アドオン返済(あどおんへんさい)について詳しく解説

アドオン返済とは、消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどの利息計算方法の一つです。借入元金に対して、返済期間全体の利息をあらかじめ計算して上乗せし、それを分割して返済する方式を指します。

日本の貸金業界では広く採用されてきた計算方法で、特に消費者金融やクレジットカード会社のキャッシング返済で多く用いられています。

アドオン返済の仕組み

アドオン返済では、借入時に元金に対して返済期間全体の利息を一括して計算し、その合計額を分割回数で割って毎月の返済額を決定します。この方法では、返済が進んでも元金が減らないため、実質的な金利は表面上の金利よりも高くなります。

例えば、100万円を年利15%で3年間(36回)返済する場合、利息は100万円×15%×3年=45万円となります。元金と利息の合計145万円を36回で割ると、月々の返済額は約40,278円になります。

アドオン返済の計算例 借入額100万円、年利15%、3年返済の場合
計算方法
  • 利息総額: 100万円×15%×3年=45万円
  • 返済総額: 100万円+45万円=145万円
  • 月々の返済額: 145万円÷36回=40,278円

上記の表は、アドオン返済における具体的な計算例を示しています。この方式では、借入時点で全期間の利息が決定され、返済額に含まれる形になります。

アドオン返済とリボルビング払いの違い

アドオン返済とリボルビング払いは、どちらも分割返済の一種ですが、計算方法と返済の仕組みが大きく異なります。

アドオン返済 元金に対して全期間の利息をあらかじめ計算し、固定の返済額で返済していく方式
リボルビング払い 毎月の残高に対して利息を計算し、一定額または残高の一定割合を返済していく方式
主な違い
  • アドオン返済: 返済額が固定で計画的
  • リボルビング払い: 残高に応じて利息が変動
  • アドオン返済: 中途返済時に利息の払い戻しが必要
  • リボルビング払い: 追加借入が容易

上記の表では、アドオン返済とリボルビング払いの主な特徴と違いを比較しています。どちらの返済方法も一長一短があり、借入状況や返済計画によって適切な方法が異なります。

アドオン返済の問題点

アドオン返済には、消費者にとって不利になる点がいくつか存在します。これらの問題点は、債務整理や過払い金請求が必要になる原因にもなっています。

  • 実質金利が表面金利より高くなる
  • 元金の減少に関わらず利息が変わらない
  • 繰上返済時に利息の払い戻し計算が複雑
  • 返済途中で元金残高が分かりにくい
  • 法定金利を超える可能性がある

アドオン返済方式では、借入当初の元金に対して利息を計算するため、実際に借りている残高が減っても利息は変わりません。そのため、実質的な金利は表面上の金利よりも高くなります。

また、繰上返済をした場合に利息の払い戻し計算が複雑で、消費者にとって分かりにくいという問題もあります。これが過払い金が発生する原因の一つになっています。

アドオン返済と債務整理の関係

アドオン返済方式による借入は、債務整理の対象となることが多くあります。特に、実質金利が高くなる特性から、長期間の借入が続くと返済負担が重くなり、債務整理が必要になるケースが見られます。

  1. 債務整理の調査段階でアドオン返済による高金利が判明することがある
  2. 任意整理では、アドオン返済の利息計算を見直して元金を確定する
  3. 個人再生や自己破産の場合は、正確な債務残高を確定する必要がある
  4. 利息制限法に基づく引き直し計算で債務額が大幅に減少することも

債務整理を行う際には、アドオン返済で計算された返済予定額ではなく、利息制限法に基づいた正確な残債務額を算出することが重要です。これにより、実際の債務額が減少し、返済負担が軽減されることがあります。

アドオン返済と過払い金

アドオン返済方式による借入では、過払い金が発生している可能性が高くなります。特に2010年の貸金業法完全施行以前に契約した借入では、法定金利を超える利息を支払っているケースが多いです。

アドオン返済において過払い金が発生する主な理由は、実質金利が高くなること、そして中途解約時の利息払い戻し計算が不適切に行われることにあります。

過払い金の確認ポイント
  • 契約時期が2010年以前かどうか
  • 長期間にわたって返済を続けていたか
  • 金利が18%を超えていないか
  • 借り換えや契約の切り替えがあったか
過払い金の請求方法
  • 取引履歴の開示請求
  • 引き直し計算による過払い金額の確定
  • 貸金業者への請求または訴訟

上記の表は、アドオン返済に関連する過払い金の確認ポイントと請求方法をまとめたものです。特に長期間の借入がある場合は、専門家に相談して過払い金の有無を確認することをおすすめします。

過払い金の引き直し計算

過払い金の確認には、取引履歴をもとに「引き直し計算」を行います。これは、利息制限法の上限金利(貸付額に応じて15〜20%)で再計算し、すでに支払った金額との差額を求める作業です。

アドオン返済の場合は、各返済時点での元金残高を正確に把握し、それに対する適正な利息を計算する必要があります。この計算は複雑なため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

まとめ

アドオン返済は、借入元金に対して返済期間全体の利息をあらかじめ計算して上乗せする返済方式です。この方式は実質金利が高くなる特徴があり、債務整理や過払い金請求の対象となることが多くあります。

アドオン返済の主な問題点は、元金が減少しても利息が変わらないこと、中途解約時の利息払い戻し計算が複雑であることなどが挙げられます。特に2010年の貸金業法完全施行以前に契約した借入では、法定金利を超える利息を支払っているケースが多く、過払い金が発生している可能性があります。

債務整理を検討している方や、長期間にわたって消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用してきた方は、アドオン返済による実質金利や過払い金の有無を確認することをおすすめします。専門家に相談し、正確な債務状況を把握することで、適切な解決策を見つけることができるでしょう。

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