配当還元方式(はいとうかんげんほうしき)とは?

配当還元方式とは、非上場株式の評価方法の一つで、その会社が将来支払うと予想される配当金をもとに株式の価値を算定する方法です。

主に相続税贈与税の申告時に用いられ、一定の条件を満たす場合に限り適用できます。一般的な評価方法と比較して相続税評価額を抑えられるケースがあるため、相続対策として注目されています。

配当還元方式とは

配当還元方式は、非上場株式の評価方法の一つです。株式の価値を、その会社が将来支払うと予想される配当金をもとに計算します。配当金を一定の率(配当還元率)で割ることで株式の価値を求めます。

この方式は、相続税や贈与税の申告時に非上場株式の評価額を算出する際に用いられます。一般的な評価方法である純資産価額方式や類似業種比準方式と比較して、多くの場合で評価額が低くなる傾向があります。

ただし、配当還元方式は誰でも適用できるわけではなく、国税庁が定める一定の条件を満たす場合に限り適用が認められています。主に同族株主以外の株主が保有する株式(少数株主が保有する同族会社の株式)の評価に用いられます。

配当還元方式の計算方法

配当還元方式による株式評価額は、次の計算式で求められます。

配当還元方式の計算式 1株当たりの配当金額 ÷ 配当還元率 × 保有株式数

この計算式の要素について詳しく見ていきましょう。

1株当たりの配当金額の計算方法

1株当たりの配当金額は、次の方法で計算します。

  1. 直前期末以前2年間の配当金額の合計額 ÷ 2年 ÷ 発行済株式総数

過去2年間に配当実績がない場合は、次の方法で計算します。

  1. (直前期末以前1年間の資本金等の額 × 年利回り) ÷ 発行済株式総数

年利回りは、所得税法第2条第1項第12号に規定する利子所得の基準として国税庁長官が財務大臣と協議して定める率となります。現在は年0.8%が適用されています。

配当還元率について

配当還元率は、原則として10%です。ただし、業種によって異なる場合があります。

配当還元率の例
  • 一般的な会社:10%
  • その会社の営む事業が土地保有の割合が大きい場合:8%
  • その他特定の業種:業種に応じた率

上記の表は、一般的な配当還元率の例です。実際の適用にあたっては、最新の税制や会社の状況に応じて適切な率を確認する必要があります。

配当還元方式が適用できる条件

配当還元方式は、次の条件を満たす場合に適用できます。

  • 同族株主以外の株主が保有する株式であること
  • 同族会社の株式であること
  • 取引相場のない株式であること(非上場株式)
  • 特定の評価会社(医療法人、特定の持株会社など)に該当しないこと

上記は配当還元方式を適用するための主な条件です。同族株主とは、株主とその親族などの特別な関係にある者が保有する株式を合わせて、発行済株式総数の30%以上を保有している場合の株主を指します。

配当還元方式は、主に少数株主が保有する株式の評価に用いられる方法です。同族株主が保有する株式については、原則として類似業種比準方式や純資産価額方式などの他の評価方法が適用されます。

配当還元方式のメリット・デメリット

配当還元方式のメリット

  • 他の評価方法と比較して評価額が低くなる傾向がある
  • 相続税や贈与税の課税価格を抑えられる可能性がある
  • 計算方法がシンプルで理解しやすい
  • 継続的に配当を出している会社では安定した評価ができる

配当還元方式の最大のメリットは、多くの場合で評価額が低くなり、相続税や贈与税の負担を軽減できる可能性がある点です。特に会社の純資産価額が高い場合や、業績が好調な会社では、他の評価方法と比較して大幅に評価額を抑えられるケースがあります。

配当還元方式のデメリット

  • 適用できる条件が限定的である
  • 配当実績がない会社では評価額が極めて低くなる可能性がある
  • 税務調査で適用の是非について指摘を受ける可能性がある
  • 会社の実態とかけ離れた評価額になる可能性がある

配当還元方式の最大のデメリットは、適用できる条件が限定的な点です。同族株主が保有する株式には原則として適用できないため、オーナー経営者やその親族が相続対策として活用するには工夫が必要です。

