着手金(ちゃくしゅきん)について詳しく解説

着手金とは、弁護士や司法書士などの法律専門家に債務整理や過払い金請求などの依頼をする際に、業務の開始時点であらかじめ支払う費用のことです。依頼した案件の結果にかかわらず、業務に着手した時点で発生する費用となります。

債務整理や過払い金請求では、着手金のほかに報酬金(成功報酬)が発生することが一般的です。着手金の金額や支払い方法は事務所によって異なるため、依頼前に十分確認することが重要です。

着手金の基本的な仕組み

着手金は法律専門家が業務を開始する際の初期費用であり、実質的に依頼契約が成立した証としての意味も持ちます。依頼者と専門家の間で正式な契約が結ばれたことを示す重要な要素です。

着手金を支払うことで、法律専門家は依頼内容に関する業務を開始します。具体的には、債権者との交渉、書類作成、裁判所への申立てなどの作業が含まれます。

着手金の性質 業務開始時に支払う初期費用で、結果にかかわらず返還されないことが一般的
着手金に含まれる業務
  • 初回相談・打ち合わせ
  • 債務状況の調査・分析
  • 債権者との交渉
  • 必要書類の作成
  • 裁判所への申立て手続き
着手金の決定要素
  • 債務整理の種類(任意整理、個人再生、自己破産など)
  • 債権者の数
  • 債務総額
  • 事案の複雑さ

上記の表は着手金の基本的な性質と含まれる業務、金額を決定する要素を示しています。着手金は依頼する案件の内容や複雑さによって金額が変わることが一般的です。

債務整理の種類別の着手金相場

債務整理の種類によって着手金の相場は異なります。一般的な相場を把握しておくことで、適正な費用かどうかの判断材料になります。以下に主な債務整理の種類別の着手金相場を示します。

任意整理
  • 基本料金:2万円〜5万円程度
  • 1社あたり:1万円〜2万円程度加算
  • 例:債権者5社の場合、合計7万円〜15万円程度
個人再生
  • 小規模個人再生:30万円〜40万円程度
  • 給与所得者等再生:30万円〜40万円程度
  • 住宅資金特別条項付き:+5万円〜10万円程度
自己破産
過払い金請求
  • 無料〜数万円程度
  • 成功報酬型の場合は着手金が無料のケースも多い

上記の表は債務整理の種類別の一般的な着手金相場を示しています。ただし、これはあくまで相場であり、事務所によって金額設定は異なります。また、事案の複雑さや地域によっても差があります。

司法書士と弁護士の着手金の違い

債務整理を依頼する際、司法書士と弁護士では着手金に差があることがあります。一般的に司法書士の方が弁護士よりも安価な傾向がありますが、取り扱える業務範囲にも違いがあります。

  • 司法書士:一般的に弁護士より着手金が安い傾向。ただし、140万円を超える債務については受任できない制限がある
  • 弁護士:司法書士より着手金が高い傾向。債務額に関わらずすべての債務整理手続きを取り扱える
  • 認定司法書士:140万円を超える債務でも、簡易裁判所での手続きは可能
  • 債務額が大きい場合:弁護士への依頼が必要になることが多い

このリストは司法書士と弁護士の着手金の違いと、それぞれの業務範囲を示しています。依頼先を選ぶ際には、債務額や必要な手続きに応じて適切な専門家を選ぶことが重要です。

着手金と報酬金の違い

債務整理や過払い金請求の費用は、一般的に「着手金」と「報酬金(成功報酬)」の二段階で構成されています。両者の違いを理解しておくことで、全体の費用感を把握できます。

着手金
  • 業務開始時に支払う費用
  • 結果にかかわらず発生する
  • 依頼の種類によって金額が異なる
  • 返還されないのが一般的
報酬金(成功報酬)
  • 業務完了後に支払う費用
  • 成果に応じて発生する
  • 減額された金額や過払い金の回収額の一定割合で計算されることが多い
  • 成果がなければ発生しないケースもある
実費
  • 裁判所への予納金
  • 郵便代
  • 交通費
  • 書類取得費用など

上記の表は着手金と報酬金、実費の違いを示しています。依頼する際には、これらの費用すべてを合わせた総額を考慮することが重要です。特に実費は案件によって大きく変わることがあります。

