相続税還付(そうぞくぜいかんぷ)とは?

相続税還付とは、一度納付した相続税が何らかの理由で過大だった場合に、税務署から納税者へ払い戻される制度です。相続税申告後に新たに債務が見つかった場合や、相続財産の評価額が修正された場合などに適用されます。

還付を受けるためには「更正の請求」という手続きを行い、税務署の審査を経て認められると過払い分が戻ってきます。相続税の申告期限から原則5年以内に請求する必要があります。

相続税還付が発生するケース

相続税還付が発生するのは、以下のようなケースが代表的です。相続税申告後に状況が変わったり、新たな事実が判明したりした場合に検討すべき制度です。

  • 申告後に新たな債務や葬式費用が見つかった
  • 相続財産の評価額に誤りがあった
  • 相続した株式等の価額が下落した
  • 相続財産に含めていた財産が、実は被相続人のものではなかった
  • 遺留分侵害額請求により財産を返還した
  • 未分割の相続財産を分割したことで配偶者の税額軽減特例の適用が可能になった

上記のケースでは、申告時より相続税の課税対象となる財産が減少するか、控除額が増加するため、納めた税金の一部が還付される可能性があります。特に遺留分侵害額請求や配偶者の税額軽減など、法律上の手続きに伴うケースでは、専門家に相談することをおすすめします。

相続税還付の手続き方法

相続税の還付を受けるためには、「更正の請求」という手続きを行う必要があります。以下の流れで手続きを進めましょう。

  1. 更正の請求書を作成する:国税庁のウェブサイトからダウンロードできる「更正の請求書」に必要事項を記入します
  2. 必要書類を準備する:請求の根拠となる書類(債務の証明書類、評価額の修正を示す資料など)を揃えます
  3. 税務署へ提出する:被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出します
  4. 税務署による審査:提出された書類をもとに税務署が審査を行います
  5. 還付金の受け取り:請求が認められれば、指定した口座に還付金が振り込まれます

更正の請求は専門的な知識が必要なため、税理士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。誤った申請をすると、審査に時間がかかったり、請求が認められなかったりするリスクがあります。

相続税還付の時効と注意点

相続税還付には時効があり、請求できる期間が限られています。主な時効と注意点について解説します。

更正の請求期限 原則として相続税の申告期限から5年以内
特別な期限
  • 申告期限後3年以内に分割が行われた場合:その分割があった日から4ヶ月以内
  • 遺留分侵害額請求に基づく価額弁償があった場合:価額弁償があった日から4ヶ月以内
  • 特定の株式等の価額が下落した場合:申告期限から1年以内
還付加算金 還付される税金には、一定の期間に応じた還付加算金(利息)が付きます
主な注意点
  • 時効を過ぎると還付請求ができなくなります
  • 更正の請求中に税務調査が入る可能性があります
  • 請求理由によっては、他の相続人の同意が必要な場合があります

相続税の還付請求は時効が経過すると行えなくなるため、新たな事実が判明した場合は、速やかに専門家に相談することが重要です。特に特別な期限が設けられているケースでは、その期限を厳守する必要があります。

相続税還付に必要な書類

相続税還付の請求には、様々な書類が必要です。還付理由に応じて、以下のような書類を準備しましょう。

基本書類
  • 更正の請求書(第3表と第4表)
  • 相続税申告書の控え
  • マイナンバーカードまたは通知カードの写し
  • 本人確認書類(運転免許証など)の写し
債務・費用関係
  • 新たに発見された債務の証明書類
  • 葬式費用の領収書
  • 医療費の領収書
財産評価関係
  • 不動産鑑定書
  • 株式評価に関する資料
  • 財産の所有者を証明する書類
遺留分・遺産分割関係

上記の書類は一例であり、実際に必要な書類は還付請求の理由や状況によって異なります。税務署から追加書類を求められる場合もあるため、専門家のアドバイスを受けながら準備することをおすすめします。

よくある質問

Q1. 相続税還付の申請は自分でもできますか?

法律上は自分で行うことも可能ですが、相続税還付の申請には専門的な知識が必要です。申請書類の作成や計算方法に誤りがあると、還付が認められない可能性があります。

特に財産評価の見直しや複雑なケースでは、税理士や司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼することで、還付可能性の高い申請ができます。

Q2. 相続税還付にはどのくらいの期間がかかりますか?

更正の請求を提出してから還付金を受け取るまでの期間は、ケースによって異なります。一般的には申請から1〜3ヶ月程度かかることが多いです。

ただし、内容が複雑な場合や、税務署から追加資料を求められた場合は、さらに時間がかかることがあります。また、申請時期が確定申告の繁忙期と重なると、審査に時間がかかる傾向があります。

Q3. 相続税を納めた後に相続放棄をした場合、還付は受けられますか?

相続税を納付した後に相続放棄が認められた場合は、相続税の還付を受けられる可能性があります。ただし、相続放棄には家庭裁判所での手続きが必要で、相続の開始を知った日から3ヶ月以内という期限があります。

相続放棄が認められた場合は、更正の請求を行うことで納付した相続税の還付を受けられます。この場合、相続放棄の審判書の写しなど、相続放棄が認められたことを証明する書類が必要です。

Q4. 還付加算金とは何ですか?いくらもらえますか?

還付加算金とは、納めすぎた税金を返還する際に、その期間に応じて付される利息のようなものです。納付の日から還付決定の日までの期間について計算されます。

利率は法律で定められており、年間0.1%〜7.3%の範囲で変動します(2025年現在)。経済情勢により変動するため、最新の利率は国税庁のウェブサイトで確認することをおすすめします。

Q5. 相続財産を売却した後でも相続税還付は可能ですか?

相続財産を売却した後でも、相続税還付を受けられる場合があります。例えば、相続した不動産を申告時の評価額より低い金額で売却した場合、その差額に対する相続税の還付を受けられる可能性があります。

ただし、適用には条件があり、申告期限から3年以内の売却であることなどが求められます。売却後の還付請求には、売買契約書などの売却を証明する書類が必要です。

まとめ

相続税還付とは、一度納付した相続税が何らかの理由で過大だった場合に、払い戻しを受けられる制度です。申告後に新たな債務が発見された場合や、財産評価に誤りがあった場合、遺留分侵害額請求により財産を返還した場合などに適用されます。

還付を受けるためには「更正の請求」という手続きが必要で、原則として相続税の申告期限から5年以内に請求する必要があります。ただし、特定のケースでは異なる期限が設けられているため注意が必要です。

相続税還付の手続きは専門的な知識を要するため、税理士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。自分で行う場合も、必要書類を揃え、期限内に提出することが重要です。

相続税還付は、相続手続きの中でも見落とされがちな制度ですが、場合によっては多額の税金が戻ってくる可能性があります。相続税申告後に状況の変化があった場合は、還付の可能性を検討してください。

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