また、配当実績が少ない会社や配当を出していない会社では、評価額が実態とかけ離れて低くなる可能性があり、税務調査の際に否認されるリスクもあります。

他の評価方法との比較

非上場株式の評価方法には、配当還元方式以外にも複数の方法があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

評価方法 特徴と適用対象
配当還元方式
  • 将来の配当をもとに株式価値を評価
  • 同族株主以外の株主が保有する株式に適用
  • 比較的低い評価額になりやすい
類似業種比準方式
  • 類似の上場企業の株価をもとに評価
  • 同族株主が保有する株式に適用されることが多い
  • 配当、利益、純資産の3要素で評価
純資産価額方式
  • 会社の純資産額をもとに評価
  • 清算価値に近い評価になる
  • 資産保有会社など特定の会社で適用されることが多い

上記の表は、主な非上場株式の評価方法の比較です。実際の評価にあたっては、会社の規模や事業内容、株主構成などによって適用される方法が異なります。

一般的に、同族株主が保有する株式は類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせた方法で評価されることが多く、配当還元方式は同族株主以外の株主(少数株主)が保有する株式の評価に限定されています。

よくある質問

Q1. 配当還元方式を使えば必ず評価額は下がりますか?

多くの場合、配当還元方式は他の評価方法と比較して評価額が低くなる傾向がありますが、必ずしもそうとは限りません。会社の配当実績が非常に高い場合や、純資産価額が低い会社では、他の評価方法の方が評価額が低くなるケースもあります。

実際の適用にあたっては、複数の評価方法で試算して比較検討することをおすすめします。

Q2. オーナー経営者でも配当還元方式を活用する方法はありますか?

オーナー経営者(同族株主)の保有株式には原則として配当還元方式は適用できませんが、事前に株式を一部贈与するなどの方法で、相続発生時に少数株主として配当還元方式の適用を受けられるよう計画することは可能です。

ただし、税務上の否認リスクもあるため、専門家と相談しながら慎重に検討する必要があります。

Q3. 配当還元方式を適用するために配当政策を変更すべきでしょうか?

配当還元方式の適用を目的として極端に配当政策を変更することは、税務上の否認リスクが高まる可能性があります。会社の経営状況や資金繰りを考慮した適切な配当政策を取りつつ、相続対策を検討することが重要です。

税務調査で「配当操作」と判断されると、配当還元方式の適用が否認される可能性があります。

Q4. 配当還元方式は贈与にも適用できますか?

はい、配当還元方式は相続税だけでなく贈与税の申告時にも適用できます。条件は相続税の場合と同様で、同族株主以外の株主が保有する株式などの条件を満たす必要があります。

株式の生前贈与を検討する際にも、配当還元方式による評価が適用できるかどうか検討する価値があります。

Q5. 配当還元方式の適用可否は誰が判断するのですか?

配当還元方式の適用可否は、まずは納税者(相続人や受贈者)が判断して申告を行います。ただし、税務調査において税務署が適用条件を満たしていないと判断した場合は、修正申告を求められる可能性があります。

適用条件に疑義がある場合は、事前に税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

配当還元方式は、非上場株式の評価方法の一つで、将来の配当金をもとに株式価値を算定する方法です。同族株主以外の株主が保有する株式に限り適用でき、多くの場合で他の評価方法よりも評価額が低くなる傾向があります。

計算方法は、1株当たりの配当金額を配当還元率(通常10%)で割り、保有株式数を掛けるというシンプルなものです。配当実績がない場合は、資本金等の額に一定の利回りを掛けて計算します。

配当還元方式の最大のメリットは相続税や贈与税の負担を軽減できる可能性がある点ですが、適用条件が限定的であることや税務調査で否認されるリスクがあることなどのデメリットもあります。

非上場株式の相続や贈与を検討する際は、配当還元方式を含め複数の評価方法を比較検討し、会社の状況や株主構成に応じた最適な方法を選択することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、適切な相続対策を進めていくことをおすすめします。

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