成功報酬の計算例

報酬金(成功報酬)は、債務整理や過払い金請求によって得られた経済的利益に応じて計算されることが一般的です。以下に主な計算例を示します。

  1. 任意整理:減額された元金や将来利息の10%〜20%程度
  2. 個人再生:免除された債務額の10%程度
  3. 自己破産:基本的に定額(着手金に含まれることも多い)
  4. 過払い金請求:回収した過払い金の20%〜30%程度(+消費税)

このリストは各債務整理手続きにおける成功報酬の一般的な計算例です。例えば、過払い金請求で100万円を回収できた場合、成功報酬は20万円〜30万円程度(+消費税)となります。

着手金の支払い方法

着手金の支払い方法は事務所によって異なります。経済的に困窮している方向けに、分割払いや後払いに対応している事務所もあります。主な支払い方法を以下に示します。

  • 一括払い:契約時に全額を支払う方法
  • 分割払い:数回に分けて支払う方法(3回〜12回程度が一般的)
  • 後払い:過払い金などの回収後に着手金を支払う方法(主に過払い金請求で採用)
  • 無料:過払い金請求などで成功報酬のみとし、着手金を無料とするケースもある
  • 法テラス利用:法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用する方法

このリストは着手金の主な支払い方法を示しています。経済的に苦しい状況にある場合は、分割払いや法テラスの利用を検討することも一つの選択肢です。

法テラスの民事法律扶助制度

法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用すると、着手金などの費用を立て替えてもらうことができます。立て替えられた費用は、原則として分割で返済することになります。

対象者 収入や資産が一定基準以下の方
立替対象 弁護士・司法書士への報酬や裁判所への予納金など
返済方法 原則として月額5,000円以上の分割払い(無利息)
免除制度 生活保護受給者など、特に支払いが困難な方は返済免除の可能性あり
申込方法 法テラスの事務所で面談して申し込む(予約が必要)

上記の表は法テラスの民事法律扶助制度の概要を示しています。この制度を利用することで、経済的に余裕がない方でも債務整理を依頼することが可能になります。

着手金に関する注意点

債務整理や過払い金請求を依頼する際、着手金に関して特に注意すべき点があります。トラブルを未然に防ぐためにも、以下の点に注意しましょう。

  • 明確な説明を求める:着手金の金額、含まれる業務範囲、追加費用の有無などを確認する
  • 見積書の入手:可能であれば見積書を出してもらい、後々のトラブル防止に役立てる
  • 異常に安い・高い着手金に注意:相場と大きく異なる場合は理由を確認する
  • 分割払いの条件確認:分割回数、各回の金額、支払い方法などを明確にする
  • 中途解約時の扱い:途中で解約した場合の着手金の返還条件を確認する

このリストは着手金に関する主な注意点です。特に費用面での不安や疑問は、依頼前に解消しておくことが重要です。わからないことはしっかりと質問し、納得した上で依頼しましょう。

事務所選びのポイント

弁護士・司法書士事務所を選ぶ際には、着手金だけでなく総合的な視点で判断することが大切です。以下のようなポイントに注目して選びましょう。

費用の透明性 着手金や報酬金の金額、計算方法が明確に説明されているか
実績と経験 債務整理や過払い金請求の実績が豊富にあるか
対応の丁寧さ 質問に対して丁寧に回答し、わかりやすく説明してくれるか
アクセスの良さ 相談や打ち合わせに通いやすい場所にあるか
無料相談の有無 初回相談を無料で受けられるか

上記の表は事務所選びの主なポイントを示しています。着手金の安さだけで選ぶのではなく、サービスの質や信頼性も含めて総合的に判断することをおすすめします。

まとめ

着手金とは、弁護士や司法書士に債務整理や過払い金請求などを依頼する際に、業務開始時点で支払う費用のことです。依頼した案件の結果にかかわらず発生する費用であり、一般的には返還されません。

着手金の金額は債務整理の種類や債権者の数、事案の複雑さなどによって異なります。任意整理では1社あたり1万円〜2万円程度(基本料金別)、個人再生では30万円〜40万円程度、自己破産では20万円〜30万円程度が一般的な相場です。過払い金請求では着手金を無料とし、成功報酬のみとする事務所も多くあります。

支払い方法には一括払いのほか、分割払いや法テラスの民事法律扶助制度を利用する方法もあります。経済的に苦しい状況にある方は、これらの支払い方法を活用することも検討しましょう。着手金を支払う際には、金額や含まれる業務範囲、追加費用の有無などを事前にしっかりと確認することが重要です。また、事務所選びの際には着手金の安さだけでなく、実績や対応の丁寧さなども含めて総合的に判断するとよいでしょう。

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