特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)とは?

特別養子縁組とは、実の親子関係に準じる安定した親子関係を特別に形成する制度です。通常の養子縁組と異なり、実親との法的な親族関係が終了し、養親との間に実親子と同様の法律上の親子関係が生じます。

この制度は主に子どもの福祉を目的としており、相続においても実子と同等の権利が発生するため、相続計画においても重要な検討事項となります。

特別養子縁組の概要と要件

特別養子縁組は、1988年に民法に導入された比較的新しい制度です。子どもの福祉を最優先に考え、実親との法的関係を完全に断ち切り、新たな親子関係を形成します。

この制度を利用するためには、いくつかの法定要件を満たす必要があります。主な要件は以下の通りです。

養子となる子の年齢 原則として15歳未満であること(例外的に15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は18歳未満可)
養親の年齢 原則として25歳以上であること
夫婦関係 養親は原則として夫婦(法律婚)であること
実親の同意 原則として実親の同意が必要(ただし一定の例外あり)
家庭裁判所の審判 家庭裁判所の審判が必要

上記の表は特別養子縁組の主な要件をまとめたものです。特に養子となる子の年齢制限は、2016年の民法改正により拡大されました。

特別養子縁組の相続上の効果

特別養子縁組が成立すると、相続に関しても重要な法的効果が発生します。特別養子は実子と同等の法的地位を得るため、相続権にも大きな影響があります。

  • 養親の相続人となり、実子と全く同じ法定相続分を取得する権利を持つ
  • 実親およびその血族との相続関係が完全に切断される
  • 養親の他の子(実子・普通養子)と同等の遺留分を取得する
  • 養親の親族(祖父母など)の相続人となる可能性がある

上記のリストは特別養子縁組における相続上の主な効果です。特別養子は法的に実子と同じ扱いとなるため、相続計画を立てる際は実子と同様に考慮する必要があります。

特別養子縁組と普通養子縁組の違い

相続の観点から見ると、特別養子縁組と普通養子縁組(一般養子縁組)には大きな違いがあります。両者の主な違いを比較すると以下のようになります。

項目 特別養子縁組 普通養子縁組
実親との法的関係 完全に終了する 継続する
戸籍の表示 実子と同じ表示(「長男」「長女」など) 「養子」と表示される
実親からの相続権 なし あり(実親と養親双方から相続可能)
年齢制限 原則15歳未満(例外的に18歳未満) 制限なし
解消方法 極めて困難(家庭裁判所の審判が必要) 協議または家庭裁判所の審判で可能

この表は特別養子縁組と普通養子縁組の主な違いを相続の観点から比較したものです。特別養子縁組では実親との法的関係が完全に終了するため、相続関係もそれに伴って変化します。

特別養子縁組の手続きの流れ

特別養子縁組を成立させるためには、以下のような手続きを踏む必要があります。これらの手続きは相続計画に影響を与える重要なステップとなります。

  1. 事前相談:児童相談所や民間の養子縁組あっせん団体などに相談
  2. 家庭調査:養親となる人の家庭環境や養育能力の調査
  3. マッチング:子どもとの相性の確認
  4. 試験養育期間:6か月以上の試験的な養育期間(養子縁組前提の里親として)
  5. 家庭裁判所への申立て:特別養子縁組の申立書類を提出
  6. 審判:家庭裁判所による審判(原則として実親の同意が必要)
  7. 戸籍の届出:審判確定後、10日以内に養親の本籍地の市区町村役場に届出

この手続きの流れは、特別養子縁組の成立までに必要なステップを示しています。特に家庭裁判所の審判は重要なプロセスであり、子どもの福祉に適うかどうかが慎重に判断されます。

特別養子縁組に関する最近の法改正

特別養子縁組制度は、社会の変化に対応するため、近年いくつかの重要な法改正が行われました。これらの改正は相続にも影響を与える可能性があります。

  • 2016年の民法改正:養子となる子の年齢制限を6歳未満から原則15歳未満に引き上げ
  • 2020年4月施行の改正:家庭裁判所の手続きを二段階化(特別養子適格の審判と縁組の成立の審判)
  • 実親の同意の撤回制限期間の導入(2週間)
  • 実親の同意なく縁組が成立する要件の明確化
  • 審理の促進と養親の負担軽減のための手続き改善

このリストは近年の主な法改正の内容をまとめたものです。特に年齢制限の引き上げにより、より多くの子どもたちが特別養子縁組の対象となり、それに伴い相続関係にも影響が生じる可能性があります。

よくある質問

特別養子は実親の遺産を相続できますか?

いいえ、特別養子縁組が成立すると、実親との法的な親族関係は完全に終了するため、実親の遺産を相続することはできません。これは普通養子縁組と大きく異なる点です。

実親が遺言によって特別養子に財産を残すことは可能ですが、法定相続人としての権利は認められません。

特別養子縁組は解消できますか?相続への影響は?

特別養子縁組の解消は極めて困難です。「養子の利益のため特に必要がある」と認められる例外的な場合にのみ、家庭裁判所の審判によって解消できます。

仮に解消された場合、将来的な相続関係も変更されることになりますが、解消前に発生した相続に関しては影響しません。

特別養子は養親の親(祖父母)からも相続できますか?

はい、特別養子は法的に実子と同様の地位を持つため、養親の親(子どもにとっての祖父母)からも相続することができます。これは特別養子が養親の親族関係に完全に組み込まれることを意味します。

特別養子縁組の際に贈与税の特例はありますか?

特別養子縁組自体に特別な贈与税の特例はありませんが、養親から特別養子への贈与は、実子への贈与と同じ税制が適用されます。つまり、暦年贈与や教育資金の一括贈与非課税制度などを利用できます。

普通養子から特別養子に変更することは可能ですか?

可能です。すでに普通養子縁組が成立している場合でも、年齢制限など他の要件を満たせば、特別養子縁組の申立てを行うことができます。

ただし、普通養子縁組を解消してから特別養子縁組の手続きを行う必要があり、家庭裁判所の審判も必要となります。相続計画に影響するため、専門家への相談をおすすめします。

まとめ

特別養子縁組は、子どもの福祉を目的とした制度であり、実親との法的関係を完全に終了させ、養親との間に実の親子関係と同様の法的関係を構築するものです。相続の観点からは、特別養子は実子と全く同じ法的地位を持ち、同等の相続権を得ることになります。

普通養子縁組との大きな違いは、実親との法的関係の終了と、それに伴う実親からの相続権の喪失です。特別養子は養親からのみ相続し、養親の親族関係にも完全に組み込まれます。

近年の法改正により、特別養子となれる子どもの年齢制限が拡大され、手続きも改善されました。こうした変化は、より多くの子どもたちが安定した家庭環境を得る機会を増やすとともに、相続関係にも影響を与えています。

特別養子縁組を検討する際は、子どもの福祉を第一に考えつつ、相続などの法的影響も理解した上で、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。適切な手続きを踏むことで、子どもと養親双方にとって最適な環境を整えることができるでしょう。

相続用語集一覧に戻る

日本リーガル司法書士事務所に電話で無料相談する日本リーガル司法書士事務所にメールで無料相談する

日本リーガル司法書士事務所に相続の無料相談をする

事務所案内

アクセス

相続の用語集