%、商事年6%)から変動制(年3%、3年ごとに見直し)へと変わりました。

法定利息は、約定利息(契約で合意した利率に基づく利息)とは異なり、利息制限法などの上限金利の制限を受けません。債務整理や過払い金請求においては、将来利息の交渉基準や、過払い金に対する利息として重要な意味を持ちます。

特に過払い金請求では、過払い金に対する利息として法定利率が適用されることが多く、過払い金発生日または取引終了日から支払い日までの期間について法定利息を請求できる場合があります。ただし、法定利率の適用時期や利息の起算日については、個々のケースによって異なることがあります。

法定利息の適用や計算方法は複雑であり、債務整理や過払い金請求を検討している場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、最適な債務整理の方法や適切な過払い金の請求が可能になるでしょう。

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