すべての借金をなくすことができる自己破産とは
自己破産は、借金の返済ができなくなった場合に、裁判所を通しておこなう手続きです。生活するのに最低限必要なもの以外の財産をすべて失うかわりに、借金をすべて免除することができます。
自己破産の特徴
自己破産は、債務者が借金の返済が完全にできなくなった場合におこなう手続きです。手続き後に返済をおこなわなければならない任意整理や個人再生とは違い、自己破産では手続き後の返済が一切必要ありません。
しかし、個人再生ではマイホームを残して手続きすることができますが、自己破産はマイホームを手放さなければなりません。
しかし、家具などの生活用品は原則として処分されることはないので、自己破産後に生活ができなくなるというリスクはありません。
また、自己破産はあくまでも手続きをおこなった本人のみが対象ですので、家族が保証人になっていなければ、家族に迷惑がかかるとことはありません。
2種類ある自己破産の方法
自己破産には「管財事件」と「同時廃止事件」の2つの種類があります。これらは財産の有無や免責不許可事由の有無によって決まります。
管財事件
管財事件は自己破産の基本型で、破産手続きを処理する破産管財人によっておこなわれます。破産管財人は裁判所から選任された弁護士が担当します。
選任された破産管財人により破産者の財産が調査・管理され、換価処分をして配当されます。配当すべき財産がない場合は「異時廃止」として手続きは終了されます。
同時廃止事件
配当すべき財産がないことが明らかな場合は、破産手続きが開始されたと同時に手続きが廃止される同時廃止事件として扱われます。
同時廃止事件では、破産管財人による調査・管理や換価処分がおこなわれないので、手続きが完了するまでの期間が短いのが特徴です。
借金の原因によっては自己破産ができない
自己破産は免責不許可事由に該当することが原因の借金の場合にはおこなうことができません。
免責不許可事由に該当するものとしては以下のものがあります。
- パチンコや競馬などの賭博が原因の借金
- 株取引やFX取引などの射幸行為が原因の借金
- 買い物や有効などの浪費が原因の借金
- 財産を隠匿した場合
- クレジットカードで換金行為があった場合
- 特定の債権者のみに返済をおこなった場合
上記の免責不許可事由に該当する場合は自己破産ができませんが、裁判所によって免責が許可された場合は自己破産をすることができます。
裁判所から免責が許可されることを裁量免責といいます。このように免責不許可事由に該当していても裁量免責が許可されればおこなうことができます。
自己破産のメリット・デメリット
ここでは自己破産のメリット・デメリットを解説しています。思わぬ失敗をしないよう、これらを理解してから手続きをおこなってください。
自己破産のメリット
すべての借金をなくすことができる
自己破産の最大のメリットはすべての借金をなくすことができることです。ほかの債務整理の場合、手続き後に一定の金額を返済しなければなりませんが、自己破産は手続き後の返済が一切ありません。
生活をするのに最低限必要なものは残せる
自己破産をしたからといって生活ができなくなることはありません。生活をするのに必要な家具や財産は最低限残すことができます。
破産後の財産は自分で管理できる
破産手続きをすると必要最低限の財産以外はすべて失うことになりますが、手続き後に得た財産や収入に関しましては自分で管理することができます。
自己破産のデメリット
ほとんどの財産が処分される
生活をしていくのに最低限必要な財産以外の、家や車などの一定の財産は処分されてしまいます。
ブラックリストにのる
自己破産をおこなうとブラックリストにのります。自己破産の場合だと約5~7年の間、信用情報に登録されてしまいます。
この期間は新たな借入れやクレジットカードの作成ができなくなります。
一定の職業に就くことができない
自己破産の手続きをおこなうと手続きが終わるまで以下の職業に就くことができなくなります。企業の取締役などの役員についている方が破産手続きをすると役職を解かれることになります。
制限される職業
弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、公証人、宅地建物取引業者、証券会社外交員、質屋、古物商、風俗営業者、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、建設業者、後見人、など
官報に掲載される
自己破産をおこなうと住所と氏名が、国が発行する官報に掲載されます。一般の方が目にすることはほとんどありませんが、家族や周囲に秘密にしたい場合はご注意ください。